カナダのブリティッシュコロンビア州で先月30日、横断歩道にレンガが入ったかごが設置された。取り付けられた看板には、「レンガを掲げながら横断してください」と書かれている。レンガで車を傷つけられてしまう恐れもあることから運転手は停止し、歩行者が安全に横断できる仕組みだ。このアイディアを実行した様子を捉えた動画がSNSに投稿されたが、これはエイプリルフールのジョークだったという。しかし、ジョークといえども正しい目的をもって動画を作成したそうだ。カナダのニュースメディア『CTV News Vancouver』などが伝えている。
先月30日、カナダ西部ブリティッシュコロンビア州バンクーバー市にある人気観光地「グランビル・アイランド」で撮影された1本の動画がXに投稿され、話題を呼んでいる。動画には、横断歩道の両サイドに設置されたかご付きの看板が映っており、かごの中には複数のレンガが入っている。その看板には、周囲を確認してレンガを掲げながら横断するように指示が書かれていた。
人々はレンガを1つ手に取ると、ドライバーに見えるようにレンガを持ち上げて振りながら横断歩道を歩いている。そして渡り終えると、同じかご付きの看板があるところへレンガを戻した。
この動画は、バンクーバー市を拠点に交通事故死の削減に取り組む団体「ビジョン・ゼロ・バンクーバー(Vision Zero Vancouver)」がシェアしたものだった。歩行者が安全に横断歩道を渡るためにレンガを用意したことで、「停止しないと車を傷つけるぞ」と無言の脅迫のような効果をもたらした。
同団体に所属するルーク・ベイリーさん(Luke Bailey)は、「角が鋭利なものを持ち出すと、ドライバーはすぐに自身の車の塗装やフロントガラスを気にするようになったことに気付いたんです」と、いたずらっぽい笑顔を浮かべて話す。
同団体でボランティアとして活動するミハイ・シルステアさん(Mihai Cirstea)は、「これは非常に効果的で、ドライバーたちはレンガを目にすると『停止して歩行者を渡らせた方が良さそうだ』と考えるのです。歩行者が優勢になったような感じですね」と説明した。
実はこのアイディア、エイプリルフールのネタとして動画を撮影するため、特定の横断歩道にのみ設置されたものだった。他の自治体が横断歩道に歩行者用の旗を用意していたのを見て思いついたと言い、旗の代わりにレンガが用いられることになった。ただしこのレンガ、発泡スチロールでできているそうだ。
しかし単にジョークとして楽しむのではなく、この動画によって交通安全について真剣に考えてもらえるようにという願いも込められている。同団体で交通安全推進を担当するルーシー・マロニーさん(Lucy Maloney)は、「私たちが本当に必要としているのは、車内にいる人も車外にいる人もより安全にいられるよう、道路や交差点を安全に整備することなんです」と主張する。
ブリティッシュコロンビア州の保険公社「Insurance Corporation of British Columbia」の調査によると、この動画が撮影された横断歩道の1つで、グランビル・アイランドの入り口に位置するアンダーソン・ストリートとアイランド・パーク・ウォークの交差点では、2018年から2022年の間に10件の交通事故が発生しており、このうち5件は負傷者や死亡者がいたという。
また、グランビル・アイランドの入り口付近で5年間働いているクローデット・アブグラールさん(Claudette Abgrall)は、「時々、キッズ・マーケットの前を車がとんでもないスピードで走っていくことがあります。そんなに急いでどこに行くんでしょうね」と、子どもが近くにいる場所でもかなりのスピードで走行する車を見かけると話す。
クローデットさんはこの状況を深刻に捉え、グランビル・アイランドを管理する連邦政府機関「カナダ抵当住宅公社(Canada Mortgage and Housing Corporation)」に、速度標識を設置したり、混雑日には交通整理のスタッフを配置するようにしてほしいと訴えている。また、ビジョン・ゼロ・バンクーバーも市に対して、グランビル・アイランド入り口の交差点の危険性について訴え、車線の削減や歩道を高くするなどの解決策を提案しているそうだ。
この動画を見た人々からは、「これは素晴らしいアイディア」「ドライバー側は恐怖でしかないね」「道路を横断するために、個人的にレンガを持ち歩きたい」「車が停止しなかったら、レンガを投げつけてもいいってことだよね?」とエイプリルフールのジョークだと理解しながら動画を楽しんでいた。しかし一方で、ジョークだと気付かなかった一部の人からは、「こんな横暴はありえない」「最低のアイディア」と怒りのコメントも見受けられた。
なお、同団体はエイプリルフールが終わっても引き続き発泡スチロールのレンガと看板を残そうと計画しているが、これをバンクーバー市が認めるかどうかは明らかになっていない。テックインサイト編集部では同団体に、その計画についての詳細をうかがうべく取材を申し入れている。
Be seen, grab a brick!1. GRAB2. LOOK3. WAVE4. CROSS pic.twitter.com/EEWJvNrUui— VisionZeroVancouver (@VisionZeroYVR) March 31, 2024
画像は『CBC.ca 「Granville Island crosswalk users urged to pick up a brick」(Submitted by Vision Zero)(Joe Passaretti/CBC Still Photo Collection)』『Mr Khans TikTok「#fyp #mrkhans #dudleyroadbirmingham」』『Thomas Lyons TikTok「#funny」』『Fox News 「Kentucky man goes viral for clearing snowy driveway with flamethrower」』『News24 YouTube「WATCH | When Johannesburg’s robots are out, these robots keep traffic flowing」』より
(TechinsightJapan編集部 iruy)
先月30日、カナダ西部ブリティッシュコロンビア州バンクーバー市にある人気観光地「グランビル・アイランド」で撮影された1本の動画がXに投稿され、話題を呼んでいる。動画には、横断歩道の両サイドに設置されたかご付きの看板が映っており、かごの中には複数のレンガが入っている。その看板には、周囲を確認してレンガを掲げながら横断するように指示が書かれていた。
人々はレンガを1つ手に取ると、ドライバーに見えるようにレンガを持ち上げて振りながら横断歩道を歩いている。そして渡り終えると、同じかご付きの看板があるところへレンガを戻した。
この動画は、バンクーバー市を拠点に交通事故死の削減に取り組む団体「ビジョン・ゼロ・バンクーバー(Vision Zero Vancouver)」がシェアしたものだった。歩行者が安全に横断歩道を渡るためにレンガを用意したことで、「停止しないと車を傷つけるぞ」と無言の脅迫のような効果をもたらした。
同団体に所属するルーク・ベイリーさん(Luke Bailey)は、「角が鋭利なものを持ち出すと、ドライバーはすぐに自身の車の塗装やフロントガラスを気にするようになったことに気付いたんです」と、いたずらっぽい笑顔を浮かべて話す。
同団体でボランティアとして活動するミハイ・シルステアさん(Mihai Cirstea)は、「これは非常に効果的で、ドライバーたちはレンガを目にすると『停止して歩行者を渡らせた方が良さそうだ』と考えるのです。歩行者が優勢になったような感じですね」と説明した。
実はこのアイディア、エイプリルフールのネタとして動画を撮影するため、特定の横断歩道にのみ設置されたものだった。他の自治体が横断歩道に歩行者用の旗を用意していたのを見て思いついたと言い、旗の代わりにレンガが用いられることになった。ただしこのレンガ、発泡スチロールでできているそうだ。
しかし単にジョークとして楽しむのではなく、この動画によって交通安全について真剣に考えてもらえるようにという願いも込められている。同団体で交通安全推進を担当するルーシー・マロニーさん(Lucy Maloney)は、「私たちが本当に必要としているのは、車内にいる人も車外にいる人もより安全にいられるよう、道路や交差点を安全に整備することなんです」と主張する。
ブリティッシュコロンビア州の保険公社「Insurance Corporation of British Columbia」の調査によると、この動画が撮影された横断歩道の1つで、グランビル・アイランドの入り口に位置するアンダーソン・ストリートとアイランド・パーク・ウォークの交差点では、2018年から2022年の間に10件の交通事故が発生しており、このうち5件は負傷者や死亡者がいたという。
また、グランビル・アイランドの入り口付近で5年間働いているクローデット・アブグラールさん(Claudette Abgrall)は、「時々、キッズ・マーケットの前を車がとんでもないスピードで走っていくことがあります。そんなに急いでどこに行くんでしょうね」と、子どもが近くにいる場所でもかなりのスピードで走行する車を見かけると話す。
クローデットさんはこの状況を深刻に捉え、グランビル・アイランドを管理する連邦政府機関「カナダ抵当住宅公社(Canada Mortgage and Housing Corporation)」に、速度標識を設置したり、混雑日には交通整理のスタッフを配置するようにしてほしいと訴えている。また、ビジョン・ゼロ・バンクーバーも市に対して、グランビル・アイランド入り口の交差点の危険性について訴え、車線の削減や歩道を高くするなどの解決策を提案しているそうだ。
この動画を見た人々からは、「これは素晴らしいアイディア」「ドライバー側は恐怖でしかないね」「道路を横断するために、個人的にレンガを持ち歩きたい」「車が停止しなかったら、レンガを投げつけてもいいってことだよね?」とエイプリルフールのジョークだと理解しながら動画を楽しんでいた。しかし一方で、ジョークだと気付かなかった一部の人からは、「こんな横暴はありえない」「最低のアイディア」と怒りのコメントも見受けられた。
なお、同団体はエイプリルフールが終わっても引き続き発泡スチロールのレンガと看板を残そうと計画しているが、これをバンクーバー市が認めるかどうかは明らかになっていない。テックインサイト編集部では同団体に、その計画についての詳細をうかがうべく取材を申し入れている。
Be seen, grab a brick!1. GRAB2. LOOK3. WAVE4. CROSS pic.twitter.com/EEWJvNrUui— VisionZeroVancouver (@VisionZeroYVR) March 31, 2024
画像は『CBC.ca 「Granville Island crosswalk users urged to pick up a brick」(Submitted by Vision Zero)(Joe Passaretti/CBC Still Photo Collection)』『Mr Khans TikTok「#fyp #mrkhans #dudleyroadbirmingham」』『Thomas Lyons TikTok「#funny」』『Fox News 「Kentucky man goes viral for clearing snowy driveway with flamethrower」』『News24 YouTube「WATCH | When Johannesburg’s robots are out, these robots keep traffic flowing」』より
(TechinsightJapan編集部 iruy)