南アフリカのハウテン州に住む50代女性は、約1年間交際していた男に会った日のことを今でも後悔している。男は女性の退職金280万ランド(約2500万円)を持ち逃げし、行方をくらましたのだ。学校の校長という安定した職に就いていた女性は、食べるものにも困るようになり、13キロも痩せてしまったという。このほど南アフリカのニュースメディア『IOL』のインタビューに応じた女性は、男との馴れ初めや騙されていたことが発覚するまでを赤裸々に明かし、また恋愛している人々に向けてアドバイスを送っている。
詐欺被害にあった女性は、ハウテン州在住で50代のノタンドさん(Nothando)だ。彼女は2023年1月、ヘンリー・ムギシャ(Henry Mugisha)と名乗る男に出会った。当時、ノタンドさんは同州にある公立学校の校長として働いており、その学校にムギシャが「息子を入学させたい」と訪ねてきたそうだ。
ノタンドさんはムギシャに対応したが、生徒の空きがなく、数日後に連絡するよう彼に伝えた。その時、学校の固定電話が使用できなかったため、ノタンドさんは仕事用の携帯番号を教えたという。その後、ムギシャの息子は入学しなかったが、彼から電話がかかってくるようになった。最初はデートに誘われたが断り、朝、昼、寝る前にメールが届くようになった。2児の母親でもあるノタンドさんは、「彼はとても穏やかで、柔らかく、優しい声をしており、ついつられて笑ってしまうような笑い方だった。彼は私と息子たちを気遣ってくれました」と明かしており、少しずつ彼に惹かれていったという。
そして2023年3月12日、ノタンドさんは初めてデートに応じた。
「彼とは素晴らしい時間を過ごしました。私が帰る時、家で待っている息子たちのためにテイクアウトの食べ物を買ってくれました。」
「特に彼に好感を抱いたのは、自分が裕福でないと告白したことでした。確かに彼は、時々故障してしまうほど古いフォルクスワーゲンに乗っていました。」
そのように明かすノタンドさんは、彼の態度すべてに好感を持った。デートではすべてムギシャが支払い、ラグビーワールドカップ決勝のパブリックビューイング、米ゴスペルシンガー、べべ・ウィナンズのコンサートなどを一緒に楽しんだという。ノタンドさんは、「詐欺だと思わせることは微塵もなかった」と述べている。
しかし、関係が深まるにつれてムギシャは、ノタンドさんに仕事を辞めて政府から支給される退職金を受け取るようにと説得するようになった。その退職金を事業に投資しようというのだ。恋に落ちていたノタンドさんは、ムギシャの話を疑うことなく鵜呑みにした。しかも彼女は、ハウテン州全土で急成長している学生向け宿泊施設の事業に投資しようと提案し、ムギシャもそのアイデアに前向きだった。2人は資金を出し合うことに同意し、ムギシャはノタンドさんの退職金280万ランド(約2500万円)をそれ以上に増やすことを約束した。そして今年の1月、ムギシャはノタンドさんに、先祖からの祝福を受ける儀式のため「お互いに実家に帰ろう」と言い出した。ノタンドさんは帰省したが、その後ムギシャからの連絡が途絶えた。
ノタンドさんは数日間を実家で過ごし、自宅に戻った後、ムギシャの家に車を走らせた。午後5時半頃だったが、ムギシャの家には誰もいなかった。当時のことをノタンドさんはこのように明かしている。
「外出しているだけと自分に言い聞かせました。彼の名前を呼び、石で門を叩いてみましたが、反応はありませんでした。午後7時半頃、辺りはすっかり暗くなり、私は車で家に戻りました。何とも言えない不安感に襲われましたが、彼はただ外出しただけだと自分に言い聞かせました。」
1月24日の夜、ノタンドさんはムギシャに電話をかけ続けたが留守電のままで、彼の兄弟にも連絡がつかなかった。翌朝にもう一度電話したが、誰も出ない。そして、ようやく何が起こっているのか分かり始めた。ノタンドさんは、絶望した当時の心境をこう語っている。
「胃がムカムカして、その夜は眠れませんでした。私の頭の中には、経済的な責任がすべて積み重なってきました。吐き気をもよおし、愛する2人の息子たちに何と言えばいいのか、どうやって生きていけばいいのかと考え出しました。」
「ネットでメンタルヘルスやうつ病について調べました。私がいなくなってから、息子たちが私の犯した過ちを知るだろうと思ったのです。とにかく私は寝室に閉じこもり、外出もせず、おしゃべりもせず、誰とも関わりませんでした。」
そして1月末、学校が再開する最初の週のこと、ノタンドさんの態度も変化した。食料が豊富にあったはずの冷蔵庫には、基本的な食品しかなくなってしまったため、息子たちが食べ物を欲しがったり、無駄遣いしたりすると、彼らを怒るようになった。途方に暮れ、食べることもできなくなって2週間が経ち、ノタンドさんの体重は73キロから60キロまで一気に減ってしまった。息子たちから「学校が始まったのに、なぜ仕事に行かないのか」と聞かれたが、休暇中だと答えたそうだ。
南アフリカのニュースメディア『IOL』がハウテン州の南アフリカ国家警察に問い合わせたところ、マヴェラ・マソンド(Mavela Masondo)中佐が今回の件を捜査していることを認め、「逮捕者はまだ出ていない」ということだった。またノタンドさんは私立探偵を雇い、ムギシャの行方を追おうとしたが、うまくいかなかったそうだ。ムギシャはノタンドさんの前から姿を消した2週間後、TikTokに新しいメルセデス・ベンツ車の動画を投稿していた。しかしその後、彼のアカウントは削除された。
なお、ノタンドさんは悲惨な経験をしたにもかかわらず、世の中の恋愛している人に対して次のようにアドバイスしている。
「恋に落ちることを恐れないでいてください。人を完全に知ることはできませんが、あまりにも早くあなたに恋をしていることを告白し、自分の家族をあなたに紹介したがる人には用心してください。」
「恋は美しいものですが、間違った相手に出会ってしまうと、甚大な苦痛をもたらすこともあります。恋をしていても、しっかり目を開いていてください。これはとても重要なことです。」
画像は『IOL 「Scammed: Gauteng mom lost 13kg in two weeks after boyfriend vanished with her R2.8 million pension」(Picture: TikTok/Supplied)』より
(TechinsightJapan編集部 FLYNN)
詐欺被害にあった女性は、ハウテン州在住で50代のノタンドさん(Nothando)だ。彼女は2023年1月、ヘンリー・ムギシャ(Henry Mugisha)と名乗る男に出会った。当時、ノタンドさんは同州にある公立学校の校長として働いており、その学校にムギシャが「息子を入学させたい」と訪ねてきたそうだ。
ノタンドさんはムギシャに対応したが、生徒の空きがなく、数日後に連絡するよう彼に伝えた。その時、学校の固定電話が使用できなかったため、ノタンドさんは仕事用の携帯番号を教えたという。その後、ムギシャの息子は入学しなかったが、彼から電話がかかってくるようになった。最初はデートに誘われたが断り、朝、昼、寝る前にメールが届くようになった。2児の母親でもあるノタンドさんは、「彼はとても穏やかで、柔らかく、優しい声をしており、ついつられて笑ってしまうような笑い方だった。彼は私と息子たちを気遣ってくれました」と明かしており、少しずつ彼に惹かれていったという。
そして2023年3月12日、ノタンドさんは初めてデートに応じた。
「彼とは素晴らしい時間を過ごしました。私が帰る時、家で待っている息子たちのためにテイクアウトの食べ物を買ってくれました。」
「特に彼に好感を抱いたのは、自分が裕福でないと告白したことでした。確かに彼は、時々故障してしまうほど古いフォルクスワーゲンに乗っていました。」
そのように明かすノタンドさんは、彼の態度すべてに好感を持った。デートではすべてムギシャが支払い、ラグビーワールドカップ決勝のパブリックビューイング、米ゴスペルシンガー、べべ・ウィナンズのコンサートなどを一緒に楽しんだという。ノタンドさんは、「詐欺だと思わせることは微塵もなかった」と述べている。
しかし、関係が深まるにつれてムギシャは、ノタンドさんに仕事を辞めて政府から支給される退職金を受け取るようにと説得するようになった。その退職金を事業に投資しようというのだ。恋に落ちていたノタンドさんは、ムギシャの話を疑うことなく鵜呑みにした。しかも彼女は、ハウテン州全土で急成長している学生向け宿泊施設の事業に投資しようと提案し、ムギシャもそのアイデアに前向きだった。2人は資金を出し合うことに同意し、ムギシャはノタンドさんの退職金280万ランド(約2500万円)をそれ以上に増やすことを約束した。そして今年の1月、ムギシャはノタンドさんに、先祖からの祝福を受ける儀式のため「お互いに実家に帰ろう」と言い出した。ノタンドさんは帰省したが、その後ムギシャからの連絡が途絶えた。
ノタンドさんは数日間を実家で過ごし、自宅に戻った後、ムギシャの家に車を走らせた。午後5時半頃だったが、ムギシャの家には誰もいなかった。当時のことをノタンドさんはこのように明かしている。
「外出しているだけと自分に言い聞かせました。彼の名前を呼び、石で門を叩いてみましたが、反応はありませんでした。午後7時半頃、辺りはすっかり暗くなり、私は車で家に戻りました。何とも言えない不安感に襲われましたが、彼はただ外出しただけだと自分に言い聞かせました。」
1月24日の夜、ノタンドさんはムギシャに電話をかけ続けたが留守電のままで、彼の兄弟にも連絡がつかなかった。翌朝にもう一度電話したが、誰も出ない。そして、ようやく何が起こっているのか分かり始めた。ノタンドさんは、絶望した当時の心境をこう語っている。
「胃がムカムカして、その夜は眠れませんでした。私の頭の中には、経済的な責任がすべて積み重なってきました。吐き気をもよおし、愛する2人の息子たちに何と言えばいいのか、どうやって生きていけばいいのかと考え出しました。」
「ネットでメンタルヘルスやうつ病について調べました。私がいなくなってから、息子たちが私の犯した過ちを知るだろうと思ったのです。とにかく私は寝室に閉じこもり、外出もせず、おしゃべりもせず、誰とも関わりませんでした。」
そして1月末、学校が再開する最初の週のこと、ノタンドさんの態度も変化した。食料が豊富にあったはずの冷蔵庫には、基本的な食品しかなくなってしまったため、息子たちが食べ物を欲しがったり、無駄遣いしたりすると、彼らを怒るようになった。途方に暮れ、食べることもできなくなって2週間が経ち、ノタンドさんの体重は73キロから60キロまで一気に減ってしまった。息子たちから「学校が始まったのに、なぜ仕事に行かないのか」と聞かれたが、休暇中だと答えたそうだ。
南アフリカのニュースメディア『IOL』がハウテン州の南アフリカ国家警察に問い合わせたところ、マヴェラ・マソンド(Mavela Masondo)中佐が今回の件を捜査していることを認め、「逮捕者はまだ出ていない」ということだった。またノタンドさんは私立探偵を雇い、ムギシャの行方を追おうとしたが、うまくいかなかったそうだ。ムギシャはノタンドさんの前から姿を消した2週間後、TikTokに新しいメルセデス・ベンツ車の動画を投稿していた。しかしその後、彼のアカウントは削除された。
なお、ノタンドさんは悲惨な経験をしたにもかかわらず、世の中の恋愛している人に対して次のようにアドバイスしている。
「恋に落ちることを恐れないでいてください。人を完全に知ることはできませんが、あまりにも早くあなたに恋をしていることを告白し、自分の家族をあなたに紹介したがる人には用心してください。」
「恋は美しいものですが、間違った相手に出会ってしまうと、甚大な苦痛をもたらすこともあります。恋をしていても、しっかり目を開いていてください。これはとても重要なことです。」
画像は『IOL 「Scammed: Gauteng mom lost 13kg in two weeks after boyfriend vanished with her R2.8 million pension」(Picture: TikTok/Supplied)』より
(TechinsightJapan編集部 FLYNN)