ルーマニア中央部に位置するブチェジ山で9日、恋人と一緒にハイキングに来ていた19歳の女性がクマに襲われ、120メートル下の谷底で死亡しているのが確認された。2人は山道でクマに後をつけられていることに気付いて緊急通報しており、女性はオペレーターと会話中、恋人の目の前で襲撃されたという。悲劇の事故をルーマニアのネットメディア『The Romania Journal』などが伝えた。
ブチェジ山で9日午後、恋人と一緒にハイキングに来ていたマリア・ダイアナさん(Maria Diana、19)がクマに襲われた。
カップルは当時、観光名所のスプモアサ滝(Spumoasa waterfall)に向かって山を登っていた最中で、クマに後をつけられていることに気付いた男性が、緊急通報をしたという。2人はその後、オペレーターに「クマに遭遇した時の対処法」について助言を受けて行動したが、クマはマリアさんに急接近。片脚を掴むと山道から引きずり下ろし、森の奥に連れ込んだ。
山岳救助隊「Salvamont Romania」の隊長ダン・バヌ氏(Dan Banu)によると、マリアさんも当時、男性に続いて緊急通報したそうで、オペレーターは「マリアさんが悲鳴をあげ『クマがどんどん迫ってくるわ』と叫んだ直後、会話が途切れてしまった」と語ったという。また、男性が「クマに襲われた。クマが彼女を連れ去った」などと大声をあげるのを聞いており、現場には山岳救助隊が派遣された。
救助隊は当初、ヘリコプターでの救出を考えていたものの、現場の地形が険しいことから断念せざるを得ず、山道から入った隊員が谷底で息絶えた女性と、その近くで唸り声をあげて徘徊しているクマを発見した。ただクマは、遺体を回収しようと近づいた救助隊を何度も襲おうとしたため、その場で射殺されたという。
幸いなことに男性は無事保護されたが、救助隊が到着した時はショック状態で、「あんなことが起きるなんて全く想像もしていなかった。クマを怖がらせようと努力したが、不幸な結果になった。襲われたのが自分だったら良かったのに」と述べたという。また、襲撃時のマリアさんについて「彼女はクマに襲われた直後、自分の視界から消えてしまった。その後、彼女に何が起きたのかは見ていない」と語っていたそうで、バヌ氏は「クマがマリアさんを襲って森の奥へと引きずり込んだ後、120メートル下の谷底に投げ落としたのだろう」と推測した。
しかしながら野生動物専門家のカルメン・ストルンガル氏(Carmen Strungaru)は、マリアさんが転落死したことについて、次のように見解を示した。
「クマが女性を襲った後、崖から引きずり落とした可能性は低い。考えられるのは、怯えた女性が逃げようとした際に谷底に落ちてしまったということだ。それもクマも一緒にね。」
なお、山岳救助隊の会長を務めるサビン・コルニウ氏(Sabin Corniou)は、山道で起きた今回の事故について「これまでに経験したことがない。クマが尋常でない行動を起こした原因は暑さかもしれないし、何か病気にかかっていた可能性もあり、突き詰めていく必要があるだろう」と述べていた。
ルーマニアは、ロシアを除けば欧州で最大のヒグマの生息地で、国内には推定8000頭が生息している。近年は都市郊外のゴミ捨て場、観光客が残していった食べ物などを目当てに森を出て、人や家畜を襲うことが急増しているそうで、世界動物保護協会(World Animal Protection)によると、2016年から2021年には158人がクマの襲撃で負傷し、14人が死亡しているという。
ちなみに米イエローストーン国立公園では2023年、ハイキング中の47歳の女性がハイイログマ(グリズリー)に襲われて死亡しており、専門家は「女性はクマに首や頭を襲撃され、3分以内に亡くなった可能性が高い」と語っていた。
画像は『New York Post 「Teen mauled to death by bear in front of boyfriend while on hiking trip」(Jam Press)』より
(TechinsightJapan編集部 A.C.)
ブチェジ山で9日午後、恋人と一緒にハイキングに来ていたマリア・ダイアナさん(Maria Diana、19)がクマに襲われた。
カップルは当時、観光名所のスプモアサ滝(Spumoasa waterfall)に向かって山を登っていた最中で、クマに後をつけられていることに気付いた男性が、緊急通報をしたという。2人はその後、オペレーターに「クマに遭遇した時の対処法」について助言を受けて行動したが、クマはマリアさんに急接近。片脚を掴むと山道から引きずり下ろし、森の奥に連れ込んだ。
山岳救助隊「Salvamont Romania」の隊長ダン・バヌ氏(Dan Banu)によると、マリアさんも当時、男性に続いて緊急通報したそうで、オペレーターは「マリアさんが悲鳴をあげ『クマがどんどん迫ってくるわ』と叫んだ直後、会話が途切れてしまった」と語ったという。また、男性が「クマに襲われた。クマが彼女を連れ去った」などと大声をあげるのを聞いており、現場には山岳救助隊が派遣された。
救助隊は当初、ヘリコプターでの救出を考えていたものの、現場の地形が険しいことから断念せざるを得ず、山道から入った隊員が谷底で息絶えた女性と、その近くで唸り声をあげて徘徊しているクマを発見した。ただクマは、遺体を回収しようと近づいた救助隊を何度も襲おうとしたため、その場で射殺されたという。
幸いなことに男性は無事保護されたが、救助隊が到着した時はショック状態で、「あんなことが起きるなんて全く想像もしていなかった。クマを怖がらせようと努力したが、不幸な結果になった。襲われたのが自分だったら良かったのに」と述べたという。また、襲撃時のマリアさんについて「彼女はクマに襲われた直後、自分の視界から消えてしまった。その後、彼女に何が起きたのかは見ていない」と語っていたそうで、バヌ氏は「クマがマリアさんを襲って森の奥へと引きずり込んだ後、120メートル下の谷底に投げ落としたのだろう」と推測した。
しかしながら野生動物専門家のカルメン・ストルンガル氏(Carmen Strungaru)は、マリアさんが転落死したことについて、次のように見解を示した。
「クマが女性を襲った後、崖から引きずり落とした可能性は低い。考えられるのは、怯えた女性が逃げようとした際に谷底に落ちてしまったということだ。それもクマも一緒にね。」
なお、山岳救助隊の会長を務めるサビン・コルニウ氏(Sabin Corniou)は、山道で起きた今回の事故について「これまでに経験したことがない。クマが尋常でない行動を起こした原因は暑さかもしれないし、何か病気にかかっていた可能性もあり、突き詰めていく必要があるだろう」と述べていた。
ルーマニアは、ロシアを除けば欧州で最大のヒグマの生息地で、国内には推定8000頭が生息している。近年は都市郊外のゴミ捨て場、観光客が残していった食べ物などを目当てに森を出て、人や家畜を襲うことが急増しているそうで、世界動物保護協会(World Animal Protection)によると、2016年から2021年には158人がクマの襲撃で負傷し、14人が死亡しているという。
ちなみに米イエローストーン国立公園では2023年、ハイキング中の47歳の女性がハイイログマ(グリズリー)に襲われて死亡しており、専門家は「女性はクマに首や頭を襲撃され、3分以内に亡くなった可能性が高い」と語っていた。
画像は『New York Post 「Teen mauled to death by bear in front of boyfriend while on hiking trip」(Jam Press)』より
(TechinsightJapan編集部 A.C.)