米ニューハンプシャー州沖で今月23日朝、魚の群れを追っていたザトウクジラが小型船のすぐ後方で“ブリーチング”と呼ばれるジャンプを見せ、船尾に頭を叩きつけて転覆させた。当時の様子は近くで船釣りをしていた男性が捉えており、SNSで拡散中だ。同州ポーツマスのニュースメディア『Seacoastonline.com』などが伝えた。
23日午前7時45分頃、ニューハンプシャー州の海岸沿いの町ライから800メートルほど(半マイル)の沖合で、ザトウクジラがブリーチングを見せ、男性2人が乗っていた全長約7メートル(23フィート)の船を転覆させた。
船が転覆する瞬間の様子は、メイン州出身で兄ワイアットさん(Wyatt、19)と一緒に船釣りをしていたコリン・イェガーさん(Colin Yager、16)が捉えており、「ザトウクジラは事故が起きる1時間ほど前に、あの海域に現れた」と証言している。
一方で転覆した船に乗っていたのは、マサチューセッツ州出身のグレッグ・パケットさん(Greg Paquette)とニューハンプシャー州出身のライランド・ケニーさん(Ryland Kenney)で、その日は霧が立ち込める中、朝5時から船釣りをしていたという。
当時の動画では、海面からジャンプして体半分を出したザトウクジラが、船尾に頭から体当たりする様子が捉えられており、クジラの重みで船首が上がると、釣竿を持っていたライランドさんがボートから飛び降りるようにして転落した。
そして、船はバランスを失い転覆。ライランドさんに続いて海中に落ちたグレッグさんは、「私が振り向いた時、クジラはすでに船尾のエンジンに頭を叩きつけていた。クジラは魚の群れを食べようとして、口を大きく開けていたよ。私が水中に落ちると、着用していた膨張式救命胴衣が自動で膨らんだ。ただ船尾全体が水に浸っているのを見て、『ああ、もうダメだ…。沈んでしまう』と思ったものだよ」と語っている。
また、ライフジャケットを着用していなかったというライランドさんは、当時のことをこう振り返る。
「バキバキという音がしてね。船首が傾いたので自分は船の左側に移動した…。ところが船が傾いたので、クジラと船の衝突を避けるため、身体を水面に対して水平にしたまま海に飛び込んだのさ…。実際は3秒ほどだったけど、全てがスローモーションのようで妙な気分だったよ。」
こうして海に投げ出された2人は、イェガー兄弟が2分とかからないうちに救出し、駆けつけた沿岸警備隊によって港まで運ばれた。2人とも怪我はなかったものの、グレッグさんは「最初は元気があって、アドレナリンが放出されていた。でもアドレナリンを出し切った後は疲れ切ってしまったよ」と述べ、「どんなことがあるか分からないから、救命胴衣は着用すべきだね」と苦笑した。引き上げられた船は船外機にヒビが入っているものの状態は良く、2人ともイェガー兄弟には心から感謝しているそうだ。
ちなみに兄弟は、転覆した船から18メートルほど離れた場所にいて、コリンさんは片手で釣竿、片手で携帯電話を持った状態で動画を撮影したという。当時は約10艘の船が魚の大群を追うクジラを離れて見守っていたそうで、ワイアットさんは次のように述べている。
「沖から16~24キロ離れた場所でマグロを追うクジラを見ることはよくあるけど、沖からこれほど近い場所で見るのは初めてだね。」
「事故の後は、近くにいた誰もが2人を助けようとしていた。もし僕たちが彼らを救出できなかったとしても、10秒後には誰かが手を差し伸べていただろうね。」
なお2020年には米ニュージャージー州ベルマー沖で、魚を追うザトウクジラのブリーチングをカメラが捉え、豪快なジャンプに釣り人が興奮の雄叫びをあげていた。
画像は『Barstool Sports TikTok「Wait for it」』より
(TechinsightJapan編集部 A.C.)
23日午前7時45分頃、ニューハンプシャー州の海岸沿いの町ライから800メートルほど(半マイル)の沖合で、ザトウクジラがブリーチングを見せ、男性2人が乗っていた全長約7メートル(23フィート)の船を転覆させた。
船が転覆する瞬間の様子は、メイン州出身で兄ワイアットさん(Wyatt、19)と一緒に船釣りをしていたコリン・イェガーさん(Colin Yager、16)が捉えており、「ザトウクジラは事故が起きる1時間ほど前に、あの海域に現れた」と証言している。
一方で転覆した船に乗っていたのは、マサチューセッツ州出身のグレッグ・パケットさん(Greg Paquette)とニューハンプシャー州出身のライランド・ケニーさん(Ryland Kenney)で、その日は霧が立ち込める中、朝5時から船釣りをしていたという。
当時の動画では、海面からジャンプして体半分を出したザトウクジラが、船尾に頭から体当たりする様子が捉えられており、クジラの重みで船首が上がると、釣竿を持っていたライランドさんがボートから飛び降りるようにして転落した。
そして、船はバランスを失い転覆。ライランドさんに続いて海中に落ちたグレッグさんは、「私が振り向いた時、クジラはすでに船尾のエンジンに頭を叩きつけていた。クジラは魚の群れを食べようとして、口を大きく開けていたよ。私が水中に落ちると、着用していた膨張式救命胴衣が自動で膨らんだ。ただ船尾全体が水に浸っているのを見て、『ああ、もうダメだ…。沈んでしまう』と思ったものだよ」と語っている。
また、ライフジャケットを着用していなかったというライランドさんは、当時のことをこう振り返る。
「バキバキという音がしてね。船首が傾いたので自分は船の左側に移動した…。ところが船が傾いたので、クジラと船の衝突を避けるため、身体を水面に対して水平にしたまま海に飛び込んだのさ…。実際は3秒ほどだったけど、全てがスローモーションのようで妙な気分だったよ。」
こうして海に投げ出された2人は、イェガー兄弟が2分とかからないうちに救出し、駆けつけた沿岸警備隊によって港まで運ばれた。2人とも怪我はなかったものの、グレッグさんは「最初は元気があって、アドレナリンが放出されていた。でもアドレナリンを出し切った後は疲れ切ってしまったよ」と述べ、「どんなことがあるか分からないから、救命胴衣は着用すべきだね」と苦笑した。引き上げられた船は船外機にヒビが入っているものの状態は良く、2人ともイェガー兄弟には心から感謝しているそうだ。
ちなみに兄弟は、転覆した船から18メートルほど離れた場所にいて、コリンさんは片手で釣竿、片手で携帯電話を持った状態で動画を撮影したという。当時は約10艘の船が魚の大群を追うクジラを離れて見守っていたそうで、ワイアットさんは次のように述べている。
「沖から16~24キロ離れた場所でマグロを追うクジラを見ることはよくあるけど、沖からこれほど近い場所で見るのは初めてだね。」
「事故の後は、近くにいた誰もが2人を助けようとしていた。もし僕たちが彼らを救出できなかったとしても、10秒後には誰かが手を差し伸べていただろうね。」
なお2020年には米ニュージャージー州ベルマー沖で、魚を追うザトウクジラのブリーチングをカメラが捉え、豪快なジャンプに釣り人が興奮の雄叫びをあげていた。
画像は『Barstool Sports TikTok「Wait for it」』より
(TechinsightJapan編集部 A.C.)