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【海外発!Breaking News】21年間で橋から飛び降りようとする469人を救った男性「人を助けることは生きがい」(中国)

TechinsightJapan 2024年9月9日 13時55分

中国東部江蘇省の南京長江大橋は“自殺の名所”と言われるが、この橋で21年間、一日10回ほどボランティアでパトロールを続ける男性がいる。「南京の天使」と呼ばれる男性は、これまで橋から飛び降りようとする460人以上を救ってきた。中国のニュースメディア『微信公众平台』などが伝えた。

江蘇省の省都、南京に住むチェン・シーさん(陳思、56)は、南京長江大橋が建設された1968年に誕生した。幼少期に母親を亡くし、父親が病気だったため祖母に育てられたそうで、人を説得する話術は隣人間のトラブルの仲介をしていた祖母から学んだという。

チェンさんが、南京長江大橋で初めて人を救ったのは2003年9月19日のことで、21年間で460人を超える自殺志願者を救ってきた。チェンさんは中国語で「日々、命を大切にしよう」と書かれたジャケットを身に着け、一日に約10回、橋の上をパトロールする。そして橋から飛び降りようとしている人に声をかけたり、飛び降りる寸前の人を体を張って助け出したりしている。

「心に重い葛藤を抱えている人は動きが硬く、重い」と語るチェンさん。自殺志願者には「息をしてさえいれば、人生をやり直す希望が持てる」と説得するそうで、今年7月24日の時点で469人が橋から飛び降りるのを防いでいる。



それでも「あと少しで命を救えたのに」ということが何度かあり、「最初の数年は、飛び降りた瞬間の光景を思い出して『救えなかったのは自分のせい』と悩み苦しんでいた…。それで今では『間に合わない』と思ったら、現場を直視しないようにしている」と明かす。



ボランティアといえどもチェンさんの入れ込みようは相当なもので、活動を始めてから3年後の2006年には、「橋の上での自殺を止めるだけでは人を救えない」と、約160万円(8万元)の貯金を使い、救済した人のために滞在できるバンガローを借りた。部屋には2つのベッドがあり、希望に応じて最短で3~5日、最長で1~2年間滞在できるそうだが、チェンさんは「一度滞在し、生まれ変わった人が再び訪れないように」と6回も住所を変えている。

ほかにも、大学に入学したものの授業料が払えない少女の自殺を思いとどまらせ、友人らと一緒に約20万円(1万元)を集めるなど心に寄り添った活動を続けている。

さらにチェンさんは21年間、電話番号を変えておらず、心の病を抱える人の相談相手にもなっている。ただ、メディアなどがチェンさんのことを取り上げた際には、悪ふざけも含めて一日に数百件の電話がかかってきたこともあり、現在は午後9時になると携帯電話の電源を切り、しっかりと睡眠をとるようにしている。

物流会社で派遣社員として働いており、結婚して娘がいるチェンさんの月収は8万円(4千元)以上だが、人命救助の費用は一部の社会福祉団体からの寄付を除き、全て自分で負担している。チェンさんは、現在の自分についてこう述べた。

「人を救うことを始めた20年以上前に比べると、観察力が鋭くなった。それで相手の背中を見ただけで、重荷を抱えているかどうか見分けられるようになった。ただ、彼らとのやりとりは一筋縄ではいかず、メンタルの負担は相当なもの。だから時にはお酒を少し飲み、ストレスを発散させているよ。」

そんなチェンさんは数年前に糖尿病と診断され、橋から飛び降りようとする人を強く引っ張ると手が震えてしまうこともあった。そこで毎日公園に行って運動し、一日に3万歩歩いて体を鍛えるようになり、家庭を守り仕事を続けながら、現在も一日約10回のパトロールを続けている。



そして「私は人が大好き。人を助けることは、自分の大きな生きがいになっている」と目を輝かせて語るチェンさんには、称賛のコメントが次々と寄せられている。

「20年以上前にニュースで見たことがある。でもこの男性が、今も人の命を救い続けているなんて思いもしなかった。」
「絶望している人に希望と生きるチャンスを与える彼は、まさに天使だね。」
「世の中には、こんなに美しい心の人がいるんだね。彼は真のヒーローだ。」
「ヒーローにはマントはいらない。この男性のような心が必要なんだ。」
「ありがとう!」

画像は『微信公众平台 「每月4000多工资,他用21年救下469人」(图/纪录片)』『Good News Movement Instagram「The angel of Nanjing.」』『South China Morning Post 「China ‘angel’ stops 469 suicidal people jumping off bridge over 21 years」』より
(TechinsightJapan編集部 A.C.)

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