米フロリダ州の生物学者らが日本時間25日、侵略的な外来種に指定されている「ビルマニシキヘビ」がシカを捕食する様子をSNSに投稿した。体重52キロの大きな個体は、顎を限界まで広げることで体重約35キロのシカを丸呑みにした。ビルマニシキヘビの顎は最大どれだけ広がるのか。米ニュースメディア『WJTV』などが伝えた。
フロリダ南西部自然環境保護団体(Conservancy of Southwest Florida、以下CSF)が先頃、ビルマニシキヘビの生態系への影響についての理解を深めるために行った研究で、驚異的な捕食能力が明らかになった。
研究は、CSFの生物学者2人とオハイオ州シンシナティ大学生物科学部のブルース・ジェイン博士(Dr. Bruce Jayne)がチームを組んで実施したもので、「ビルマニシキヘビがどれだけ顎を大きく広げることができるのか」について測定した。
対象となったのは、体長がそれぞれ約5.8メートル、5.6メートル、4.5メートルのメスの成体3匹で、今回の研究結果は今年8月、オープンアクセスジャーナル「爬虫類と両生類(Reptiles & Amphibians)」に掲載された。
同ジャーナルによると、3匹全ての個体が、それまでの研究で指摘されていた22センチよりも4センチ長い、最大26センチまで顎を開くことができると判明した。さらに口周りが81センチにも達し、CSFは「ビルマニシキヘビが顎を大きく開くことができるということは、より多くの動物たちが彼らのメニューに載っていることを意味する」とユーモアを交えて説明した。
さらにチームは、体長4.5メートルで体重52.3キロのビルマニシキヘビが、体重34.9キロのオジロジカを捕食する様子を近距離から撮影することに成功し、当時の動画を日本時間25日、SNSで公開した。
捕食されたオジロシカの体重は、ビルマニシキヘビの体重の66.9%に相当するが、動画の個体はオジロジカの体の半分以上を頭から呑み込んでおり、チームメンバーの一人が「こんな光景は毎日見られるものではない」と囁くほどだった。
実はニシキヘビは、広い顎と弾力性のある皮膚を持っており、他の種類のヘビよりも6倍大きな獲物を捕食できる。
それでもジェイン博士は、「動画の個体が呑み込んだシカは、捕食可能な限界のサイズに非常に近かった」と明かし、CSFの生物学者イアン・バルトシェク氏(Ian Bartoszek)は次のように述べた。
「侵略的な頂点捕食者が、自分の目の前で成体のシカを呑み込んでいるという光景は、忘れられないだろう。」
しかしバルトシェク氏は、「外来種であるビルマニシキヘビが在来種の野生生物を捕食することで、生態系に与える影響が非常に大きい」と指摘し、CSFのビルマニシキヘビ調査・駆除チームが過去12年間で、770匹の成体を駆除していることを明かした。
なお、ビルマニシキヘビはもともと東南アジアのジャングルや湿地帯に生息していたが、輸入されたり飼育施設から逃げ出すなどして1990年代にフロリダ州南部の湿地帯エバーグレーズに持ち込まれた。繁殖力が強く、卵を100個産むことも可能で、「フロリダ州魚類野生生物保護委員会(FWC)」はエバーグレーズのビルマニシキヘビの数は10~30万匹と推測している。FWCでは、フロリダ州において2000年以来、2万2000匹以上のビルマニシキヘビを駆除していると報告している。
ちなみに2017年には南アフリカで、4メートルほどのヘビが腹の中のシカをゆっくりと吐き出す様子が撮影され、「大きなシカを呑み込んでかなり苦しかったか、人の視線にストレスを感じて吐き出したのでは?」などと話題となっていた。またインドネシアでは2022年、体長6.7mのニシキヘビが54歳女性を丸呑みする事故が起きていた。女性はゴム農園に出かけたまま帰宅せず、捕獲したヘビの腹部を切り裂いたところ、衣服を着たままの遺体が発見された。
画像は『Conservancy of Southwest Florida Facebook「Female Burmese python measuring 14.8’(4.5m) and weighing 115.2 lbs (52.3 kg) consuming a white-tailed deer weighing 76.9 lbs (34.9 kg) in southwestern Florida」』『Conservancy of Southwest Florida 「Florida’s invasive snakes can eat bigger prey than we knew」(Image Credit: Bruce Jayne, University of Cincinnati)(Image Credit: Ian Bartoszek, Conservancy of Southwest Florida)』より
(TechinsightJapan編集部 A.C.)
フロリダ南西部自然環境保護団体(Conservancy of Southwest Florida、以下CSF)が先頃、ビルマニシキヘビの生態系への影響についての理解を深めるために行った研究で、驚異的な捕食能力が明らかになった。
研究は、CSFの生物学者2人とオハイオ州シンシナティ大学生物科学部のブルース・ジェイン博士(Dr. Bruce Jayne)がチームを組んで実施したもので、「ビルマニシキヘビがどれだけ顎を大きく広げることができるのか」について測定した。
対象となったのは、体長がそれぞれ約5.8メートル、5.6メートル、4.5メートルのメスの成体3匹で、今回の研究結果は今年8月、オープンアクセスジャーナル「爬虫類と両生類(Reptiles & Amphibians)」に掲載された。
同ジャーナルによると、3匹全ての個体が、それまでの研究で指摘されていた22センチよりも4センチ長い、最大26センチまで顎を開くことができると判明した。さらに口周りが81センチにも達し、CSFは「ビルマニシキヘビが顎を大きく開くことができるということは、より多くの動物たちが彼らのメニューに載っていることを意味する」とユーモアを交えて説明した。
さらにチームは、体長4.5メートルで体重52.3キロのビルマニシキヘビが、体重34.9キロのオジロジカを捕食する様子を近距離から撮影することに成功し、当時の動画を日本時間25日、SNSで公開した。
捕食されたオジロシカの体重は、ビルマニシキヘビの体重の66.9%に相当するが、動画の個体はオジロジカの体の半分以上を頭から呑み込んでおり、チームメンバーの一人が「こんな光景は毎日見られるものではない」と囁くほどだった。
実はニシキヘビは、広い顎と弾力性のある皮膚を持っており、他の種類のヘビよりも6倍大きな獲物を捕食できる。
それでもジェイン博士は、「動画の個体が呑み込んだシカは、捕食可能な限界のサイズに非常に近かった」と明かし、CSFの生物学者イアン・バルトシェク氏(Ian Bartoszek)は次のように述べた。
「侵略的な頂点捕食者が、自分の目の前で成体のシカを呑み込んでいるという光景は、忘れられないだろう。」
しかしバルトシェク氏は、「外来種であるビルマニシキヘビが在来種の野生生物を捕食することで、生態系に与える影響が非常に大きい」と指摘し、CSFのビルマニシキヘビ調査・駆除チームが過去12年間で、770匹の成体を駆除していることを明かした。
なお、ビルマニシキヘビはもともと東南アジアのジャングルや湿地帯に生息していたが、輸入されたり飼育施設から逃げ出すなどして1990年代にフロリダ州南部の湿地帯エバーグレーズに持ち込まれた。繁殖力が強く、卵を100個産むことも可能で、「フロリダ州魚類野生生物保護委員会(FWC)」はエバーグレーズのビルマニシキヘビの数は10~30万匹と推測している。FWCでは、フロリダ州において2000年以来、2万2000匹以上のビルマニシキヘビを駆除していると報告している。
ちなみに2017年には南アフリカで、4メートルほどのヘビが腹の中のシカをゆっくりと吐き出す様子が撮影され、「大きなシカを呑み込んでかなり苦しかったか、人の視線にストレスを感じて吐き出したのでは?」などと話題となっていた。またインドネシアでは2022年、体長6.7mのニシキヘビが54歳女性を丸呑みする事故が起きていた。女性はゴム農園に出かけたまま帰宅せず、捕獲したヘビの腹部を切り裂いたところ、衣服を着たままの遺体が発見された。
画像は『Conservancy of Southwest Florida Facebook「Female Burmese python measuring 14.8’(4.5m) and weighing 115.2 lbs (52.3 kg) consuming a white-tailed deer weighing 76.9 lbs (34.9 kg) in southwestern Florida」』『Conservancy of Southwest Florida 「Florida’s invasive snakes can eat bigger prey than we knew」(Image Credit: Bruce Jayne, University of Cincinnati)(Image Credit: Ian Bartoszek, Conservancy of Southwest Florida)』より
(TechinsightJapan編集部 A.C.)