Infoseek 楽天

【海外発!Breaking News】公立学校76%に給食費未払いの生徒 「温かい給食を食べられず恥をかく」子供達(米)

TechinsightJapan 2017年6月4日 21時48分

米・学校栄養協会(School Nutrition Association)によると、アメリカでは公立学校の学区 (スクール・ディストリクト)の76%で、給食費の支払いが滞っている生徒を抱えているという。親が給食費を支払うことができないと子供は温かいランチを口にすることができず、冷たいサンドイッチを食べなければならない。その子供たちは学校でいじめの対象になりやすく、近年そうした厳しい学校規則が話題となっていた。このほど度重なる「Lunch Shaming」のニュースに心を痛めたひとりの父親が立ち上がった。

米『CBS News』が伝えたところによると、ワシントン州シアトルに暮らす小学3年生の息子を持つ父親ジェフリー・ルーさんは最近ニュースで伝えられている「Lunch Shaming(温かい給食を口にすることができずに恥をかく子供達)」に心を痛めていた。

何らかの事情で親が子供の給食費を支払うことができなければ、ホットミール(温かい給食)を食べたい子供達の給食費は学校経費から捻出されることになり、学校側の負担額が増える。そうした状況を打破するために、学校側は「給食費を支払えない子供には温かい食事を与えることを禁ずる」という規則を設けた。

しかしそれは子供たちには酷な話である。昼食時に給仕係から「あなたは昼食代を払っていないからホットミールは食べられないよ」と言われると、幼心が傷つくだけでなくからかいやいじめの対象になる。温かい給食を食べることができないと知り、目に涙を溜める子供たちを見ている給仕係にとってもそれは辛いことであり、昨年9月にはピッツバーグにある小学校で給仕係をしていた女性がそうした状況にたまりかねて職場を去ったニュースも『CBS News』で報じられていた。

「Lunch Shaming」のニュースを知っていたジェフリーさんは、このほど寄付金サイト『GoFundMe』を立ち上げ、親の経済的事情などでホットミールが食べられない生徒たちを1人でも減らそうと学校側が抱えている給食費の負債額を問い合わせた。

ジェフリーさんの息子が通う学校が抱えていた負債額は97.1ドル(約1万円)だったので、ジェフリーさんはその金額に合わせて寄付金アカウントのゴールを設定した。すると数日で目標金額に達した。さらにジェフリーさんはシアトルの公立学校が抱える給食費の負債額を学区教育機関に問い合わせたところ、負債額20,531.79ドル(約226万円)という数字が明らかになった。

この金額はシアトル内にある99の公立学校の合計負債額であるが、ジェフリーさんの予想していた金額を遥かに超えたものだった。しかしジェフリーさんは諦めなかった。地元のFacebookアカウントページに、寄付金サイトのリンクを貼り、「キャンペーンを行っているのでどうか協力してほしい」と全ての親に訴えかけた。すると、あっという間に寄付が集まり5月9日に設置したアカウントには既に44,815ドル(約490万円)の募金が寄せられた。現在、ジェフリーさんは当初の目標金額21,000ドルから50,000ドルに引き上げ、シアトルの給食の負債を支払って残ったお金を他の学区に回す予定だという。ジェフリーさんは、次のように話している。

「子供というのは時に残酷です。ホットミールを口にできない子供たちをからかったりするので、お金がない子供たちにとっては非常に気の毒で厳しい規則だと思います。どの子供も、お金がないからといって空腹であるべきというのは間違っています。経済的に困窮している家庭の子供でも、他のクラスメートと同じ食べ物を食べて、恥ずかしい思いをしないようにさせるべきなのです。今回、やってみなければ結果はどうなるかわからないと思い寄付金アカウントを設置しました。ここまで募金が寄せられて本当に嬉しいです。」

なお『CNNMoney』は「Lunch Shamingをやめるべきだ」という声に応え、先月ニューメキシコ州でこの制度自体が禁止されたことを報じている。アメリカでは未だ多くの子供達が2.35ドル(約260円)の給食費を支払えない状況であり、「Lunch Shaming」を廃止し無料で給食の提供を始めた学区も多い。フリーランチの提供を受けている生徒数は2000年の1300万人から2000万人(全生徒の40%)に増加しているという。

ジェフリーさんはワシントン州の学区全て、さらにはアメリカ全土にこの善意のキャンペーンが広がってくれることを期待して、今後も学区ごとに新たに寄付金アカウントを設置する予定だそうだ。

画像は『GoFundMe 2017年5月9日付「Erase Seattle School Lunch Debt!」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)

この記事の関連ニュース