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【海外発!Breaking News】1日6リットル超の母乳を寄付し続ける母親(米)

TechinsightJapan 2017年7月31日 21時41分

何らかの理由があり、母乳で子供を育てられない母親は存在する。米オレゴン州に暮らす2児の母親は、そうした人々のために母乳を搾乳し寄付しているが、2年半でその総量は78,000オンス(2,306リットル)にも上るという。『Today』『New York Post』や『The Sun』などが伝えている。

オレゴン州ビーバートンに住むエリザベス・アンダーソン=シエラさん(28歳)は、夫デイヴィッドさん(52歳)との間に生まれた2歳半になるイザベラちゃんと生後6か月のソフィアちゃんの母親だ。2014年12月末にイザベラちゃんを妊娠した時、母乳が過剰に出ることに気付いたエリザベスさんは、医師に「乳汁分泌過多症候群」と診断された。

生後6か月の子に授乳する母親の平均母乳量は1日1リットル以下、もしくは25オンス~30オンスに対し、エリザベスさんは一度に70オンス~80オンスの母乳が出るという。イザベラちゃんの時には1日に168オンス(4.9リットル)、今も1日5回授乳しているソフィアちゃんを生んでからはさらに増え、225オンス(6.6リットル)も出るそうだ。

平均的な母親の何倍もの母乳が出るエリザベスさんは、2人の娘を育てながら2年以上も母乳を寄付し続けている。もともとエリザベスさんは捜索や救助などの訓練を受けた沿岸警備隊員として勤務していた頃から、人命救助と人助けを使命とし、献血にも協力してきた。妊娠したため献血は止めたが、代わりに母乳の寄付先を探すようになったという。イザベラちゃんの出生後は少量でも寄付できればと搾乳を始めたところ、その量は日に日に増え、2015年2月までには自宅の冷凍庫2台が母乳でいっぱいになったそうだ。

エリザベスさんは当初、地元で母乳を必要とする人々に寄付していた。自宅まで受け取りに来る人たちの中には、乳がんや薬を服用しているために授乳できない人、また男性のゲイカップルなどがいた。どんな人にも差別することなくエリザベスさんは母乳を無料で差し出した。その時には、母乳が未検査であるために隔月血液検査の結果を必ず提供した。

しかし冷凍庫4台にまで増えた母乳を保存し続けるには、コストもかかる。そこでエリザベスさんは「Tiny Treasure Milk Bank」に登録し、搾乳した母乳の半分をそこに寄付するようになった。このミルクバンクは、NICU(新生児集中治療室)の低出生体重児のために提供されており、エリザベスさんには1オンス(29ミリリットル)ごとに1ドル(約110円)が報酬として支払われる仕組みになっている。これまでの報酬で、エリザベスさんは搾乳に必要な設備や備品を買い揃えた。しかし母乳のストック量が多いため自腹を切ることもあるという。それでも「お金のためではなく、好きだからしているのです」とエリザベスさんは明かす。

「この数年、母乳の寄付は私の生活の一部になっています。初めはとても辛かった。搾乳は痛いし決して楽しいものではありませんが、この2年半は一度も休まずに搾乳し続けています。だいたい1日5時間は搾乳しますが、母乳を袋詰めしたり器具を消毒したりすると1日8~10時間はかかってしまいます。最初は母乳を全部出し切ってしまって我が子に与えられなくなったらどうしようという不安もあったのですが、今はそんな気持ちはなく、自分も地域住民の一人として何かの形で恩返しできたらという思いで寄付しています。私は神様からのギフトを与えられ、そのギフトをシェアしているのだと。母乳は“液状の金”と言って良いほど価値あるもので、決して無駄にすべきではありません。社会にはたくさん母乳を必要としている人がいるので、他の母親たちも母乳がたくさん出たら、寄付することを考えてくれるといいなと思っています。」

エリザベスさんは今年の初め、念のために医師の検診を受けた。しかし健康上の問題は見当たらず、甲状腺か脳下垂体の影響だろうと診断されたようだ。小児科医で授乳専門医のロリー・フェルドマン=ウィンター医師は「エリザベスさんの場合は特異です。母乳が過度に分泌される症状を持つ女性でも、1日33オンス~40オンスがいいところです。この症候群の母乳は炭水化物が多く、脂肪分が少ない傾向にあるので乳児の体重増加のスピードが遅れたり、逆に炭水化物の過剰摂取で肥満になってしまうことがあります。大量に母乳が出ると気付いた母親は、医師の定期検診を受けることが大切です。エリザベスさんの場合もそうですが、きちんと処理され、専門家によって分析された母乳こそ価値があるのです」と話している。

決して容易ではない搾乳を日々何時間も行い、母乳を必要としている誰かのために尽くすエリザベスさんは「母乳を寄付し続けることは、誰かの人生に第2のチャンスを与えてあげられる臓器移植と同じという思いがあります。私には大量の母乳がありますから」と語っている。

フェルドマン=ウィンター医師も「時間を束縛されながらも、母乳を寄付し続ける彼女の寛大さには頭が下がります。特にNICUの低出生体重児たちにとって、母乳は成長に欠かせないものですから」と話す。このニュースを知った人からも「素晴らしいわ。まさに神からのギフトを与えられた人ね」「素敵なニュースで心が温かくなる」「これからも寄付、頑張って」といった声があがっている。

画像は『New York Post 2017年7月26日付「Woman spends 10 hours a day pumping breast milk - for other people’s kids」(SWNS)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)

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