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【エンタがビタミン♪】<高見沢俊彦インタビュー>ソロ活動で“刺激”を受けた25年 「新しい扉を開くのは楽しい」

TechinsightJapan 2017年8月27日 21時0分

「THE ALFEE」の高見沢俊彦が、ソロ活動25周年を記念してベストアルバム『美旋律 ~Best Tune Takamiy~』を8月30日にリリースする。同アルバムは、高見沢が収録曲全曲、ヴォーカルを録り直したというこだわりの一枚だ。また、通常盤に加えて、初回限定盤Aには未発表音源やライブ音源を収録したボーナスCDが、初回限定盤Bには未発表曲を含むMVを収録したボーナスDVDが付いてくる。今月22日には小説家デビューも果たし、63歳にしてなお新しいことに挑戦し続ける高見沢に、テックインサイトがじっくり話を聞いた。

■ソロ活動で「刺激」を受けた25年
―ソロ活動25周年おめでとうございます。振り返って、いかがですか?
高見沢:ソロを始めて、いろいろなアーティストとコラボしたということがすごく刺激になって、いい意味でアルフィーに返っていったと思いますね。ソロをやる目的は「For THE ALFEE」で、アルフィーを長持ちさせるためですから。僕はアルフィーの楽曲を作っていますから、クリエイターとして自分が刺激を受けることが一番いいと思っています。そういう意味では刺激を受けた25年で、クラシックもありましたし、今は小説までですから、いろいろな新しい扉を開くことができました。

■ソロ活動の目的は「For THE ALFEE」
―すべて「THE ALFEEのため」なのですね?
高見沢:そうですね。それを如実に表すのは、ソロをやるとき普通は本体(=THE ALFEE)を休みますよね? 僕は休みませんから。そこを見ていただくと分かりますけど、自分が持って帰ったものはすぐアルフィーに活かしたいんですよね。2年続けてやった『INNOVATION CLASSICS』でクラシックの良さを改めて知って、この良さをどうにか活かしたいと思って作ったのが、最新シングル『あなたに贈る愛の歌』(2017年5月24日発売)です。「オーケストレーションで歌ったら気持ちいいだろうな」と思いながらね(笑)。絶対タダでは転ばないようにできています。「これはアルフィーで使えるかな」と常に探していますし、何かやったらアルフィーに必ず活かすようにしていますからね。

―高見沢さんのそのような思いを、坂崎さんと桜井さんはご存じですか?
高見沢:もちろん! あ、いやたぶん分かっていると思いますよ。収録や取材でも言っていますから、言葉じゃなくても姿勢で分かってくれていると思いますけどね。



■今のベストな歌い方で歌い直した『美旋律 ~Best Tune Takamiy~』
―では、今回のソロ活動25周年記念のベストアルバム『美旋律』について教えてください。
高見沢:2007年からの(ソロ活動)第二期がメインになっていまして、今のベストな曲を集めました。今回、自分が歌い直したい歌を集めた部分もあります。2014年に喉を壊してから歌い方を変えてシャウトをしなくなったので、丁寧に歌うことを心がけています。今のベストな歌い方でやってみたい曲を集めました。それが『美旋律』のひとつの特徴かもしれませんね。

■歌い方を変えてメロディーが際立った
―特に歌い方が変わったのはどの曲でしょうか?
高見沢:一曲目の『Fantasia ~蒼穹の彼方』は、当時の歌い方を聞くと今とはずいぶん違います。当時は勢いというか、がなってシャウトする部分がありますが、そうするとマスキングされて、曲本来のメロディーラインがちょっと隠れちゃう気がしていたんですね。今回がならないで歌うと、激しい曲であっても旋律、メロディーが際立った気がしますね。

―つまりアルバムタイトルの“美旋律”はそのような意味からきたと?
高見沢:そうですね。たまたま『Fantasia ~蒼穹の彼方』に“美旋律”という言葉が入っていて。でも当時はそれにすら気づかなかった。歌い直して、「あ、これいいじゃん」って(笑)。

■豪華な作詞陣も魅力
―THE ALFEEの曲は高見沢さんがほとんど作詞作曲を手がけていらっしゃいますが、今回のベストアルバムでは宮藤官九郎、綾小路翔、ANCHANG、秋元康、つんく♂、Elvis Woodstock(リリー・フランキーの別名義)と作詞陣も豪華ですね。
高見沢:そうですね。第二期の最初の頃は作詞を他のアーティストの方に頼んで書いてもらった曲が多かったので、それもとりあげました。他にはシングルがその時代の象徴でもありましたので、それを結構メインにしてみました。

―音楽的に見て、THE ALFEEとソロとの大きな違いは何でしょうか?
高見沢:まず、コーラスがない。そしてギタリストとのコラボが多くなる。アルフィーよりも激しいものが多くなる、ですね。

■ギターは弾き手の人間性が出る楽器
―ギタリストとのコラボと言えば、2007年の「有明コロシアム」でのソロライブでも、王子連合(ルーク篁、ANCHANG、KOJI)の皆さんとの演奏が圧巻でした。ギタリスト同士4人でコラボしてバッティングしないものですか?
高見沢:ギターって不思議なもので、同じギターを持っていても弾き手によって全然音やフレーズが違うんですよね。弾き手(人間)の性格が出るのかな? それをすごく感じました。もちろんリードギタリストは「前に出て弾きたい」という人間が多いとは思うんですが、たまたま僕が年上なので(笑)、「とりあえず後ろにいてくれ。出るときはポンと出ても構わないけど…」って、そこはアンサンブルとしてやってもらいましたけどね。ただやっぱりみんなで横並びで弾くというのは楽しいですね。結構面白いですよ、本当に。そういうことは普段ないですからね。だってリードギターが3、4人いるバンドはないよね。

■次回のソロライブでは鳥山雄司と
―9月2日、3日に「パシフィコ横浜」で行うソロライブにはギタリストの鳥山雄司さんが出演なさるそうですね?
高見沢:昔から知っているギタリストで、彼のスキルはすごいものがありますから、一度一緒にやってみたいという気持ちは強かったですね。彼はジャズからメタルまで何でもできるオールラウンドなギタリストですが、そう滅多にいないですから。そういう部分では非常に注目していたギタリストなので、一緒にやったら面白そうだなと。

■今までと違うソロライブに
―そうすると、今度のライブはオールラウンドな曲調になるということですか?
高見沢:そうですね。激しい曲だけではなく、去年「ビルボードライブ東京」でやったようなイメージと、今までやってきたメタルチックなTakamiyソロとの融合みたいなものをやってみようと思っています。2017年のソロライブは、今までとちょっと違う感じにしたいですね。



■小説家としてデビュー!
―ところで、8月22日発売の『オール讀物 2017年9月号』(文藝春秋)で、初の小説を発表されました。タイトルは『音叉』ということですが、あの2又に別れた器具の音叉(おんさ)でよろしいんでしょうか? どのようなストーリーですか?
高見沢:(音叉の音を真似て)ポーンと(笑)。ギタリスト誰もがチューニングに使った音叉ですね。ストーリーは青春群像物語で、70年代をメインにした、バンドがデビューするかしないか、そういう話の中で恋愛や世相や学生運動が入ったりします。決して伝記や実話ではなく、あくまでも「創作」というカテゴリーです。

■新しい扉を開くのは楽しい!
―高見沢さんはもともと読書家でいらっしゃいますが、小説も執筆されるとは驚きました。他にソロ活動でなさりたいことはありますか?
高見沢:今、小説で精いっぱいですね。『音叉』をまず完成させたいですね。今回『オール讀物』に掲載されたのは第一話で、単行本に向けて今、続きを執筆中です。主人公が独り歩きしていくので、そこをセーブしながら書いていますが、なかなか面白いです。オファーを受けてから、自分は音楽畑で長年やってきましたので「(小説で)自分なりの違った表現ができるのかな?」と思って書き始めましたが、楽しいですよ、新しい扉を開くのは。

■人生を自分らしく生きたい
―高見沢さんは、新たなことにも挑戦していらして、常に進化し続けている気がします。
高見沢:人生なんて一回しかないわけじゃない? その人生をやっぱり自分らしく生きたいじゃない? この世に「生」を受けた以上、望まれていることをやりたいし、望んでいることをやりたいし、「年齢は関係ない」と身をもって証明したいね。還暦は終わりじゃないよと。

―今「自分らしく」とおっしゃいましたが、高見沢さんにとって「自分らしさ」とは何ですか?
高見沢:そうだなあ、いろいろなものに興味を持つこと。何か作り上げたいということ。音楽もそうだけどクリエイトしたい。そういう自分でいたいね。

■今のTakamiyを堪能して!
―最後にメッセージをお願いします。
高見沢:ベストアルバム『美旋律 ~Best Tune Takamiy~』はTakamiyのベストなチューンを歌っていますので、是非とも今のTakamiyをこのアルバムで堪能して欲しいです。そしてTHE ALFEEの秋のツアーで待っています!

THE ALFEEについて、高見沢はよく「ぬるま湯の関係」と表現している。一見簡単なようだが、ぬるま湯を保つには、「熱くなったら冷まさなくてはならない、冷めたら温めなければならない」と少しの手間や努力が必要なことも補足している。長年つかってきた居心地の良い「ぬるま湯」には、ときに高見沢のソロ活動という「刺激」が必要なのだろう。折しも8月25日にTHE ALFEEはデビューから満43年を迎えた。44年目に突入してなお、進化し続ける高見沢俊彦、そしてTHE ALFEE。今後もその動向から目が離せない。





(TechinsightJapan編集部 関原りあん)

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