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【海外発!Breaking News】GPSマップ過信は禁物 老夫婦、米ユタ州の荒れ果てた渓谷を6日間彷徨う

TechinsightJapan 2017年10月17日 16時15分

「GPSアプリは絶対のモノ、信頼してよし…そう思っていたらタイヘンなことになってしまった」と語るのは、米テキサス州のある夫婦。誤った誘導によりユタ州の荒涼とした山岳地帯の道に迷い込み、救助を求めて数日間も彷徨ってしまったそうだ。ユタ州のメディア『KSL-TV』や『St George News』が伝えている。

米ユタ州とアリゾナ州に跨り、グランドキャニオンに続くコロラド川に設けられた貯水池のパウエル湖。年間200万人もの観光客が訪れるというこの湖にテキサス州ヒューストンから訪れようとしたのは、ジェラルド・バイラーさん(76)と妻のヘレナさん(78)であった。9月26日午前、ユタ州南部ケーン郡のカナーブ市にあるモーテルからレンタカーで出発したが、その東側に広がる莫大な面積のグランド・ステアーケース=エスカランテ国定公園のある道で10月2日、倒れているヘレナさんを付近の牧場主により発見された。

また避難のためのトレーラーを見つけ、上空に向けて石と花を組み合わせた「SOS」サインを作ってから中で体力を温存していた夫のジェラルドさん(76)も続いて発見された。ジェラルドさんは話すことが出来たものの重度の脱水症状を起こして動けず、ヘレナさんはそれに加えて意識が混乱とし幻覚症状を訴えていた。ジェラルドさんはユタ州セントジョージの「Dixie Regional Medical Center」に、ヘレナさんはカナーブの「ケーン病院」に搬送されたが、共にあと一日救出が遅ければ命はなかったとのこと。ジェラルドさんはヘレナさん以上に回復の時間を要しているもようだ。

真っ青な空の下に赤土の奇岩や大地が広がる有名な観光地のブライスキャニオン国立公園、ザイオン国立公園、そしてグレンキャニオン国立レクリエーションエリアがあるケーン郡。そのあたりも崖は険しく荒野は果てしなく乾ききっており、大きな岩が所々に転がるなど夫妻の乗ったセダン車のタイヤが未舗装の道でパンクするのは時間の問題であった。

彼らは当時、GPS機能を利用したマッピングアプリを使用していた。ヘレナさんは途中から「おかしい」と口にするようになっていたが、ジェラルドさんは「そんなはずはない。もう少し進もう」と主張し、ついにUターンも出来ない状況に追い込まれてしまった。そこで夫妻は、そのアプリが「レイク・パウエル」ならぬ「レイク・パウエル・トレイル」に誘導していた事実を知ったという。

嵐さながらの雷雨に見舞われた初日をはじめ、途方にくれながら数日間を過ごしたバイラーさん夫妻。『KSL-TV』の取材に対し「2日目には足を痛めて動けなくなり、しかし避難所を見つけたことだけは幸いしました」と話したジェラードさん。その脇に目立つようにタオルを吊るしたのは、ヒューストンが大洪水に見舞われた際に“助けて”と知らせるサインであったからだそうだ。またヘレナさんは「自分の尿を飲みながら数日にわたり助けを求めて歩き続けたけれど、不運にも誰にも遭遇しなかった。私はGPSアプリがおかしいのではないかと早くから言っていたのに夫は聞く耳を持たなかった。こういう時に本当に知恵が働くのは女性かもしれないわね」などと話している。

カナーブ市からパウエル湖への標準的なルートについては、国道89号線を東に向かい、ビッグウォーターという地点からはナショナルパーク230号線(スモーキー・マウンテン・ロード、クロトン・ロード)、続いてナショナルパーク262号線(グランド・ベンチ・ロード)に進むのが一番確実で早いようだ。だがケーン郡保安官代理によれば、GPSアプリによるマップを見ていると所々に存在するオフロードでショートカットを図れそうな気がしてくるとのこと。「バイラー夫妻のような状況に追い込まれる観光客はほかにもおり、その都度警察による捜索活動が行われています。GPSアプリは素晴らしい機能ですが、ユタ州のこうした田舎でそれを過信するのは禁物です」と語っている。

画像は『St George News 2017年10月13日付「Crews rescue couple stranded six days in Grand Staircase-Escalante」(Photo by Tracie Sullivan, St. George News)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)

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