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【海外発!Breaking News】ヘリに消火ドローン…消防局が全力で守り抜いた超高級住宅地LAベルエア(米)

TechinsightJapan 2017年12月10日 19時45分

現地の6日未明に発生した「Skirball Fire」と名付けられた大火災により、深刻な火災に見舞われた米ロサンゼルスの超高級住宅街ベルエア。豪邸は豊かな緑に囲まれ山の尾根線に立っていることが多いが、乾いた空気と局地風「サンタアナ」が吹き荒れるなか、北東に位置するベンチュラ郡で起きた山火事による深刻な被害状況を思うと、住宅地における緑がはるかに多いベルエアで4軒全焼、数軒が半焼、死傷者ゼロ(消防士1人が頚部に火傷)とは、よくその程度で済んだものだという印象がある。そこにあるのは何といってもベルエアの特異性。ここに暮らす住民の1人が写真や情報を提供して下さったので、織り交ぜながらお伝えしてみたい。

取材にご協力いただいたのは、海外ワーキングマザー育児人気ブログランキングで1位をキープしている“labilingual”さん。子育ても料理もバリバリとこなすベルエア在住の日本人女性である。ランドマーク的な存在であったゲティ・センターも再開の話題が伝えられ、避難命令の部分的解除が始まっているなか彼女も自宅に帰ることがやっとできたとのこと。道路情報やスクールの再開情報に気をつけながら普段の生活に戻れたそうだ。

先にはメディア王として知られる大富豪ルパート・マードック氏の所有するワイナリーが半焼したことをお伝えしていたが、彼の次男で現在21世紀FOXの共同会長(CEOは長男ジェームズ・マードック氏)を務めているラクラン・マードック氏の豪邸や、エンタメ系の弁護士や女優の豪邸も被害に遭ったもよう。エリアの住民に対しては被害状況が開示されるため、こうした情報は隠しようがないのだろう。2か月前に引っ越してきたばかりの若いカップルは8億円の家を失ったが、保険のおかげでもっときれいな豪邸に建て替えるのではないかといった話も聞こえてきているそうだ。

今、labilingualさんの自宅周辺はとても穏やかであるとのこと。「近くのマーケットには消防車両が待機しているけれど、学校も休みで住民以外進入禁止にするため警察車両が道路をブロックしてしてくれているんです。これがアメリカのほかの土地だったら、見物人とか無数のメディアが駆け付けてパニックや事故が多発してしまうところですが…」と語る。labilingualさんは自宅に設置してあるセキュリティカメラを通じてスマホから自宅の様子を知ることができたといい、これは大きな安心感のひとつであったに違いない。“火事場泥棒”という言葉があるが、裕福な者ばかりが暮らし、隣同士が信頼し合っているこのような地区ではそれも起きない。またゲートで区切られていることを知っているせいか野次馬が近づくこともない。避難や消火活動がスムーズに行われ、強奪行為なども起きなかったことに住民もベルエア地区の特異性、優位性を痛感したことであろう。

labilingualさんの近隣住民はまた、ロサンゼルスの高級ホテル「W Los Angeles - West Beverly Hills」が善意から割引価格で避難者やペットを受け入れるとしたものの、満室にはならなかったと話している。住民の多くが少し離れたマリブほか安全な場所にある別荘、親類・知人宅などに車で避難していたためだ。日本と同様にロサンゼルスでも学校の体育館や大型の公共施設が避難所に指定されたが、仮設のベッドやピザ屋さんからの善意の差し入れ、赤十字社から水、お菓子などが提供されたにもかかわらずガラガラだったことも判明した。無料で避難施設まで送り届ける配車サービス“Lyft”も、山火事で大変な被害を出してしまったベンチュラ地区ではかなりの待ち時間を要したというのに、ベルエアでの利用者は稀であったそうだ。

過去には1961年の大火で壊滅的被害を受けていたベルエア。その時は約500軒の家屋が全焼したが、今回は全焼4軒で半焼を含めても被害に遭ったのは12軒と報じられている。このたびの勝因は消防隊員ばかりか兵士らも各種の救援活動にあたり、何といってもヘリコプターや小型飛行機が空から徹底した消火活動を行い、多数の消火ドローンが宙を舞ったことにありそうだ。それでも細かい所の消火活動や鎮火の確認は消防士が責任を持って行っており、それはLA郡・同市の消防局が一丸となってのまさに威信をかけた真剣かつ懸命な作業。labilingualさんは「よく行くマーケットに待機中の消防車がたくさん停まっていて、差し入れを手に少し話を聞きました。隊員の皆さんには心から感謝しています。あれだけの被害で収まったのはすべて彼らのおかげです」と語っている。

大富豪やハリウッドセレブが多数暮らすこのエリア。そして焼け落ちるのではないかと非常に心配されたゲティ・センターも、懸命な消火活動によりなんとか無事であった。車庫に置いて来ざるを得なかったコレクションの愛車も含め1世帯ごとの資産は想像を絶するものがあり、住民の強い不安と並行して保険会社もかなり慌てているとも報じられた。全米市民が固唾を飲んでテレビの画面を見守ったベルエアを襲った大火災「Skirball Fire」だが、全焼4軒との報道には最新の消火システムや隊員の作業能力の高さに驚く一方、ベルエアだからここまで頑張ってもらえたのだろうという印象も拭いきれない。

画像提供:labilingual.wixsite.com/labilingual
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)

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