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【海外発!Breaking News】「救急車をタクシー代わりに使うな」助産師に非難された19歳妊婦、数時間後に赤ちゃんを亡くす(英)

TechinsightJapan 2017年12月16日 21時7分

妊婦が深刻な痛みを訴えていたにもかかわらず、真摯に対応するどころか「救急車をタクシー代わりに使うな」と非難した助産師。追い返された女性はその数時間後に赤ちゃんを亡くした。今年7月末に起きた悲劇の死因審問がこのほど裁判所で行われ、その全容が明らかとなった。英メディア『The Bolton News』『The Sun』『Daily Record』などが伝えている。

英ボルトンのファーンワースに住み、医療・公的介護サービスの勉強をしている学生エリーズ・フリットクロフトさん(19歳)は、パートナーのマッコーリー・タトロックさん(21歳)との間に授かった息子ドミニク君を出産後に亡くしてしまった。

妊娠20週目の検査時にハイリスク妊婦であることを告げられたエリーズさんは、7月29日に激しい腹痛を感じ「もしや良くないことが起こっているのでは」と不安になり、一刻も早く助産師に会おうと決めた。

エリーズさんの母親は娘を病院まで車で送っていくつもりであったが、容態が悪化した娘を見て医師に電話し救急車を呼んだ。ロイヤル・ボルトン病院へ搬送されたエリーズさんは、産婦人科の研修医ケン・リム医師とルカイヤ・ジャマダル助産師によって診察を受けた。

ジャマダル助産師はエリーズさんが訴える深刻な痛みに取り合わず、「尿路感染症」と診断した。しかもエリーズさんに対してNHS(英国民保健サービス)の費用を無駄にしていると批判し、「あなたが呼んだ“タクシー”は300ポンド(約45,000円)もするのよ」と救急車をタクシー代わりに使ったことを激しく非難したのだ。

その後自宅に帰されたエリーズさんは、2時間半後に浴室の床でドミニク君を出産したが、我が子が瀕死の状態であると知りすぐに同病院へ戻った。23週目と5日で低出生体重児で誕生したドミニク君は、治療を受け保育器へ入れられるも、回復することなく数時間後に死亡した。

12月8日にボルトンの裁判所で行われた死因審問では、エリーズさんは我が子を失った悲しみをこのように語っている。

「病院に行った時、私はお腹に深刻な痛みを抱えていました。私の妊娠がハイリスクと言われていたことも話したのに、助産師はとても横暴で話をまるで聞いてくれませんでした。前期破水でとても情緒不安定になっていたのに、私に救急車をタクシー代わりにするなと激しく非難したのです。」

検死官にこの発言について問われたジャマダル助産師は、それを認め検死官とエリーズさんの家族に謝罪した。検死官は「助産師に悪意はなかったと受け取れるが、そんな発言は患者に対して非常に無神経で思いやりのないものだ。もしNHSのポリシーに沿ったまでというのであれば、私は過去にそんなポリシーは聞いたことがない」と述べた。

ある研究によると妊娠23週目で誕生した低出生体重児は、病院出産では30%、自宅出産の場合は15%の生存率で、生存してもその14%は何らかの障がいを抱える可能性があるとしている。ハイリスク妊婦に対して助産師が真摯な対応をしていれば、ドミニク君はもしかしたら命を落とさずに済んだかも知れない。だがこのたびの審問ではドミニク君の死因を「妊娠中の合併症による自然死」と断定した。

ボルトン地域の医療サービスを担うNHSファンデーション・トラスト(Bolton NHS Foundation Trust)のスー・エインズワース助産師長は、「私たちスタッフにより、大変な時期に多大なストレスを与えてしまったことを非常に申し訳なく思います。NHSでは、病院へ行くために救急車を利用した妊婦を落胆させるような指示を出すことをポリシーとはしていません。対応した助産師はすでに謝罪しており、今後は今回のことを教訓として患者に接してもらいたい」と病院共々謝罪した。

このニュースを知った人からは「謝罪したからってそれで済むはずないでしょう。気の毒すぎる」「こんな助産師クビにしろ」「今回を教訓として今後に生かすって、助産師長の言葉に怒りを覚える」「亡くなった赤ちゃんと家族があまりにもかわいそう」「これは大きな医療ミスではないのか」といった声があがっている。

画像は『The Bolton News 2017年12月9日付「Mum-to-be told not to use ambulance as ‘taxi service’ hours before baby’s death」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)

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