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【海外発!Breaking News】健康な8歳息子を323回病院へ連れて行き、13回の手術を受けさせた母親(米)

TechinsightJapan 2017年12月22日 5時0分

子供が健康そのものであるにもかかわらず、数々の病気を主張し我が子の体を傷つけ、7年にわたり323回の病院訪問を繰り返し、不必要な手術を13回も受けさせた母親がこのほど逮捕された。母親の言動に最初から疑いを抱いていた子供の父親は、裁判所や児童保護サービスに度々訴えるも全く受け入れられなかったという。『Fort Worth Star-Telegram』『CBS Local』『6abc Action News』など複数の米メディアが伝えている。

米テキサス州ダラスに住むライアン・クロウフォードさんは、短期間の交際でケイリーン・ボウエン(34歳)が妊娠して以来、生活が一変した。クリストファー君(現在8歳)を身ごもったケイリーンは、毎回違う病院からあれこれ理由をつけてはライアンさんに電話して体調が悪いことを訴えた。真夜中でも構わず連絡してくるケイリーンに対し、ライアンさんは「ただ自分の気を引くためにやっているんだろう」くらいにしか思っていなかったが、時が経つにつれ彼女の行動に疑問を抱くようになった。

事態が深刻だと気付いたのは、2009年4月にクリストファー君が誕生した時だった。妊娠33週目の早産で産まれたクリストファー君のことを「具合が悪い」と度々ライアンさんに話すようになったケイリーンは、「息子は稀な遺伝子疾患を抱えている」と複数の病院でも虚偽の供述をし医師らに治療を求め、クリストファー君には酸素吸入器を装着させた。また「息子が食事をしない」と主張し、小腸に直接チューブ(カテーテル)を通して栄養を注入する手術を受けさせ、一時は車椅子にまで乗せていたという。

2009年から2016年の間に、ケイリーンがクリストファー君をダラスやヒューストンにある病院や小児センターに連れて行った回数は323回にのぼり、健康体の息子に13回もの手術を受けさせてきた。その間、肺移植リストへの登録を試みただけでなく、今度はがんを患っていると主張しクリストファー君をホスピス(緩和ケア)にも入れていた。

クリストファー君はまったくもって不必要な手術により、生命を脅かす血液感染症にかかってしまった。その間、ライアンさんは「息子は病気ではない」ということをダラス郡家庭裁判所で毎回訴え続けてきた。しかし同裁判所の判事らはライアンさんが提示する新しい証拠を無視したうえにケイリーンの主張だけを一方的に信じており、ある判事は2012年に3歳になっていたクリストファー君との面会をライアンさんに禁じた。

「裁判所ではいつも同じことの繰り返しでした。ケイリーンは『クリストファーが死ぬ』とばかり涙ながらに言い、父親の私は子供の面倒をきちんと見ることができないので、そばにいる必要などないとも話していました。裁判所を訪れるたびに、私はまるで自分が最低の人間のように思わせられました。」

ライアンさんは一緒に暮らしていなかったものの、クリストファー君が産まれてからは毎月養育費として600ドル(約67,000円)をケイリーンに渡していた。我が子を思う気持ちは変わらないライアンさんは、裁判所から息子との面会を禁じられたことで2013年にはうつ病も患った。一方でケイリーンはクリストファー君の医療費のために寄付金サイトまで設置し、「がんを宣告され余命半年の息子をビーチに連れて行ってあげたい」と世間の同情を集めるべく募金を呼び掛けていた。

事態が動き出したのは2015年、ヒューストンの子供病院の医師がクリストファー君の検査結果や健康状態に疑問を抱き、児童保護サービスに通報したことがきっかけだった。これを受けたスタッフが自宅を訪問するも、ケイリーンは「息子は末期がんだ。医師からは息子はもう歩けないと言われた」と主張して譲らなかった。しかしこれに加えて、医療による児童虐待行為を専門に扱うタラント郡地区の検察官にライアンさんがケイリーンの件を持ち掛けたことがきっかけで、2016年に入りようやく犯罪捜査として調査が進められた。

そしてついに今年の11月、ケイリーンが「7分間深刻な発作を起こした」とクリストファー君を連れてダラスの子供病院の緊急外来を訪れた際、検査した病院側がクリストファー君に全く異常がないことを知り、児童保護サービスに通報した。児童保護サービススタッフはケイリーンのからクリストファー君と半分血の繋がったクリストファー君の姉弟の3人を引き離し、12月6日にケイリーンはクリストファー君への重傷を負わせた罪で逮捕された。

150,000ドル(約1,690万円)の保釈金が設定され身柄を拘束されているケイリーンは、医師によると周囲の同情や関心を引くために病気や怪我を捏造し自己満足に浸る精神疾患「ミュンヒハウゼン症候群」ではないかということだ。

この病気に詳しい精神分析医は、ケイリーンの8年間に及ぶ行為ついて「暴力による虐待と違って、必要のない医療を施して子供を虐待するといったケースはまだ件数が少なく、判事が的確な判断を下すことが難しい状況にあります」と述べている。また母親が我が子が病気だと言ってくれる医師を探して病院を転々とするなど、精神疾患を抱えていたことがより事件を複雑にし発覚の機会を逃してしまったことも挙げている。

酸素チューブや小腸のチューブも外されたクリストファー君は現在、半分血が繋がった6歳の弟と一緒に養護施設で暮らしている。13歳の姉は実父のもとへ預けられたようだ。クリストファー君は母親に心身ともにコントロールされ続けてきた傷を癒すため、今後はカウンセリングを受ける予定だという。

これまでクリストファー君の健康を裁判で訴え続けてきたライアンさんは、ケイリーンの嘘が暴かれたことに安堵しながらも親権を巡っていまだ闘い続けており、施設にいるクリストファー君への面会は児童保護サービスの監視のもと週に一回が許されているだけである。ライアンさんは「裁判所や児童保護サービス、病院側など全てのシステムがなっていません。ここまで来るのに、あまりにも時間がかかりすぎです。長い間、苦悩を味わった息子を早く家に連れて帰れるようになりたい」と話している。

画像は『CBS Local 2017年12月13日付「Mother Arrested For Son’s 323 Hospital Visits, 13 Surgeries, Report Says」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)

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