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【海外発!Breaking News】2.5トン分の旧通貨「ペニヒ」が持ち込まれたドイツ連邦銀行 数えたら105万枚超に!

TechinsightJapan 2017年12月21日 5時0分

2002年に欧州連合加盟国共通の現金通貨としてユーロが本導入される以前、それぞれの国では異なった通貨が使用されていた。ドイツの旧通貨「マルク」や「ペニヒ」は現在もユーロに交換が可能であるため“タンス預金”が今も銀行に持ち込まれることがあるようだ。だが今回、ニーダーザクセン州オルデンブルクのドイツ連邦銀行に持ち込まれた大量のペニヒ硬貨は合計2.5トン、約105万枚もあり、全部を数え終わるのに約半年もかかったことが『SPIEGEL ONLINE』『WELT』など複数のメディアで伝えられた。

今年5月のこと、ニーダーザクセン州ブレーマーフェルデ在住の一家がフリーザーバッグに詰められた大量の硬貨を持ち込んだ。その量が半端なく、日々多額の現金を扱う銀行員達も驚愕した。ほとんどが1ペニヒ、あるいは2ペニヒ硬貨であったこれらの重量は合計なんと約2.5トン、運搬にはトラックが駆り出されたほどであった。これら全てを銀行内部まで運ぶのにも膨大な時間がかかり、オルデンブルク支店長ハイコ・エンネン(Heiko Ennen)氏も「いつ終わるのか分からないように思えました」と話していた。

本来ならこれほど大量の硬貨はラインラント=プファルツ州マインツにあるドイツ連邦銀行のリサーチセンターに持ち込むのが普通だが、エンネン氏は他の行員達と相談した結果、今回に限り支店内で数えることを決めた。

硬貨を数えるのに通常は機械が使われるが、持ち込まれた硬貨は錆や腐食が進んでおり、機械に通すことが不可能な状態だった。同支店に勤務するヴォルフガング・ケメライト(Wolfgang Kaemereit)氏も「もし機械を使っていたとしたら、きっと破損してしまったでしょう」と明かしている。

ケメライト氏は機械を使用する代わりに、なんと自分が1つ1つこの硬貨を数えると申し出た。普通の人なら早々に音を上げてしまいそうだが、彼は「このペニヒ硬貨をいじってみたいと思ったんですよ。こういう仕事が好きなので」と言い実行に移したのだ。

そしてケメライト氏が通常業務の傍ら半年かけて数え続けた結果、これらの硬貨は全部で105万5454枚あることが判明した。数え終わるのにかかった時間はフリーザーバッグ1袋につき約1時間、合計700時間にも及んだそうだ。

硬貨を持ち込んだ一家によると、これらは亡くなった父親によって集められたものだという。遠距離トラック運転手だった父親の趣味は小銭を集めることであり、2.5トンものペニヒ硬貨は約30年かけて溜め込んだ“遺産”であった。結局これら硬貨の山は最終的に、約8,000ユーロ(約107万円)に換算されたという。

ユーロが導入された国における旧通貨の取り扱いはそれぞれの国で違いがあるが、ドイツでは現在でもマルクやペニヒはユーロと交換が可能である。今回の舞台となったドイツ連邦銀行オルテンブルク支店だけでも1日約13名の客がそのために訪れ、平均約490マルクがユーロに交換されているが、エンネン氏によると今回のように大量の硬貨が持ち込まれる事例は「ほとんどない」とのことだ。

なおドイツ連邦銀行の調査によると、ドイツでは約126億5千万マルクが今もまだユーロに交換されていないという。この額は2002年のユーロ流通開始時に、当時存在していた全ドイツマルクの約5パーセントにも当たると言われている。

画像は『SPIEGEL ONLINE 2017年12月15日付「Bankmitarbeiter zählt 2,5 Tonnen Pfennigstücke」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 椎名智深)

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