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【海外発!Breaking News】父・母・娘・息子の全員が男女入れ替わったトランスジェンダー・ファミリー(米)

TechinsightJapan 2017年12月20日 16時36分

外見とは異なる性が体内に宿っていることを感じ取り、苦しみながら成長するトランスジェンダーの人々。そのことをカミングアウトするのはいつが良いのだろうか、皆に受け入れてもらえるのだろうかと不安は尽きないはずだ。ところが最近は夫婦で、または兄弟姉妹間で男女が入れ替わったなどトランスジェンダーに関するニュースも多彩になってきている。また海外では近年、幼児期のカミングアウトも話題になっており、早期からのホルモン治療や性転換手術が容認されるようになって物議を醸している。そんななか、米アリゾナ州から珍しい話題が飛びこんできた。

フェニックスの郊外に位置するアリゾナ州クイーンクリークに暮らしているその一家。写真後方、一番左の黒いTシャツ姿の女性は男性から性転換したシャーリー・オースティンさん(62歳)、中央の眼鏡をかけた男性はシャーリーさんの婚約者で、女性から性転換したダニエル・ハロットさん(41)。右の黒いTシャツ姿の少年はダニエルさんの実子で11歳のメイソン君。娘として誕生したが今は息子として成長している。そして前方の女の子はメイソン君の姉で13歳のジョシュアさん。息子として誕生したが今は娘を名乗っている。

父、母、息子、娘とどこにでもいる普通の4人家族に見えるが、実はそれぞれがトランスジェンダーであったこの一家。全員が性同一性障害とは実に珍しいケースであろう。“パパ”のダニエルさんは地元ラジオ局『KJZZ』の取材に、トランスジェンダーとして長年の苦しみがあったこと、カミングアウトまでの経緯をこう打ち明けた。

「ある時“息子”のジョシュアがガールスカウトに参加したいと言い出したのです。その時にはっきりと私自身もトランスジェンダーであることを自覚し、息子と自分の正義のためにもカミングアウトするべきだと痛感しました。」

こうして体が訴える性に正直に生きたいと決めたダニエルさんは、子供たちを連れて離婚。その後、トランスジェンダーの子供を持つ親のために活動している非営利団体でボランティアをしていたシャーリーさんと出会った。年齢差があるものの抱えていた苦悩を共有できる2人は意気投合して婚約。ダニエルさんの2人の子供たちがシャーリーさんによく懐いていたことも大きな弾みになったという。

今ではすっかり女の子の外見を呈しているジョシュアさん。この子は「幼い頃、たぶん6歳か7歳の頃から自分は女の子だと思っていた」と語っている。実は男装が好きだった祖母の妹など、親族の中にはほかにもトランスジェンダーが存在していたことを説明するダニエルさん。「やっと自分が自分らしく生きられる時代になったことを感じています。鏡に映った男装の自分を見て、『ああ、これこそが私の完璧な姿だ』と実感しました」と話し、血を分けたわが子たちに対しても、同じように自分はどんな人でありたいのかという問題にしっかりと向き合い、それに正直に生きていって欲しいとしている。

それでも男女における身体的な能力差だけは依然として残るもの。庭仕事に意欲を見せるダニエルさんにシャーリーさんがチェーンソーの使用方法を教え、またダニエルさんがシャーリーさんに宝石の種類や料理を教えてあげることもある。2人とも実は男らしさ、女らしさという古き良き伝統的概念を大事に思うタイプだそうだ。医師になりたいというジョシュアさん、アーティストになりたいというメイソン君については、社会にしっかりと受け入れられ、夢に向かって堂々と突き進んで欲しいと真に願っているという。

もっともオーストラリアでは少し前、当時14歳の少年によるテレビ番組での激白が大きな波紋を広げていた。幼少期に女装に強い興味を示し、外見と性の違和感に苦しむようになったことから性同一性障害として2年前ほど女性ホルモン剤の投与を受けたが、胸がふくらんで髪を伸ばすようになると女子の体への憧れがなくなり、外見を元に戻したいとさえ感じるように。性同一性障害の診断はあまり早期に下されるべきではないというのが本人の結論で、未完成な体へのエストロゲン投与には重大な問題をはらんでいると警告する医師も多いようだ。

このファミリーの末っ子、メイソン君についても「どうしても男の子になりたかった」といった苦悶の様子が十分に伝わってこない。カミングアウトもきょうだい一緒なら怖くないというノリや、あるいはこの子もおそらく性同一性障害に違いないといった親の勝手な思い込みに振り回されたものではないことを祈りたい。

画像は『KJZZ 2017年12月12日付「Growing Up Transgender: An Arizona Family In Transition」(Photo by Stina Sieg - KJZZ)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)

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