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【海外発!Breaking News】12歳シリア人少年、1枚の写真がきっかけでスポーツジム永久使用権がプレゼントされる(トルコ)

TechinsightJapan 2018年1月13日 14時0分

トルコ南東部アナトリア地方アドゥヤマンにあるスポーツジム「オリンピア・スポーツセンター」でトレーニングに励むメンバーを、窓の外から眺めている少年。真冬であるにもかかわらず裸足にサンダル履き、ボロボロの灰色のセーターを着て靴磨き台を肩にかけたその少年の格好は、トルコでよく見られるシリア難民そのものであった。

今月2日、「オリンピア・スポーツセンター」で見かけたこの少年にオマー・ヤヴズさん(Omer Yavuz)は強く心を動かされた。ジムを眺める少年の後ろ姿を撮影したオマーさんは、自分が感じたこの気持ちを他の人と分かち合いたいと思い、その写真をインスタグラムに投稿した。

すると「オリンピア・スポーツセンター」のオーナーであるムスタファ・ククッカヤさん(Mustafa Kucukkaya)から「この少年を探し出したいので、同じ写真を自分のインスタグラムで公開してもいいだろうか?」という問い合わせがあったという。自身も貧困家庭の出身で子供の頃はパン屋で働かなければならなかったというムスタファさんは、少年の気持ちがよく分かると言い、自分のインスタグラムに「もしこの少年を見つけたら知らせてほしい。彼にはこのジムの永久会員になってもらいたいと思っている」というコメントを添えて、同じ写真を投稿した。

するとこの写真は、瞬く間にトルコ中を駆け巡った。これに心を打たれたのはオマーさんやムスタファさんだけではなかったようで、メディアまでもが少年の行方を探そうと協力してくれたのだ。

そうした経緯もあり、わずか2日後に道路脇で靴磨きをしていたこの少年を「オリンピア・スポーツセンター」のメンバーによって見つけられた。その後、少年はジムに招き入れられたが、それまで自分が写真を撮られたことやインターネット上に拡散されていたことを全く知らなかったそうだ。

互いの言語が違うため会話には困難が生じたものの、それでもムスタファさんたちが知り得たのは、12歳のムハンマド・フセイン君(Muhammad Hussein)は2012年に家族とシリア北東部デリゾールから逃れて来た難民であること、一家は廃品回収をして生計を立てており、ムハンマド君自身も靴磨きをして家族を支えているということであった。

後にムハンマド君の家を訪問したムスタファさんは一家が貧困の中で生活していることを知り、またそのせいで彼が学校に通えているかどうかが疑わしいことを明かしている。しかし「こうした困難な状況においても、彼はどうやって楽しく過ごすことができるか考えようとする、とても魅力的な少年です」と語る。

そんなムハンマド君にムスタファさんは、年会費225ドルの「オリンピア・スポーツセンター」を永久に無料で使用できる権利をプレゼントした。この思いがけない贈り物に、ムハンマド君は「僕はいつも自分の体重を減らすことを夢見ていました。ここで運動することでそれはきっとできるはず」と大喜びしたそうだ。その後、早速ジムに通い始めたムハンマド君は、トレーニング開始からまだ1週間ほどしか経っていないものの、努力の甲斐あって少し体重が減ったという。

ムハンマド君に訪れた幸運はこれだけではなかった。このニュースが世界中に広まったことで、ムハンマド君一家を助けたいとする申し出がムスタファさんのもとに多く届いたのだ。ムスタファさんによると、アンカラ在住の裕福なビジネスウーマンから「一家に何か送りたい」という連絡があり、国を飛び越えてカタールからも同様の問い合わせがあったという。本人が気づかないところで撮影され、SNS上で拡散された1枚の写真は、やはり本人の気がつかない間に善意の輪を広げ、多くの人々の温かい気持ちを運んでくれたようだ。

画像は『ömer yavuz 2018年1月2日付Instagram「Herkesin derdi başka; Kiminin ekmeği bayat, Kiminin pırlantası ufak. Hayat işte!」』『Borzou Daragahi 2018年1月9日付Twitter「Here’s a photo of Muhammad Hussein, 12, and Turkish gym co-owner Engin Dogan.」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 椎名智深)

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