イスラム教国のアフガニスタンで、2016年に生まれた息子を「ドナルド・トランプ」と名付けた父親がいる。しかしそれが原因で周囲から大きな非難を浴び、一家は住んでいた土地を離れざるを得なくなった。『Metro』『New York Post』『Mail Online』など複数のメディアが伝えている。
アフガニスタン中部にあるダーイクンディーという小さな村で、2016年9月3日(一部報道では8月とも)サイード・アッサドゥラさんとジャミーラさん夫妻に3人目となる子供が誕生した。夫妻は先に生まれた子供にはファティマちゃん、カリム君というイスラム教の伝統的な名前を付けていたがサイードさんは、第3子に「ドナルド・トランプ」と名付けた。
貧しい家庭環境で育ちながらも大学の学位を取得するまでとなったサイードさんは、トランプ氏が米大統領になる前からその活躍をテレビで目にしており、野心溢れる精神で富と名声を得ることに成功した同氏のファンでもあった。そして、アフガニスタン公用語のダリー語に翻訳された2004年版のドナルド・トランプ著書『How to Get Rich(裕福になる方法)』を読んだサイードさんは、「なんて素晴らしい人なんだ」と激しくインスパイアされた。そんな時に生まれた息子が、トランプ氏のように完全なブロンドヘアであったことも加えて「将来はこの子に富がもたらされるように」との願いを込め、妻の同意を得て息子をドナルド・トランプと名付けた。
ところがこの名前に親族や近隣の人々は「イスラム教徒ではない名前を付けて伝統を破った」と大激怒。サイードさんの両親も怒りを露わにし、サイードさん一家は住んでいた場所から引っ越しを余儀なくされたという。
「毎日、家の中でも状況は悪化しました。父は私が息子の名前を呼ぶたびに怒っていたのですが、我慢の限界となったようです。私は教員の仕事を諦め、家族の農場も捨てて一家でアフガニスタンの首都カーブルへ引っ越して来ました。」
現在、妻や3人の子供とともに質素な平屋で大家と一緒に住んでいるサイードさんだが、やはりカーブルでもサイードさんの息子の名前を快く思う人は少なく、3月15日には5人の近隣住民が大家のもとを訪れ、サイードさん一家を追い出すよう要求したという。サイードさんは、息子の名前が公に広まってしまったことについてこのように話している。
「地元政府当局オフィスの職員が、無断で息子の出生証明書をFacebookに投稿したようです。それ以降、多くの人が息子の名前にコメントし、私と妻はアカウントをブロックしなければなりませんでした。『お前たちを殺しに行く』、『異教徒』などといった脅迫や怒りのコメントが溢れたからです。ある人は、息子にトランプと名付けたのは私たちがアメリカに亡命するチャンスを得やすくするためだと言いましたが、私たち一家はこの国から離れたいとは思っていません。私は、息子の名前がこんなに大事になると思って付けたのではありません。しょせん名前というだけの話です。もし息子が成長して改名したいと思うのなら構いませんが、今は私の判断で名付けたことであり、息子は『ドナルド・トランプ』なのです。」
ネット上で脅迫まがいのメッセージを寄越す人々の大半は、トランプ政権うんぬんよりもサイードさん夫妻がイスラム教徒としての伝統を破ったことへの怒りが大きいようだ。驚くべきことに、サイードさんは息子の名によって広まってしまった論争をあまり気にしていないのか、このような発言もしている。
「トランプ大統領に会って、アフガニスタンに平和と安定をもたらしてほしいと話してみたいですね。彼は大統領だからそれが可能なはずです。もし私に4人目の子供が生まれて娘だったら、今度はイヴァンカと名付けたいなと思っています。」
画像は『Metro 2018年3月17日付「Father faces backlash after calling son Donald Trump」(picture:AP)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)
アフガニスタン中部にあるダーイクンディーという小さな村で、2016年9月3日(一部報道では8月とも)サイード・アッサドゥラさんとジャミーラさん夫妻に3人目となる子供が誕生した。夫妻は先に生まれた子供にはファティマちゃん、カリム君というイスラム教の伝統的な名前を付けていたがサイードさんは、第3子に「ドナルド・トランプ」と名付けた。
貧しい家庭環境で育ちながらも大学の学位を取得するまでとなったサイードさんは、トランプ氏が米大統領になる前からその活躍をテレビで目にしており、野心溢れる精神で富と名声を得ることに成功した同氏のファンでもあった。そして、アフガニスタン公用語のダリー語に翻訳された2004年版のドナルド・トランプ著書『How to Get Rich(裕福になる方法)』を読んだサイードさんは、「なんて素晴らしい人なんだ」と激しくインスパイアされた。そんな時に生まれた息子が、トランプ氏のように完全なブロンドヘアであったことも加えて「将来はこの子に富がもたらされるように」との願いを込め、妻の同意を得て息子をドナルド・トランプと名付けた。
ところがこの名前に親族や近隣の人々は「イスラム教徒ではない名前を付けて伝統を破った」と大激怒。サイードさんの両親も怒りを露わにし、サイードさん一家は住んでいた場所から引っ越しを余儀なくされたという。
「毎日、家の中でも状況は悪化しました。父は私が息子の名前を呼ぶたびに怒っていたのですが、我慢の限界となったようです。私は教員の仕事を諦め、家族の農場も捨てて一家でアフガニスタンの首都カーブルへ引っ越して来ました。」
現在、妻や3人の子供とともに質素な平屋で大家と一緒に住んでいるサイードさんだが、やはりカーブルでもサイードさんの息子の名前を快く思う人は少なく、3月15日には5人の近隣住民が大家のもとを訪れ、サイードさん一家を追い出すよう要求したという。サイードさんは、息子の名前が公に広まってしまったことについてこのように話している。
「地元政府当局オフィスの職員が、無断で息子の出生証明書をFacebookに投稿したようです。それ以降、多くの人が息子の名前にコメントし、私と妻はアカウントをブロックしなければなりませんでした。『お前たちを殺しに行く』、『異教徒』などといった脅迫や怒りのコメントが溢れたからです。ある人は、息子にトランプと名付けたのは私たちがアメリカに亡命するチャンスを得やすくするためだと言いましたが、私たち一家はこの国から離れたいとは思っていません。私は、息子の名前がこんなに大事になると思って付けたのではありません。しょせん名前というだけの話です。もし息子が成長して改名したいと思うのなら構いませんが、今は私の判断で名付けたことであり、息子は『ドナルド・トランプ』なのです。」
ネット上で脅迫まがいのメッセージを寄越す人々の大半は、トランプ政権うんぬんよりもサイードさん夫妻がイスラム教徒としての伝統を破ったことへの怒りが大きいようだ。驚くべきことに、サイードさんは息子の名によって広まってしまった論争をあまり気にしていないのか、このような発言もしている。
「トランプ大統領に会って、アフガニスタンに平和と安定をもたらしてほしいと話してみたいですね。彼は大統領だからそれが可能なはずです。もし私に4人目の子供が生まれて娘だったら、今度はイヴァンカと名付けたいなと思っています。」
画像は『Metro 2018年3月17日付「Father faces backlash after calling son Donald Trump」(picture:AP)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)