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【海外発!Breaking News】性的暴行を受け妊娠した14歳少女、出産中に死亡(パラグアイ)

TechinsightJapan 2018年3月27日 4時0分

カトリックの概念を重視し中絶は違法としている南米パラグアイで、性的暴行を受け妊娠した14歳少女がこのほど出産時に死亡した。誕生した男児は、現在も病院で人工呼吸器を装着されているという。『The Independent』『The Guardian』『9News』などが伝えている。

パラグアイのイタウグアにある国営病院で、性的暴行を受け妊娠した14歳少女(名前は明かされず)が出産中に、血塊により血管が塞がれ血流が遮断される塞栓症で3度の心停止を起こした後に死亡した。4,800グラムで誕生した男児は命が助かったものの、人工呼吸器を装着されて入院している。通常、4,500グラム以上の胎児は合併症のリスクが大きいとされているが、病院理事のハーナン・マーティネズ医師は「少女の体は妊娠する準備が整っていなかった」と述べた。

同医師によると、少女は14歳という低年齢での出産によるリスクを考慮し、陣痛の20日前から入院していたという。医師らは自然分娩を予定していたが、少女が呼吸器合併症を起こしたため帝王切開に切り替えている。心停止を起こした少女に蘇生処置を試みたが、命を救うことは叶わなかった。

「National Secretariat for Children and Adolescents(小児と青少年のための国家事務局)」の局長を務めるリカルド・ゴンザレズ=ボーニュさんは3月22日、この少女に性的暴行を働いた37歳の男が逮捕されたことを明らかにした。

パラグアイでは母体が命の危険に曝されていることが証明されない限り、中絶は違法とされている。特に2015年、継父に性的暴行を受け妊娠した10歳少女の中絶を政府当局が認めなかったことから、この国での厳格な中絶禁止体制が世界で注目を浴びていた。11歳で出産したこの少女は幸いにも命を落とすことはなかったが、人権擁護運動の国際組織「Amnesty International(アムネスティー・インターナショナル)」のアメリカ理事、エリカ・ギヴァーラ=ローザスさんはこのように苦言を呈している。

「この少女は出産中に亡くなることはありませんでしたが、10代の中絶を認めないことはじゅうぶん人権侵害にあたります。この妊娠は少女にとって明らかにリスクが大きいものでした。性的暴行されたという事実があるにもかかわらずパラグアイ政府当局が中絶を拒否したことは、少女の命、健康、品位をギャンブルに賭けたようなものです。しかも政府はこの少女に、住居を与えると約束しておきながら未だにその手配はされていません。」

「“10代の子供たちが性的暴行を受けて妊娠しても、母体にリスクがない場合は出産すべき”という考え方が根付いてしまうのは非常に恐ろしいことです。パラグアイは性的暴行を受けた被害者を守り、中絶は犯罪であるという考え方を改めるべきです。また近代的な避妊法を推奨し、女性が安全に妊娠・出産できるような“性と生殖に関する権利”に関する情報を発信していくべきだと思います。」

また、同組織パラグアイ担当のロザリア・ヴェガさんは「この国は科学に基づいた性教育を行わず、政府当局はカトリック信者が多いことを理由にして宗教的信念に基づいた法律を遵守するよう推奨しているのです」と話している。

世界保健機関によると、ペルーやニカラグアを含むラテンアメリカでは15歳未満での妊娠が増加しており、20代女性と比べて16歳未満の妊産婦死亡率は4倍と言われている。また保健省の統計によると、2015年に10歳~14歳の少女が出産した人数は889人にものぼるという。

画像は『9News 2018年3月23日付「Rape victim, 14, dies in childbirth in Paraguay」(Images: ABC Color)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)

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