2017年10月に米アーカンソー州でベビーシッターが生後8か月の女児を殺害した事件が発生したが、そのベビーシッターにこのほど判決が下された。愛する我が子を失った親にとっては、懲役5年というあまりに短い刑が被告に下されたが、深い悲しみの中で母親が手記を公表し「あなたを赦す」と綴った。『Northwest Arkansas Democrat-Gazette』『Arkansas Matters』など複数メディアが伝えている。
2017年10月10日、アーカンソー州ベントン郡ロジャーズで、教師をしている母メリッサ・マックロウ=ハマーさんと父ウェイド・クラマーさんの娘メイジー=レーン・ハマーちゃんが、生後8か月でその短い生涯を閉じた。
メリッサさんとウェイドさんは、当時6人の子供のベビーシッターであり幼い息子を持つ1児の母メリッサ・ガルシア=リベラ(21歳)を信頼し、娘を預けていた。ところがその日、ガルシア=リベラは幼児用ベッドに寝かたメイジー=レーンちゃんが寝ようとせずに毛布を何度も払いのけた仕草に腹立ち、うつ伏せになっていたその子の上に毛布を被せて枕を2つ置き、部屋を出た。約1時間後にガルシア=リベラが様子を見に戻ってくると、メイジー=レーンちゃんが既に息をしていないことに気付いた。
ガルシア=リベラはメイジー=レーンちゃんを車でMercy Hospital Northwest Arkansas(マーシー病院 ノースウエスト・アーカンソー)に連れて行ったが、医師らは女児の身体が汗でびしょ濡れになっており、体温が38度あった状態で死亡していたことから、ロジャーズ警察に通報、ガルシア=リベラは過失致死容疑で2日後に逮捕された。
同警察での事情聴取で、ガルシア=リベラは「メイジー=レーンちゃんにイライラしてしまった。でも殺すつもりなどなかった」と話した。しかし当時の状況については二転、三転と供述を変え、「警察は真実ではない情報で巧妙に私を陥れようとしている」などと非難の言葉も投げかけていたようだ。警察によると、メイジー=レーンちゃんの上に乗せられていた毛布や枕の総量は3.6kg近くにもなり、後に検死解剖が行われたが、メイジー=レーンちゃんには死因となる外傷や障害、病はなく、はっきりとした死因は定かでないという。
2018年3月26日、ベントン郡巡回裁判所で行われた裁判で、ガルシア=リベラは自身の罪を認め「本当に申し訳ないことをしてしまった。自分だけでなく自分の家族もメイジー=レーンちゃんのことが大好きだった」と発言した。ガルシア=リベラには出所後5年間の執行猶予つき5年の懲役刑が下されたが、違法滞在していたことも明らかになったことから、刑期を終えた後は強制送還される可能性も高いようだ。
可愛い盛りの愛する我が子の命を奪われた母メリッサ・マックロウさんは、深い悲しみの中、メイジー=レーンちゃんの写真と手記を公表。ガルシア=リベラに対して「あなたを赦す」と綴った。手記は概ね下記の通りである。
「2017年2月7日は私にとって人生最高の日でした。流産の経験と高リスク出産を乗り越えて、ウェイドと私は美しい女児を授かりました。メイジー=レーンと名付けた娘は美しく健やかに育ち、娘の存在が私たちの全てでした。娘は8か月の間にハイキングやビーチ旅行などたくさんの経験をして、10月になる頃には歯も8本生えて、ハイハイやつかまり立ちもできるようになっていました。私は娘を幸せにするため、安全で健康に育てるため、母としてベストを尽くしてきたと思います。でも結果として、私は娘を守ってあげることができませんでした。娘はこの世からいなくなってしまったのです。私は学校で他の子供たちを見なければいけなかったという理由で、我が子を他人に預けてしまいました。そして娘は1時間も放置され、窒息死してしまった…。娘がどんなふうに息絶えたのかを知ってから、私はパニック障害を起こすようになりました。目の前に悪夢がちらついて離れず、仕事も長い間欠勤しました。私の人生はめちゃくちゃになり、娘がいなくなってからは、心に大きな穴があいてしまいました。」
「娘の死後、私は多くのことを自分に問いかけてきました。こんなことをするようなベビーシッターに自分の子供を預けるなんて、なんて酷い親なのか。親としてこれまで娘のためにしてきた決断全てが間違っていたんじゃないか。私は母親になる資格さえなかったのではないか…。娘を守ってやれなかった自分を何度も責めました。メリッサ、私はあなたに言いたい。あなたはこの手記を読んで、私に責められ憎悪を抱かれ脅されていると思うかもしれない。でも、私はそんなことしたくはないのです。」
「あなたがしたことは間違いようのない残酷なことです。それはきっとあなた自身もわかっていることでしょう。あなたを責めたところで、私もあなたも一層傷つくだけです。あなたも私と同様にこれからの人生、一生罪を背負って生きていかなければなりません。あなたは自分が犯した罪により、これから幼い息子と会えなくなってしまうのです。あなたの息子が、どれだけあなたを愛して必要としても。だから私がこれ以上あなたを責める必要はないのです。私がここであなたに伝えたいことは、『あなたを赦す』ということ…。」
「ウェイドと私はもう一度、幸せを見つけるために人生を前向きに生きるようにします。でも私たち夫婦に、わずか8か月の人生を精一杯生きた、えくぼのある小さな鼻のメイジー=レーン・ハマーという娘がいたことを、決して忘れないで。娘は私の世界そのものだったのだから。」
画像は『Northwest Arkansas Democrat-Gazette 2018年3月27日付「Baby sitter sentenced to five years in prison in Rogers girl’s death」』『Metro 2018年3月27日付「Babysitter crushed eight month-old girl to death under heavy pile of pillows」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)
2017年10月10日、アーカンソー州ベントン郡ロジャーズで、教師をしている母メリッサ・マックロウ=ハマーさんと父ウェイド・クラマーさんの娘メイジー=レーン・ハマーちゃんが、生後8か月でその短い生涯を閉じた。
メリッサさんとウェイドさんは、当時6人の子供のベビーシッターであり幼い息子を持つ1児の母メリッサ・ガルシア=リベラ(21歳)を信頼し、娘を預けていた。ところがその日、ガルシア=リベラは幼児用ベッドに寝かたメイジー=レーンちゃんが寝ようとせずに毛布を何度も払いのけた仕草に腹立ち、うつ伏せになっていたその子の上に毛布を被せて枕を2つ置き、部屋を出た。約1時間後にガルシア=リベラが様子を見に戻ってくると、メイジー=レーンちゃんが既に息をしていないことに気付いた。
ガルシア=リベラはメイジー=レーンちゃんを車でMercy Hospital Northwest Arkansas(マーシー病院 ノースウエスト・アーカンソー)に連れて行ったが、医師らは女児の身体が汗でびしょ濡れになっており、体温が38度あった状態で死亡していたことから、ロジャーズ警察に通報、ガルシア=リベラは過失致死容疑で2日後に逮捕された。
同警察での事情聴取で、ガルシア=リベラは「メイジー=レーンちゃんにイライラしてしまった。でも殺すつもりなどなかった」と話した。しかし当時の状況については二転、三転と供述を変え、「警察は真実ではない情報で巧妙に私を陥れようとしている」などと非難の言葉も投げかけていたようだ。警察によると、メイジー=レーンちゃんの上に乗せられていた毛布や枕の総量は3.6kg近くにもなり、後に検死解剖が行われたが、メイジー=レーンちゃんには死因となる外傷や障害、病はなく、はっきりとした死因は定かでないという。
2018年3月26日、ベントン郡巡回裁判所で行われた裁判で、ガルシア=リベラは自身の罪を認め「本当に申し訳ないことをしてしまった。自分だけでなく自分の家族もメイジー=レーンちゃんのことが大好きだった」と発言した。ガルシア=リベラには出所後5年間の執行猶予つき5年の懲役刑が下されたが、違法滞在していたことも明らかになったことから、刑期を終えた後は強制送還される可能性も高いようだ。
可愛い盛りの愛する我が子の命を奪われた母メリッサ・マックロウさんは、深い悲しみの中、メイジー=レーンちゃんの写真と手記を公表。ガルシア=リベラに対して「あなたを赦す」と綴った。手記は概ね下記の通りである。
「2017年2月7日は私にとって人生最高の日でした。流産の経験と高リスク出産を乗り越えて、ウェイドと私は美しい女児を授かりました。メイジー=レーンと名付けた娘は美しく健やかに育ち、娘の存在が私たちの全てでした。娘は8か月の間にハイキングやビーチ旅行などたくさんの経験をして、10月になる頃には歯も8本生えて、ハイハイやつかまり立ちもできるようになっていました。私は娘を幸せにするため、安全で健康に育てるため、母としてベストを尽くしてきたと思います。でも結果として、私は娘を守ってあげることができませんでした。娘はこの世からいなくなってしまったのです。私は学校で他の子供たちを見なければいけなかったという理由で、我が子を他人に預けてしまいました。そして娘は1時間も放置され、窒息死してしまった…。娘がどんなふうに息絶えたのかを知ってから、私はパニック障害を起こすようになりました。目の前に悪夢がちらついて離れず、仕事も長い間欠勤しました。私の人生はめちゃくちゃになり、娘がいなくなってからは、心に大きな穴があいてしまいました。」
「娘の死後、私は多くのことを自分に問いかけてきました。こんなことをするようなベビーシッターに自分の子供を預けるなんて、なんて酷い親なのか。親としてこれまで娘のためにしてきた決断全てが間違っていたんじゃないか。私は母親になる資格さえなかったのではないか…。娘を守ってやれなかった自分を何度も責めました。メリッサ、私はあなたに言いたい。あなたはこの手記を読んで、私に責められ憎悪を抱かれ脅されていると思うかもしれない。でも、私はそんなことしたくはないのです。」
「あなたがしたことは間違いようのない残酷なことです。それはきっとあなた自身もわかっていることでしょう。あなたを責めたところで、私もあなたも一層傷つくだけです。あなたも私と同様にこれからの人生、一生罪を背負って生きていかなければなりません。あなたは自分が犯した罪により、これから幼い息子と会えなくなってしまうのです。あなたの息子が、どれだけあなたを愛して必要としても。だから私がこれ以上あなたを責める必要はないのです。私がここであなたに伝えたいことは、『あなたを赦す』ということ…。」
「ウェイドと私はもう一度、幸せを見つけるために人生を前向きに生きるようにします。でも私たち夫婦に、わずか8か月の人生を精一杯生きた、えくぼのある小さな鼻のメイジー=レーン・ハマーという娘がいたことを、決して忘れないで。娘は私の世界そのものだったのだから。」
画像は『Northwest Arkansas Democrat-Gazette 2018年3月27日付「Baby sitter sentenced to five years in prison in Rogers girl’s death」』『Metro 2018年3月27日付「Babysitter crushed eight month-old girl to death under heavy pile of pillows」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)