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【海外発!Breaking News】機内で出会った見知らぬ女性に、息子を養子として託した女性(米)

TechinsightJapan 2018年4月18日 14時2分

偶然知り合っただけの女性2人には、特別な縁が隠れていた。機内で隣同士の席になったのは、お腹の子を養子に出すことを考えていた妊婦と、シングルで養子を迎えることを考えていた女性。結果としてシングルの女性は、一度出会っただけの女性が出産した子を養子にした。現在1歳半になる男児は、育ての母と生みの母との特別な関係を築きながら元気に育っているという。『Love What Matters』『PEOPLE.com』『TODAY』などが伝えた。

2016年、24歳だったサマンサ・スナイプスさんは暴力的な恋人との関係に苦しんでいた。別れることを考えながらも関係に葛藤していた矢先、妊娠が発覚。サマンサさんは母になる喜びを感じ、恋人も今後は変わってくれると願ったものの日に日に暴力は酷くなり、このままではお腹の子と自分の命が危ないとサマンサさんは恋人のもとを去る決心をした。この時、サマンサさんは妊娠12週目だった。

サマンサさんは7か月前にも、恋人の暴力から逃れるため母親に救いを求めたが、その時は手を差し伸べてはもらえなかった。しかし娘の妊娠を知った母は航空券を手配、サマンサさんは母親が暮らすアーカンソー州へ飛び、しばらくの間そこに身を置いていた。

この間、サマンサさんは激しい落ち込みに襲われた。将来になんの希望も見いだせなかったサマンサさんは、中絶を考えることもあった。それでもやはり生まれてくる子供にはもっといい人生を歩んで欲しいと願って養子縁組登録先を探し始めたが、孫を他人に手放したくないと考えたサマンサさんの母親は「自分が孫を育てる」と申し出た。サマンサさんは日常的に飲酒をしている母親のことを考えると子育ての環境としては不適切だと思いつつ、最終的な決断を下すことができず、ますます追い詰められた。

妊娠5か月になり次第にベッドから起き上がることさえも億劫に感じるようになっていた頃、気晴らしに15歳の時からハマっていたビデオゲームをするようになり、ひとりの男性と知り合った。ネットでチャットをするうちにサマンサさんはこの男性に心を開くようになり、自分の過去や現在妊娠8か月であることを打ち明けた。そのうえで「会いたい」と熱望した男性のために、サマンサさんはノースカロライナ州まで身重の体で旅することにした。

アトランタでの乗継便を逃してしまい別の便に乗り込んだサマンサさんは、ここで奇跡の出会いをすることになる。この日は遅い時間のフライトを予約していたが、便を早めて搭乗したテンプル・フィップスさん(42歳)と席が隣同士になり意気投合、2人はノースカロライナまでの1時間ほどフライトで互いのことを細かく打ち明けるまでの仲になった。

「テンプルは明るくて気さくでとても素敵な人でした。新しいボーイフレンドに会うことでナーバスになり、子供の将来のことも何も決めておらず不安な状況にいた私の話をテンプルは聞いてくれて、まるで長年の友人のような感じがしました。彼女こそ私が落ち込んでいる時に必要としていた人なのだと悟ったのです。彼女と出会えたことは奇跡の巡り合わせだったと思っています。」

過去の葛藤を打ち明けたサマンサさんに対し、テンプルさんもまた自分がこの先ずっとシングルで生きていくことへの不安や養子を育てたいと思っていることなどを話した。その後、電話番号を交換した2人は空港で別れた。サマンサさんは、テンプルさんから「もしあなたがお腹の子の将来を決めかねてどうしていいかわからないというのなら、私に託すことを考えてもらえないかしら。私にはサポートしてくれる素晴らしい地域交流もあるし友人たちもいる。良かったら考えてみて。それと何か困ったことがあればいつでも連絡して」と伝えられた。

不思議な縁を感じながら別れたその3日後の10月6日、サマンサさんは予定より3週間早く陣痛を起こし、ノースカロライナ病院で男児を出産した。出会ったばかりのボーイフレンドはとても協力的だったが、サマンサさんはテンプルさんにどうしても会いたいという気持ちが湧き、「会いに来てくれる?」と電話で尋ねた。

「息子が生まれた時、愛おしさを感じました。抱っこして母乳も与えて、もっと絆を深めようとスキン・トゥー・スキン・コンタクト(カンガルーケア)も試みました。でも普通の母親が感じるような、我が子へのたまらない愛を感じることができなかったのです。テンプルはすぐに私に会いに来てくれて付き添ってくれました。彼女は息子を見て一瞬で大好きになったようです。私が子供に感じられない思いを、彼女は息子に抱いているのだと気付きました。2人の不思議な結びつきを見て、私はこの人に頼むしかないと思ったのです。」

サマンサさんは、息子を抱っこしているテンプルさんに「この子を養子にしてもらえないか」と頼んだ。その言葉を聞いたテンプルさんはショックで震え、泣き出してしまったという。そしてテンプルさんは男児を養子として迎え入れることに同意し、男児を“ヴォーグン”と名付けた。法的な手続きを終えた2週間後、テンプルさんはヴォーグン君を自宅に連れ帰り、2017年8月に養子縁組が成立した。

自身の人生をやり直す決意をしたサマンサさんを、テンプルさんやボーイフレンドは献身的にサポートした。サマンサさんはその後、ノースカロライナ州に引っ越しボーイフレンドと一緒に暮らすアパートを見つけ、写真家としてのビジネスを展開させた。テンプルさんとヴォーグン君の暮らす家から1時間ほどの距離に住んでおり、頻繁に連絡を取り合って一緒に散歩にも出かけたりするそうだ。

「私にとってテンプルは、ヴォーグンの母というだけでなく私にとっても母であり姉であり素晴らしい友人です。子供を養子に出すことを母親に伝えると、母は裏切られたと思ったのか気に入らないようでした。それからは親子の間に大きな溝が生まれてしまい、今では関係を断ち切ってしまったような感じです。でもテンプルは、これまで私が得ることができなかった温かな家族の形を与えてくれるのです。彼女はヴォーグンとの生活に私を受け入れてくれました。私のボーイフレンドの家族もまた、複雑な事情を抱える私を受け入れてくれました。ヴォーグンとテンプルを見ていると、特別な縁があったのだと思わずにはいられないですが、私とテンプルもまた不思議な縁があったのだと思います。」

また、現在1歳半になるヴォーグン君の子育てを楽しんでいるテンプルさんもこのように語っている。

「息子を通しての結びつきというだけではなく、私とサマンサの間には真の友情があります。ヴォーグンの母としての人生は最高で、ヴォーグンは私の息子となるべくして生まれてきてくれたのかもしれません。息子は、私の心や家の中を多くの愛と喜びで満たしてくれます。感謝の気持ちを忘れることなく私は素晴らしい毎日を過ごしています。息子が成長した時には、サマンサが下した決断をきっと理解してくれるでしょう。」

今後、テンプルさんとサマンサさんはこれまでの出来事を執筆する予定という。

画像は『PEOPLE.com 2018年4月11日付「Stranger on Plane Adopts Woman’s Son After Chance Encounter: ‘They Were Meant for Each Other’」(Samantha Snipes)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)

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