12歳の時からおよそ3年間、性的暴行を受け続けた少年。加害者の女は少年が住んでいたカトリック施設の修道女で、その少年の子供を妊娠し出産までした。少年はトラウマに苦悩しながら人生を歩み、初老の男性となった頃にようやく事を公にする決意をし訴訟を起こした。しかし何より大きな結果となったのは、この男性が実の娘と62年の時を経て初対面できたことである。衝撃のニュースを英メディア『Mirror』『Express.co.uk』『Metro』などが伝えている。
英ランカシャー州リザムセントアンズにある「Franciscan Missionaries of St Joseph(聖ジョセフ・フランシスコ修道会)」運営のカトリック児童施設「John Reynolds Home(ジョン・レイノルズホーム)」で、エドワード・ヘイズさん(76歳)はおよそ3年にわたりアイルランド人でカトリック信徒の修道女メアリー・コンリース(本名ベシー=ベロニカ・ロウラー)から性的虐待を受けていた。
当時27歳だったメアリーは1953年に洗濯部屋係として同施設に入居したが、当時12歳だったエドワードさんに目をつけて性的暴行を加えるようになった。メアリーは「このことを黙っていないと、悪い子としてあんたに罰を与えるよ」と脅し、繰り返し性的虐待を加えていた。
1956年4月、エドワードさんの子供を妊娠したメアリーはサリー州ギルフォードへ出向き出産した。生まれた女児をすぐにギルフォードの家庭へ養子に出し、再び施設へ戻って来た時にはエドワードさんはある一家に養子として引き取られていた。その後、メアリーは修道女としてあるまじき行為を働いたことでアイルランドに戻され、結婚し息子2人と娘2人をもうけたが2002年に死亡した。メアリーがギルフォードで産んだエドワードさんの娘は、養子に出された後に寄宿学校へと預けられ、そこで育てられた。
エドワードさんは10代の多感な時期に凄惨な性的虐待を受け、子供までもうけた事実を知りながら人生を歩んで来なければならず、当然ながらそのトラウマは彼を苦しめた。アルコール依存症に陥ったエドワードさんは、結婚して2人の子供をもうけたものの夫婦生活は破綻を迎えた。後に過去の虐待を公にしたエドワードさんは、2012年に法律扶助を受けカトリック教会に対して訴訟を起こしたが、法律事務所に幻滅させられることも多々あった。その4年後には2万ポンド(約295万円)を損害賠償金として得ることができたが、そのお金のほとんどは法的措置費用に消えてしまった。しかしエドワードさんが一番気にかけていたのは、会ったことのない我が子のことであった。ローマカトリック教会の総本山であるバチカン(ローマ教皇庁)にも娘のことを尋ねるなどして消息を探し続け、「娘が今を幸せに暮らしているのであればそれを知るだけでいい。そうすれば自分は幸せにあの世にいける」という思いを抱き続けてきた。
一方でメアリーの4人の子供は今から10年前、一家の家系図の調査を始め、亡くなった母親に子供がもう1人いることを知った。しかしエドワードさんのニュースが報じられるまでは、自分たちの母親が性犯罪者であることや母親が産んだ長女の父親が誰であるかも知らなかった。
エドワードさんの娘は実父の行方を20年も探し続けており、リザムセントアンズに住んでいたエドワード・ヘイズという男性を訪ねたこともあったようだが、全くの別人であった。しかしついに互いの努力が実り、現在はカーライルに住むエドワードさんと今年4月29日、ロンドンで初対面を果たしたのである。
対面する前は緊張していたというエドワードさんだったが、娘を前にして感動のあまり言葉もなく泣き崩れた。初めて実父に会った62歳の娘(本人の意思で名前は公表されず)も、涙して対面の喜びを露わにした。
「62年後、ついに私は自分の父親を見つけたのです。私の4人の子供たちにとってもおじいちゃんが見つかったのです。私たちは顔立ちがとてもよく似ているので驚きました。」
青い目、鼻の形や顎のラインなどエドワードさんと娘は親子としか言いようがないほど似ているという。エドワードさんはこれまでの心境、そしてこのたび娘と会えた喜びをこのように語った。
「私が巻き込まれたこの状況は、到底正常なものではありません。性的被害に遭った後に生まれた子供が真実を知ることも、また知って名乗り出ることもまずないだろうと思っていました。私はただ、子供が元気でいるのか知りたかったのです。私ができることは、カトリック教会に救いを求めることだけでした。それでも娘の消息がわかるという望みは薄いと思っていました。でも娘が自分を探そうとしてくれていたことを知って、こんなに嬉しいことはありません。娘と私は見た目も本当に似ていて、DNA検査など必要ないほど一目で私たちが親子だということがわかります。」
「この事件が公になってから、私の生活はめまぐるしいものでした。私が経験してきた恐怖を知った人たちは憐れみの態度で接してきましたし、私はいつも人と顔を合わせることさえも恐れていました。過去の出来事を隠しながら生きることは地獄そのものでした。でも、もう恐れることはありません。今は暗闇から完全に別の世界に来たような気持ちです。娘や孫との対面が、私の過去の辛さに折り合いをつけてくれました。自分を虐待したメアリーのことももう許します。」
エドワードさんは「自分はほんの氷山の一角であり、当時は修道女から性的虐待を受けていた児童は他にもいただろう」と話している。聖ジョセフ・フランシスコ修道会のスポークスマンは「エドワードさんが入居時に虐待を受けていたという事実を知り、非常に遺憾です。心身ともに受けた虐待がトラウマとなりエドワードさんの人生を苦悩に陥れたことを真摯にお詫び申し上げたい。傷つきやすい大人や子供たちが虐待を受けるなど、教会ではあってはならないことです。エドワードさんのような出来事が二度と起きないよう、今一度私たちは厳格な安全方針のもと、運営していく所存です」と述べている。
画像は『Metro 2018年5月6日付「Man, 76, raped by nun in catholic children’s home finally meets daughter」(Photo: SWNS.com)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)
英ランカシャー州リザムセントアンズにある「Franciscan Missionaries of St Joseph(聖ジョセフ・フランシスコ修道会)」運営のカトリック児童施設「John Reynolds Home(ジョン・レイノルズホーム)」で、エドワード・ヘイズさん(76歳)はおよそ3年にわたりアイルランド人でカトリック信徒の修道女メアリー・コンリース(本名ベシー=ベロニカ・ロウラー)から性的虐待を受けていた。
当時27歳だったメアリーは1953年に洗濯部屋係として同施設に入居したが、当時12歳だったエドワードさんに目をつけて性的暴行を加えるようになった。メアリーは「このことを黙っていないと、悪い子としてあんたに罰を与えるよ」と脅し、繰り返し性的虐待を加えていた。
1956年4月、エドワードさんの子供を妊娠したメアリーはサリー州ギルフォードへ出向き出産した。生まれた女児をすぐにギルフォードの家庭へ養子に出し、再び施設へ戻って来た時にはエドワードさんはある一家に養子として引き取られていた。その後、メアリーは修道女としてあるまじき行為を働いたことでアイルランドに戻され、結婚し息子2人と娘2人をもうけたが2002年に死亡した。メアリーがギルフォードで産んだエドワードさんの娘は、養子に出された後に寄宿学校へと預けられ、そこで育てられた。
エドワードさんは10代の多感な時期に凄惨な性的虐待を受け、子供までもうけた事実を知りながら人生を歩んで来なければならず、当然ながらそのトラウマは彼を苦しめた。アルコール依存症に陥ったエドワードさんは、結婚して2人の子供をもうけたものの夫婦生活は破綻を迎えた。後に過去の虐待を公にしたエドワードさんは、2012年に法律扶助を受けカトリック教会に対して訴訟を起こしたが、法律事務所に幻滅させられることも多々あった。その4年後には2万ポンド(約295万円)を損害賠償金として得ることができたが、そのお金のほとんどは法的措置費用に消えてしまった。しかしエドワードさんが一番気にかけていたのは、会ったことのない我が子のことであった。ローマカトリック教会の総本山であるバチカン(ローマ教皇庁)にも娘のことを尋ねるなどして消息を探し続け、「娘が今を幸せに暮らしているのであればそれを知るだけでいい。そうすれば自分は幸せにあの世にいける」という思いを抱き続けてきた。
一方でメアリーの4人の子供は今から10年前、一家の家系図の調査を始め、亡くなった母親に子供がもう1人いることを知った。しかしエドワードさんのニュースが報じられるまでは、自分たちの母親が性犯罪者であることや母親が産んだ長女の父親が誰であるかも知らなかった。
エドワードさんの娘は実父の行方を20年も探し続けており、リザムセントアンズに住んでいたエドワード・ヘイズという男性を訪ねたこともあったようだが、全くの別人であった。しかしついに互いの努力が実り、現在はカーライルに住むエドワードさんと今年4月29日、ロンドンで初対面を果たしたのである。
対面する前は緊張していたというエドワードさんだったが、娘を前にして感動のあまり言葉もなく泣き崩れた。初めて実父に会った62歳の娘(本人の意思で名前は公表されず)も、涙して対面の喜びを露わにした。
「62年後、ついに私は自分の父親を見つけたのです。私の4人の子供たちにとってもおじいちゃんが見つかったのです。私たちは顔立ちがとてもよく似ているので驚きました。」
青い目、鼻の形や顎のラインなどエドワードさんと娘は親子としか言いようがないほど似ているという。エドワードさんはこれまでの心境、そしてこのたび娘と会えた喜びをこのように語った。
「私が巻き込まれたこの状況は、到底正常なものではありません。性的被害に遭った後に生まれた子供が真実を知ることも、また知って名乗り出ることもまずないだろうと思っていました。私はただ、子供が元気でいるのか知りたかったのです。私ができることは、カトリック教会に救いを求めることだけでした。それでも娘の消息がわかるという望みは薄いと思っていました。でも娘が自分を探そうとしてくれていたことを知って、こんなに嬉しいことはありません。娘と私は見た目も本当に似ていて、DNA検査など必要ないほど一目で私たちが親子だということがわかります。」
「この事件が公になってから、私の生活はめまぐるしいものでした。私が経験してきた恐怖を知った人たちは憐れみの態度で接してきましたし、私はいつも人と顔を合わせることさえも恐れていました。過去の出来事を隠しながら生きることは地獄そのものでした。でも、もう恐れることはありません。今は暗闇から完全に別の世界に来たような気持ちです。娘や孫との対面が、私の過去の辛さに折り合いをつけてくれました。自分を虐待したメアリーのことももう許します。」
エドワードさんは「自分はほんの氷山の一角であり、当時は修道女から性的虐待を受けていた児童は他にもいただろう」と話している。聖ジョセフ・フランシスコ修道会のスポークスマンは「エドワードさんが入居時に虐待を受けていたという事実を知り、非常に遺憾です。心身ともに受けた虐待がトラウマとなりエドワードさんの人生を苦悩に陥れたことを真摯にお詫び申し上げたい。傷つきやすい大人や子供たちが虐待を受けるなど、教会ではあってはならないことです。エドワードさんのような出来事が二度と起きないよう、今一度私たちは厳格な安全方針のもと、運営していく所存です」と述べている。
画像は『Metro 2018年5月6日付「Man, 76, raped by nun in catholic children’s home finally meets daughter」(Photo: SWNS.com)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)