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【海外発!Breaking News】また新たなアウトブレーク! コンゴ民主共和国で複数名のエボラ出血熱患者

TechinsightJapan 2018年5月9日 20時18分

2014年の西アフリカにおける大ブレークの記憶がまだ鮮明なエボラ出血熱。そちらは2016年になんとか終息宣言となっていたが、このほどコンゴ民主共和国でまた新たに患者が確認されたもようだ。世界保健機関(WHO)の報告をもとに『UN News』が大きく伝えている。

コンゴ民主共和国(Democratic Republic of the Congo/コンゴ共和国は西隣)で8日、政府保健当局によりエボラ出血熱の新たなるアウトブレークが宣言された。トゥンバ湖に面した同国北西部のコンゴ川が近くを流れるビコロ(Bikoro)という地区でエボラウイルス抗体検査を受けた5名のうち2名から陽性反応を得たもので、現在新たに10人の感染が疑われているという。

2014年2月にギニアで最初の患者が確認されると、あっという間に西アフリカを中心に広がりをみせた前回のエボラ出血熱のアウトブレーク。西アフリカで総患者数28,600人超、死者11,300人超を出したが、日本の厚生労働省は2016年6月に事実上の終息宣言を行っていた。そのため今回は新たに患者の発生をみたということになる。エボラウイルスが発見されたのは、実はこのコンゴ東部で1976年のこと。病名もその土地に流れるエボラ川にちなんだものとなり、この国がエボラ出血熱の流行を経験したのはなんとこれで9度目にもなる。しかし前回、2017年の患者発生においては初期対応が優れていたことから8人が感染(うち4人死亡)したところで封じ込めに成功していた。このたびのアウトブレークの行方についても高い関心が集まっている。

ヒトにおけるエボラウイルスの感染は野生のサルやゴリラ、チンパンジー、コウモリなどとの接触が原因とされ、またそうした動物の肉を食することでも感染する。現在WHOの職員、現地の保健衛生当局、「国境なき医師団(Médecins Sans Frontières)」などが一丸となってその地域で感染者と接触した疑いがある者の健康状態の把握に努めており、WHOでアフリカ地域を担当するディレクターのMatshidiso Moetiさんは「今後3か月間を緊急予防対策の強化期間と位置づけ、基金から約100万ドルを投じます」と約束。これ以上感染を広げさせないための徹底的な予防措置を講じるとしている。


致死率が50%に近いうえにこのようなショッキングな報告が続き、生き延びた人々に関しても感染、発症して回復すればそれで終わりではなく長期にわたる健康管理が必要となる。そのため米・疾病予防管理センター(CDC)は「ヒトの体液、特に男性の精子の中でウイルスは生き延びる。今なおエボラ出血熱に関しては未知な部分が多く残されており、さらなる研究が必要」と警告していた。またWHOとシエラレオネの公衆衛生当局とともに調査を進めてきたCDCは、当初は“ヒトの体液の中でウイルスの生存可能期間は70日間ほど”と示されていたものを90日ほどに変えたが、さらに「少なくとも9か月間かそれ以上。過小評価は禁物だ」と評価内容を刷新していた。

この病気の初発症状は発熱、疲労、筋肉痛、頭痛、咽頭痛などで、続いて嘔吐、下痢、発疹、腎臓機能および肝臓機能の低下がみられ、体内外から出血が確認される場合も。また前回のアウトブレークにおいてはこんなことも起きていた。スコットランドの看護師ポーリーン・カファキーさんはボランティア医療スタッフとしてシエラレオネに滞在しているなか体調を崩して英国に帰国し、エボラ出血熱感染が判明。治療により順調に回復して退院した9か月後、再び容体が悪化して入院した。また米国人医師のイアン・クロージャーさんも感染して発症して幸いにも回復をみた1人だが、しばらくして左の瞳が青から緑に変色した。また元患者の男性においては発症から565日経ってもなお精子の中でウイルスが生きていることが確認されたという。

画像は『UN News 2018年5月8日付「New Ebola outbreak confirmed in DR Congo: UN health agency scales up response」(MONUSCO/Jesus Nzambi)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)

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