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【海外発!Breaking News】元ドラッグ密売人で常用者だった男性「全てを失ってもまだやり直せる」(英)

TechinsightJapan 2018年5月22日 21時56分

10代の頃からドラッグと切っても切れない生活を送ってきた男性が、このほど依存を断ち切って人生のやり直しを誓った。全てを失った男性を支えたのは、保護観察官の女性だった。英メディア『Manchester Evening News』が伝えている。

英グレーター・マンチェスターのアシュトン・アンダー・ラインに住むデイヴィッドさん(37歳)は、10代で非行に走りドラッグの売人らと親しくなり、自らも10代で売人となった。札付きのワルというわけではなかったデイヴィッドさんだっただけに影響を受けやすく、一旦道を踏み外すと悪への転落は容易だった。

大麻の売人から利益をせしめようとした仲間について行ったデイヴィッドさんは、その時の暴行沙汰に巻き込まれ逮捕、少年院へと送られた。その後も悪の連鎖は続き、18歳の時にヘロインの密売人になったデイヴィッドさんは軽い気持ちでヘロインを試すとハマり、たちまち常習者になった。ヘロインやコカインなどを手に入れるために数々の店で万引し、商品を金に換える行為を繰り返していたことから、地元の店全てに出入り禁止を言い渡されたという。20代の頃には好きな女性のためにドラッグを断ち切るも、デイヴィッドさんが再びヘロインに手を出したことで女性との関係は破綻してしまった。

その後、自殺まで図るようになってしまったデイヴィッドさんは精神科病院に強制入院となり、PTSD(心的外傷後ストレス障害)と診断された。しかし病棟に大量のドラッグを持ち込み、他の患者らにそれを渡すという行為に出たことから病棟を追い出されてしまった。以降は家族や家だけでなくドラッグ漬けの生活で歯も失い、寝る場所は鉄橋下のアーチ道や路地裏というホームレス生活をしながら、犯罪と背中合わせに生きてきた。

2017年6月、過去の万引きの罪で服役した後、デイヴィッドさんは保護観察付きで釈放となった。過去の度重なる犯罪歴からも再び罪を犯せばすぐに刑務所に逆戻りとなる。これまで23回も刑務所を出たり入ったりという生活を繰り返してきたデイヴィッドさんだったが、ようやく人生をやり直すチャンスを掴んだ。ドラッグを断ち切る辛さと闘い続け、昨年10月から今に至るまでドラッグに手を出しておらず、来月には保護観察処分からも解放されるという。今回、本気でディヴィッドさんに立ち直るきっかけを与えてくれたのは、「チェシャー州&グレーター・マンチェスターの地域リハビリカンパニー(Cheshire&Greater Manchester Community Rehabilitation Company)」の保護観察マネージャーを務めるサム・ブラッドショーさんだった。デイヴィッドさんはサムさんとの出会いをこのように話している。

「初めて会った時からサムさんは心で向き合ってくれました。これまで保護観察人の世話になった時、ただシステム通りに対応しているだけと思っていましたから。でも、サムさんだけが私を信じてくれたのです。その気持ちは私にとって強い励みとなりました。」

うわべだけでなく、親身になって立ち直らせようと必死になってくれるサムさんに、デイヴィッドさんは心から尊敬の念を抱いた。サムさんはデイヴィッドさんに衣類を与え、退役軍人たちの住む施設に住めるよう手配も整えてくれた。戦争で多くのトラウマを抱える元軍人らが生活するその施設は、PTSDを抱えたデイヴィッドさんにとって適した住処となったのだ。デイヴィッドさんは、2時間はかかる保護観察対象者のミーティングに一度も逃さずに出席している。全てを失った後も人生のやり直しを図ろうとするデイヴィッドさん。彼を見守っているサムさんは、このように語った。

「彼のこれまでの生活ぶりや容姿から判断することをせず、私はあくまでも人として接してきました。最初に会った時、デイヴィッドはかなり落ち込みが激しかったのですが、私は『本気であなたが人生をやり直したいのなら協力する』と申し出たのです。更生に向けて頑張っている彼を見て、私も余分な時間を費やしてでも喜んで彼をサポートしてきました。これまで本当によくやっているし、彼の変わりようは素晴らしいものです。一度も私を失望させたことはありません。結局のところ、私たちは同じ“人間”なのです。」

サムさんは、デイヴィッドさんをGP(一般クリニック)や歯科医院に通わせ、精神科医を紹介してもらうようにも手続した。半年間、薬物を断ちクリーンな状態を保ち続けているデイヴィッドさんは現在、サムさんと一緒に薬物依存患者をサポートし、ドラッグを断つ手助けをするプログラムの手伝いをしているという。更生に意欲的なデイビッドさんはこう述べている。

「自分がしてきたことを恥じているから家族にだけは迷惑をかけたくないという気持ちもあり、苗字は公表しません。しかし自分の経験を伝えることで励みになる人がいればと思い、今回メディアで話しました。私は、サムさんや一緒に暮らす施設の元軍人たちに大きく救われました。ドラッグから抜け出すのは容易ではありません。でも乗り越えることができたら、否応なしにこれまでの人生をどれだけ無駄にしてきたのかということに気付かされます。前科が多い私には、もうきちんとした職場を見つけることはできないでしょう。ですが、私の経験が誰かを救えるのなら喜んでその役を引き受けます。今後の活動に全力を尽くしたいと思っています。」

画像は『Manchester Evening News 2018年5月19日付「Heroin cost me my partner, my home and my teeth - it left me in chaos and sleeping under a railway arch」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)

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