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【海外発!Breaking News】死んだゴンドウクジラの胃から80枚以上のゴミ袋 深刻な海洋汚染(タイ) 

TechinsightJapan 2018年6月5日 17時52分

人間が生産・消費するプラスチックが原因で海が汚れ、海洋生物の命が脅かされている。このほどマレーシアの国境に近いタイ南部の運河で衰弱した1頭のクジラが発見され、その後死んだ。解剖したクジラの胃からは、80枚以上のプラスチック袋が出てきたという。『CNN』『Reuters』などが伝えている。

5月28日、マレーシアの国境近くにあるタイ南部ソンクラーの運河で、1頭のクジラが衰弱した状態で海に漂っている姿を地元住民が発見した。クジラはオスの小柄なゴンドウクジラで、連絡を受けて救助に駆けつけた政府派遣の獣医チームや地元のクジラ保護団体メンバーらが投薬を行ったりと懸命の治療を試みたものの、クジラは6月1日に5つのプラスチック袋を吐き出し、その日の午後に死んでしまった。

この出来事をFacebookのクジラ保護団体アカウント「ThaiWhales」に投稿した「Marine and Coastal Resources Department(タイ沿岸海洋資源局)」スタッフによると、クジラは体内にあるゴミ袋を吐き出そうと激しくもがいていたことが明らかになっている。その後、クジラの胃の中から80枚もの袋が発見されたことから、スタッフは「おそらく海に漂うプラスチック袋を餌と勘違いして食べてしまったのだろう。しかしそのゴミ袋が原因でクジラは弱り、餌を獲ることができなくなってしまったようだ」と話している。クジラの胃の中のゴミ袋は、重さにしておよそ8kgもあったそうだ。なおクジラの保護団体「American Cetacean Society(アメリカ鯨類学会)」によると、通常ゴンドウクジラはイカを餌とし、イカがない時はタコや小魚を食べているという。

タイはプラスチック袋の消費量が特に多い国とされ、海洋資源局は以前から袋の再利用やプラスチック袋の使用そのもの減らすように訴えていた。今回クジラが非業の死を遂げたことから、当局では6月8日の「World Oceans Day(世界海洋デー)」にちなんで、改めてプラスチックの使用を減らすように呼びかけている。

昨年12月には、国連環境計画(UNEP)が「世界的にみて毎年800万トンものペットボトルやプラスチック袋、その他のゴミが海へ投棄されている。海洋生物の命を脅かすだけでなく私たちの生態系にも大きな被害を及ぼしている」と発表していた。つまり大量に投棄されるプラスチックは、海洋野生生物だけでなく漁業や観光にも大きな打撃を与えているのだ。さらに英国政府の最新調査では、何の対策も取らなければ世界の海に漂うプラスチックの量は今後10年間で3倍にもなるとされており、海洋に投棄された70%のゴミが非分解プラスチックであることを英政府科学局が明かしていることからも、海洋保護のための早急な対策が求められるといえよう。

画像は『Reuters 2018年6月3日付「Plastic bags jam stomach of dead pilot whale in Thailand」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)

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