施設に暮らす高齢者や介助が必要な人にとって、介護士は唯一頼れる存在だろう。しかし介護施設のスタッフが入居者を虐待するという悲しいケースはあとを絶たないようだ。このほどイギリスで、入居した母親が虐待・介護放棄されたとして娘3人が監視カメラを設置してその様子を捉えた。英メディア『Mirror』『Metro』などが伝えている。
ノッティンガムシャー州ジャックスデールで、Farrington Care Home Ltd.(ファーリントン・ケアホーム株式会社)が運営する介護施設「ブルックサイドハウス」に入居していたジョーイ・ルイス(71歳)さんが、介護スタッフ3人から虐待を受け、介護放棄されたとして家族が警察に訴えた。
アルツハイマーとパーキンソン病、糖尿病を抱えるジョーイさんに残酷な仕打ちをしていたのは、レベッカ・キング(32歳)、テリーサ・カッツ(50歳)、ジョアン・ハードスタッフ(39歳)で、虐待や介護放棄の事実はジョーイさんの娘らが室内に設置した監視カメラにより明らかとなった。
ジョーイさんは2017年2月からブルックサイドハウスに入居した。もともと親族のひとりが入居していたこともあり、娘らは母親のためにこの施設を選んだ。しかし入居してわずか2週間後に、娘は母の涙を見ることとなった。末娘のケリー・ルイスさん(34歳)は当時の状況をこのように語っている。
「母から、スタッフが自分のことを嫌いだと言っていると聞かされたんです。他の入居者にも近付かないようにさせられているって。母を介護しているスタッフ3人に問い詰めたら『少し困惑されているようですが、大丈夫ですよ』と言われただけでした。でも訪問するたびに母の状態は悪化していったのです。両手首には痣ができて、床ずれもひどい状態でした。姉が監視カメラを設置した方がいいと提案してきたので、時計に見せかけたカメラを購入しました。」
Amazonで85ポンド(約13,000円)の隠しカメラを購入したケリーさんは母の室内に置き、密かに様子を監視することにした。そして実際に録画された動画を見て、ケリーさんと姉のテリーサ・ベストウィックさん(47歳)、ミッシェル・ルイスさん(49歳)は激しい衝撃を受けた。
「最初にレベッカ・キングは、粗相をした男性入居者に向かって罵りの言葉を叫んでいました。テリーサ・カッツも一緒になってその入居者に暴言を吐いていたのです。その対応を見て、母は私たちに真実を伝えていたのだと知りゾッとしました。2日間録画しましたが、母が泣いている姿を見て胸が痛みました。どうやったらあんな酷い対応ができるのでしょう。母は泣きながら『死ぬのが怖い』とも口にしていました。基本的な介助を懇願しているにもかかわらず、誰も母のもとへは来ませんでした。カメラのメモリーカードが切れてしまったので、本当はもっと長時間放置されていたのだと思います。動画を見た限りでは、母は粗相をしてベッドに横たわったまま少なくとも5時間は放置されていたのです。床ずれができないように母の身体の位置を変えることもありませんでした。」
録画された映像には、早朝4時45分にジョーイさんは3人のスタッフに起こされ、手首を引っ張られてベッドから引きずり降ろされる姿が映っていた。3人はジョーイさんの体を綺麗に拭くこともせず着替えさせ、トイレに行きたいと言うジョーイさんを長時間無視し続け、食事や飲み物を与えることもなく放置していたという。
3人の娘に加えて4人の孫と3人のひ孫がいるジョーイさんは、皮肉にも介護士として働いていた経験を持つ。そんな母の姿をケリーさんはこう語る。
「母はとても優しく、認知症の患者や高齢者をいつも親身になって世話していました。プライドを持って好きな仕事をしていて、患者が少しでも満ち足りた人生を過ごせるようにとクリスマスや正月でも、骨身を惜しまず介護をしていました。だからこそ、そんな母親が同じ立場の介護スタッフにこのような目に遭わされるのがとても辛いのです。母のように苦しんでいる人が他にもいると思うと恐ろしくなります。隠しカメラを設置していなければ、母は今でも虐待を受けていたことでしょう。カメラの設置は、逆に入居者が優秀な介護士に対して虚偽の申し立てをした時の立証となるので、今後全ての介護施設には監視カメラを設置すべきだと思います。」
ケリーさんら3人が証拠となる映像を持って警察に通報したことがきっかけで、介護スタッフの3人は逮捕となった。先月にマンスフィールド治安裁判所で行われた裁判では、3人のスタッフは虐待と介護放棄の罪を認めたものの、レベッカ・キングには36週の執行猶予付き有罪判決及び120時間の地域無償奉仕活動、テリーサ・カッツには24週の執行猶予付き有罪判決及び100時間の地域無償奉仕活動、またジョアン・ハードスタッフには8週の執行猶予付き有罪判決及び80時間の地域無償奉仕活動という、ジョーイさん家族が到底納得できない軽い判決となった。姉のテリーサさんは、このように心情を吐露した。
「執行猶予付きの判決に怒りを感じます。彼女たちは録画されていたと知ったから、ただ罪を認めただけに過ぎないのです。もっと厳しい処罰を与えてほしい。」
事実、イギリスでは過去5年間に少なくとも10万件の介護施設で安全な運営が行われていないとして調査が実施されている。しかしながらそのほとんどが証拠不十分で起訴に持ち込めていない。事件後ブルックサイドハウスは閉鎖となり、現在別の施設に入居しているジョーイさんは楽しく過ごしているようだ。
このニュースを知った人からは、「介護施設の入居者が虐待されているニュースは本当に心が痛む。執行猶予じゃなくて実刑にすべき」「汚い施設で、孤独に汚れて虐待されながら人生を終えていく…きっとこれがイギリス人の90%の実態なんだろうな。身寄りがなければ協議会が遺体を引き取って葬儀場へ運ぶだけだから、虐待の証拠も残らないしな」「資格がなくてもスタッフとして雇われるわけじゃない? 失う物など何もないんだから、刑務所にぶち込んでやればいい」「怒りしかない。全ての介護施設にカメラ設置を望む」「相当な忍耐や我慢が必要な仕事なんだから、できないと思う人はこの仕事に就くべきじゃない」「なにより処罰が軽すぎる」といった声があがっている。
画像は『Mirror 2018年6月10日付「Care home workers brutally abuse elderly Alzheimer’s victim in upsetting footage caught on spy camera」(Image: Featureworld.co.uk)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)
ノッティンガムシャー州ジャックスデールで、Farrington Care Home Ltd.(ファーリントン・ケアホーム株式会社)が運営する介護施設「ブルックサイドハウス」に入居していたジョーイ・ルイス(71歳)さんが、介護スタッフ3人から虐待を受け、介護放棄されたとして家族が警察に訴えた。
アルツハイマーとパーキンソン病、糖尿病を抱えるジョーイさんに残酷な仕打ちをしていたのは、レベッカ・キング(32歳)、テリーサ・カッツ(50歳)、ジョアン・ハードスタッフ(39歳)で、虐待や介護放棄の事実はジョーイさんの娘らが室内に設置した監視カメラにより明らかとなった。
ジョーイさんは2017年2月からブルックサイドハウスに入居した。もともと親族のひとりが入居していたこともあり、娘らは母親のためにこの施設を選んだ。しかし入居してわずか2週間後に、娘は母の涙を見ることとなった。末娘のケリー・ルイスさん(34歳)は当時の状況をこのように語っている。
「母から、スタッフが自分のことを嫌いだと言っていると聞かされたんです。他の入居者にも近付かないようにさせられているって。母を介護しているスタッフ3人に問い詰めたら『少し困惑されているようですが、大丈夫ですよ』と言われただけでした。でも訪問するたびに母の状態は悪化していったのです。両手首には痣ができて、床ずれもひどい状態でした。姉が監視カメラを設置した方がいいと提案してきたので、時計に見せかけたカメラを購入しました。」
Amazonで85ポンド(約13,000円)の隠しカメラを購入したケリーさんは母の室内に置き、密かに様子を監視することにした。そして実際に録画された動画を見て、ケリーさんと姉のテリーサ・ベストウィックさん(47歳)、ミッシェル・ルイスさん(49歳)は激しい衝撃を受けた。
「最初にレベッカ・キングは、粗相をした男性入居者に向かって罵りの言葉を叫んでいました。テリーサ・カッツも一緒になってその入居者に暴言を吐いていたのです。その対応を見て、母は私たちに真実を伝えていたのだと知りゾッとしました。2日間録画しましたが、母が泣いている姿を見て胸が痛みました。どうやったらあんな酷い対応ができるのでしょう。母は泣きながら『死ぬのが怖い』とも口にしていました。基本的な介助を懇願しているにもかかわらず、誰も母のもとへは来ませんでした。カメラのメモリーカードが切れてしまったので、本当はもっと長時間放置されていたのだと思います。動画を見た限りでは、母は粗相をしてベッドに横たわったまま少なくとも5時間は放置されていたのです。床ずれができないように母の身体の位置を変えることもありませんでした。」
録画された映像には、早朝4時45分にジョーイさんは3人のスタッフに起こされ、手首を引っ張られてベッドから引きずり降ろされる姿が映っていた。3人はジョーイさんの体を綺麗に拭くこともせず着替えさせ、トイレに行きたいと言うジョーイさんを長時間無視し続け、食事や飲み物を与えることもなく放置していたという。
3人の娘に加えて4人の孫と3人のひ孫がいるジョーイさんは、皮肉にも介護士として働いていた経験を持つ。そんな母の姿をケリーさんはこう語る。
「母はとても優しく、認知症の患者や高齢者をいつも親身になって世話していました。プライドを持って好きな仕事をしていて、患者が少しでも満ち足りた人生を過ごせるようにとクリスマスや正月でも、骨身を惜しまず介護をしていました。だからこそ、そんな母親が同じ立場の介護スタッフにこのような目に遭わされるのがとても辛いのです。母のように苦しんでいる人が他にもいると思うと恐ろしくなります。隠しカメラを設置していなければ、母は今でも虐待を受けていたことでしょう。カメラの設置は、逆に入居者が優秀な介護士に対して虚偽の申し立てをした時の立証となるので、今後全ての介護施設には監視カメラを設置すべきだと思います。」
ケリーさんら3人が証拠となる映像を持って警察に通報したことがきっかけで、介護スタッフの3人は逮捕となった。先月にマンスフィールド治安裁判所で行われた裁判では、3人のスタッフは虐待と介護放棄の罪を認めたものの、レベッカ・キングには36週の執行猶予付き有罪判決及び120時間の地域無償奉仕活動、テリーサ・カッツには24週の執行猶予付き有罪判決及び100時間の地域無償奉仕活動、またジョアン・ハードスタッフには8週の執行猶予付き有罪判決及び80時間の地域無償奉仕活動という、ジョーイさん家族が到底納得できない軽い判決となった。姉のテリーサさんは、このように心情を吐露した。
「執行猶予付きの判決に怒りを感じます。彼女たちは録画されていたと知ったから、ただ罪を認めただけに過ぎないのです。もっと厳しい処罰を与えてほしい。」
事実、イギリスでは過去5年間に少なくとも10万件の介護施設で安全な運営が行われていないとして調査が実施されている。しかしながらそのほとんどが証拠不十分で起訴に持ち込めていない。事件後ブルックサイドハウスは閉鎖となり、現在別の施設に入居しているジョーイさんは楽しく過ごしているようだ。
このニュースを知った人からは、「介護施設の入居者が虐待されているニュースは本当に心が痛む。執行猶予じゃなくて実刑にすべき」「汚い施設で、孤独に汚れて虐待されながら人生を終えていく…きっとこれがイギリス人の90%の実態なんだろうな。身寄りがなければ協議会が遺体を引き取って葬儀場へ運ぶだけだから、虐待の証拠も残らないしな」「資格がなくてもスタッフとして雇われるわけじゃない? 失う物など何もないんだから、刑務所にぶち込んでやればいい」「怒りしかない。全ての介護施設にカメラ設置を望む」「相当な忍耐や我慢が必要な仕事なんだから、できないと思う人はこの仕事に就くべきじゃない」「なにより処罰が軽すぎる」といった声があがっている。
画像は『Mirror 2018年6月10日付「Care home workers brutally abuse elderly Alzheimer’s victim in upsetting footage caught on spy camera」(Image: Featureworld.co.uk)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)