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【海外発!Breaking News】黒人の隣に座った女性、携帯メッセージに差別用語使用で降機(南ア)

TechinsightJapan 2018年6月22日 16時47分

南アフリカでは“nigger”を指す黒人への差別用語でアフリカーンス語の“Kaffir”からとった「Kワード」がある。今年の4月にこのKワードを連発した女性が有罪判決になっていたが、今度は20代女性がKワードを使用したために国内線の飛行機を降機させられ、さらには勤務先も停職処分になったという。『IOL News』などが伝えている。

6月15日夜、南アフリカのヨハネスブルグからダーバンに向かう予定の格安航空会社「クルラコム(Kulula)」で乗客同士のトラブルが発生した。出発を待っていた牧師のソルムジ・マブザさんが、窓際の座席で一眠りしようと体を横に向けた時、たまたま隣に座っていた女性の携帯電話の画面が目に入ってしまったことが事の発端だった。

女性は友人へのメッセージに「2人の(Kワード)黒人の間に座っている。一人の(Kワード)黒人は鼻をすすり続け、もう一人は(Kワード)アルコール臭い」と書いてあった。またパイロットについてもKワードでコメントがあり、マブザさんはそれが現実に起こっていることだと信じられず、思わず2度も読み直した。

マブザさんは「自分は慢性副鼻腔炎だし、反対側の黒人もお酒は飲んでいなかった。これには怒りが込み上げてきた」と当時を振り返っている。

隣に座っていたのはアロクナ・ムードリーさんで、大手メーカー「SMC Pneumatics South Africa」に勤める26歳の女性だった。アパルトヘイト時代の黒人を侮蔑する言葉に憤慨したマブザさんが、ムードリーさんにそのメッセージについて質問すると、彼女は「なぜ勝手にメッセージを盗み見たのか」と逆切れしたという。また他の乗客もムードリーさんに謝罪するよう迫ったが、彼女はそれを頑なに拒否していたそうだ。

マブザさんは「彼女はなぜ謝らなければいけないのかわかっていないようだった。牧師である自分は冷静でいようと思ったが、彼女の態度を見て何か行動しなければと思った」と、ムードリーさんの差別行為を乗務員に報告した。その後パイロットがこの事実を知ると、離陸準備中であった飛行機は急きょタラップまで引き返し、ムードリーさんは降機させられた。

クルラコムのスポークスマンは「乗客やクルーに快適なフライトをしてもらうのが重要であって、こういった差別は許せません。女性が降機した後、フライトは予定通りダーバンに向けて出発しました」と明かしている。ムードリーさんは「フライトが遅れていることでイライラして(Kワードを)書いた」と主張しているが、クルラコム側は「遅延はなかった。むしろ彼女の対応でフライトが遅れた」と反論している。

この騒動はSNSに投稿されて拡散し、ムードリーさんには非難が集中した。さらこのニュースは彼女が勤務していた会社の耳にも入り、ムードリーさんは即刻停職処分となった。

マブザさんは「このニュースが注目を浴びるだけでは意味がない、むしろ国民一人一人が自分たちの社会で起こっていることをじっくりと考える必要がある」と述べ、この問題は彼女一人だけが処罰されただけでは終わらないことを示唆した。またムードリーさんの会社の対応については「なんらかの結論を出すのは当然。そうでないと人種差別はなくならない。この件についてはムードリーさんと一度しっかり話してみたい」とコメントした。

さらにアーメッド・カトラダ(Ahmed Kathrada)慈善財団も声をあげた。この財団は、アパルトヘイト中に26年刑務所に投獄され、ネルソン・マンデラ氏とともにロベン島で過ごした朋友である故アーメッド・カトラダ氏の遺志を継ぎ、主に人種差別撤廃の活動をしている。

財団は声明の中で「マブザさんの勇気ある行動を称えたい。人種差別は深刻な問題で、Kワードを使うことは小さい犯罪ではなく大罪である。彼女の行動はメディアだけでなく多くの人に注目され、非難されるべきである」と主張し、「差別用語を使うことに言い訳は通用しない。ムードリーさんには謝罪だけでなく、反人種差別や多様性についての講習を受けさせるべきだ」と述べている。

『IOL News』の取材に対してムードリーさんは「コメントを発表するまで少し時間がほしい」と語っているが、彼女の人生までも変えてしまった差別の問題は実に根深い。

画像は『IOL News 2018年6月20日付「Airline passenger’s ‘K-word’ text lands her in hot water」(Pictures: Facebook and Twitter)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 FLYNN)

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