南アフリカでは英語教師としてアジアで暮らしたいと望む若者が多く、実際に日本や韓国、中国などで英語教師としてのキャリアを積んでいる。しかし斡旋会社に騙されて中国で違法就労して拘留されていた若者49名が、このたび無事に帰国した。南アフリカメディア『eNCA』などが伝えている。
今年4月、南アフリカ人の若者51名が学生ビザで中国に入国し、英語教師として働いていたため拘留された。いずれも25歳以下で昨年6月から今年4月にかけて中国入りし、吉林省長春市に滞在していた。
彼らを騙したのは英語教師として働きたい南アフリカの若者に中国の学校を斡旋する会社「Sanda Youth International」代表のオーウェン・ワン(Owen Wang)で、就労ビザの代わりに学生ビザを申請させ中国に入国させていた。ワンは若者らに「ビザは中国入国後に就労ビザに変更する」と話し、片道チケットしか渡さなかった。しかも教師としての資格は必要とされず、1か月の給料は8000人民元(約13万円)を約束されていた。
入国した若者らは最初の2週間は長春光華学院という大学で研修を受け、その後2歳児から8歳児が学ぶ各学校に送られた。しかしすぐに中国当局に呼ばれると、パスポートを押収されてそのまま長春の大学寮に拘束された。大学寮での待遇は酷く、一日分として渡されるお金は45ランド(約360円)ほどで1食分の食費と水代にしかならないため、ほとんどの者が体調を崩したが、もちろん薬などは渡されなかった。彼らは寮を出ることも禁止され、およそ2か月間そこに留まるしかなかったという。
21歳の娘が拘束されていたという母親は「学校側はワンから就労ビザについて尋ねられたこともなかったし、就労ビザを渡されたこともなかった。子供たちは約束された給料の半分しかもらえず、警察が来たら隠れろという指示までされていた」と明かしている。またある母親は娘が採用された過程について「面接はSNSで2度行われた。実際に教師になったらどのように授業をするか、ビデオに撮って送らなければいけなかった。しかし合格後は、すぐに片道チケットを渡されるなど手続きは驚くほど速かった」と不信感を露わにした。
当局の取り調べの結果、若者らは被害者であることが判明し、南アフリカで待つ家族らは拘留中の彼らの滞在をサポートし、いち早く帰国できるようクラウドファンディングを立ち上げた。6月下旬には4万ランド(約32万円)ほどの寄付金を集めたが、彼らがいつ解放されて南アフリカへ帰国できるのかは全くわからない状況であった。
そこで「国際関係協力省(Department of International Relations and Cooperation: DIRCO)」のリンディウェ・シスル大臣が乗り出し中国当局と話し合った結果、中国側の費用で若者らを無事に南アフリカへ帰国させることで合意した。彼らは3つのグループに分けられ、6月25日に第1陣の19名が無事に南アフリカ・ヨハネスブルグのO・R・タンボ国際空港に到着し、家族との再会を果たした。
リンディウェ・シスル大臣は6月29日、51名のうち49名が帰国したことを公表した。なおリクルーターとみられる2名はいまだ拘束されており、姿をくらましていたワンは逮捕されている。
今回の事件は氷山の一角とみられており、DIRCOのスポークスマンは「被害者にならないように、しっかりとリサーチすることを怠らないで!」と呼びかけている。
画像は『eNCA 2018年6月23日付「Teachers stranded in China to be released on Monday」(Photo: Facebook)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 FLYNN)
今年4月、南アフリカ人の若者51名が学生ビザで中国に入国し、英語教師として働いていたため拘留された。いずれも25歳以下で昨年6月から今年4月にかけて中国入りし、吉林省長春市に滞在していた。
彼らを騙したのは英語教師として働きたい南アフリカの若者に中国の学校を斡旋する会社「Sanda Youth International」代表のオーウェン・ワン(Owen Wang)で、就労ビザの代わりに学生ビザを申請させ中国に入国させていた。ワンは若者らに「ビザは中国入国後に就労ビザに変更する」と話し、片道チケットしか渡さなかった。しかも教師としての資格は必要とされず、1か月の給料は8000人民元(約13万円)を約束されていた。
入国した若者らは最初の2週間は長春光華学院という大学で研修を受け、その後2歳児から8歳児が学ぶ各学校に送られた。しかしすぐに中国当局に呼ばれると、パスポートを押収されてそのまま長春の大学寮に拘束された。大学寮での待遇は酷く、一日分として渡されるお金は45ランド(約360円)ほどで1食分の食費と水代にしかならないため、ほとんどの者が体調を崩したが、もちろん薬などは渡されなかった。彼らは寮を出ることも禁止され、およそ2か月間そこに留まるしかなかったという。
21歳の娘が拘束されていたという母親は「学校側はワンから就労ビザについて尋ねられたこともなかったし、就労ビザを渡されたこともなかった。子供たちは約束された給料の半分しかもらえず、警察が来たら隠れろという指示までされていた」と明かしている。またある母親は娘が採用された過程について「面接はSNSで2度行われた。実際に教師になったらどのように授業をするか、ビデオに撮って送らなければいけなかった。しかし合格後は、すぐに片道チケットを渡されるなど手続きは驚くほど速かった」と不信感を露わにした。
当局の取り調べの結果、若者らは被害者であることが判明し、南アフリカで待つ家族らは拘留中の彼らの滞在をサポートし、いち早く帰国できるようクラウドファンディングを立ち上げた。6月下旬には4万ランド(約32万円)ほどの寄付金を集めたが、彼らがいつ解放されて南アフリカへ帰国できるのかは全くわからない状況であった。
そこで「国際関係協力省(Department of International Relations and Cooperation: DIRCO)」のリンディウェ・シスル大臣が乗り出し中国当局と話し合った結果、中国側の費用で若者らを無事に南アフリカへ帰国させることで合意した。彼らは3つのグループに分けられ、6月25日に第1陣の19名が無事に南アフリカ・ヨハネスブルグのO・R・タンボ国際空港に到着し、家族との再会を果たした。
リンディウェ・シスル大臣は6月29日、51名のうち49名が帰国したことを公表した。なおリクルーターとみられる2名はいまだ拘束されており、姿をくらましていたワンは逮捕されている。
今回の事件は氷山の一角とみられており、DIRCOのスポークスマンは「被害者にならないように、しっかりとリサーチすることを怠らないで!」と呼びかけている。
画像は『eNCA 2018年6月23日付「Teachers stranded in China to be released on Monday」(Photo: Facebook)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 FLYNN)