サイの角は闇市場にて高値で売られるため、密猟者による乱獲が大きな問題となっている。このたび南アフリカで、たった1cmの角のために乳飲み子を持つシロサイが殺された。
6月28日深夜、南アフリカ東ケープ州南部のポート・エリザベスにある自然動物保護区「Kragga Kamma Game Park」で、20歳になるシロサイ“ベラ(Bella)”が角を切り取られ殺された。ベラはこれまでに4頭の子を産んでおり、一番小さな“タンク(Tank)”はまだ16か月だった。殺害には大口径のハンティングライフルが使われており、角は無残にも斧で切り落とされていた。
タンクは29日の朝に母親の死を察してか、鳴きながら保護区内をさまよっているのが目撃された。一人ぼっちで寂しかったのであろう。別のサイの親子の後を追いかけ、その母親に追い払われてできたとみられる怪我をしていた。
ベラが殺される1週間前の21日には、保護区スタッフやボランティアがシロサイ数頭を麻酔銃で撃って眠らせ、長かった角を短く切り落とすという大掛かりな作業を行っていた。全ては密猟者による角狩りを防ぐためだった。
保護区を運営するアーイシャ・カントさんは「Kragga Kamma Game Park」のFacebookで次のように綴っている。
「これはもう起きるか、起きないかという問題ではなく、いつ殺されるか…ということなのでしょう。」
「ベラの角はたった1cmしかありませんでした。それだけのためにベラは殺されたのです。なぜそんなひどいことができるのでしょう。ここで働く獣医やスタッフは動物を心から愛しています。角をえぐり取られ、身体の奥深くに銃弾を撃ち込まれたベラを発見した時の悲しみや怒りは、彼らを見ていればわかります。あまりにも残酷です。」
ベラは東ケープ州で、今年犠牲になった9頭目のサイとなった。
シロサイが母親のミルクを飲むのはおよそ2歳までと言われる。アーイシャさんはさらにこう述べている。
「ベラが写っている写真をみると、隣にはいつも小さな子供がいるのです。早すぎる死に言葉もありません。タンクはまだミルクが必要な年齢ですが、きちんと栄養が摂れているかどうか、私たちがしっかり見守っていきます。私たちは残されたサイを守るため日々できることを続けていくだけです。」
「世界自然保護基金(WWF)」によると、20世紀初頭にはアジアやアフリカに50万頭のサイが生息していたが、現在では生息地の減少や密猟により“絶滅寸前(Critically Endangered)”に指定されている種さえ存在する。生息数が激減し取り返しがつかなくなる前に、サイの角の需要国であるアジアの国々を巻き込んだ早急な取り組みが必要になるであろう。
なお今年2月にも、南アフリカの国立公園で密猟者によって殺され、角を切り落とされた母親のそばで鳴き続ける子サイの姿が撮影されていた。
画像は『Kragga Kamma Game Park 2018年6月23日付Facebook「Rhino Protection - Dehorning」』『Metro 2018年7月1日付「White rhino killed for 1cm horn despite vets removing most of it to protect her」(Picture: Ayesha Cantor/Caters)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)
6月28日深夜、南アフリカ東ケープ州南部のポート・エリザベスにある自然動物保護区「Kragga Kamma Game Park」で、20歳になるシロサイ“ベラ(Bella)”が角を切り取られ殺された。ベラはこれまでに4頭の子を産んでおり、一番小さな“タンク(Tank)”はまだ16か月だった。殺害には大口径のハンティングライフルが使われており、角は無残にも斧で切り落とされていた。
タンクは29日の朝に母親の死を察してか、鳴きながら保護区内をさまよっているのが目撃された。一人ぼっちで寂しかったのであろう。別のサイの親子の後を追いかけ、その母親に追い払われてできたとみられる怪我をしていた。
ベラが殺される1週間前の21日には、保護区スタッフやボランティアがシロサイ数頭を麻酔銃で撃って眠らせ、長かった角を短く切り落とすという大掛かりな作業を行っていた。全ては密猟者による角狩りを防ぐためだった。
保護区を運営するアーイシャ・カントさんは「Kragga Kamma Game Park」のFacebookで次のように綴っている。
「これはもう起きるか、起きないかという問題ではなく、いつ殺されるか…ということなのでしょう。」
「ベラの角はたった1cmしかありませんでした。それだけのためにベラは殺されたのです。なぜそんなひどいことができるのでしょう。ここで働く獣医やスタッフは動物を心から愛しています。角をえぐり取られ、身体の奥深くに銃弾を撃ち込まれたベラを発見した時の悲しみや怒りは、彼らを見ていればわかります。あまりにも残酷です。」
ベラは東ケープ州で、今年犠牲になった9頭目のサイとなった。
シロサイが母親のミルクを飲むのはおよそ2歳までと言われる。アーイシャさんはさらにこう述べている。
「ベラが写っている写真をみると、隣にはいつも小さな子供がいるのです。早すぎる死に言葉もありません。タンクはまだミルクが必要な年齢ですが、きちんと栄養が摂れているかどうか、私たちがしっかり見守っていきます。私たちは残されたサイを守るため日々できることを続けていくだけです。」
「世界自然保護基金(WWF)」によると、20世紀初頭にはアジアやアフリカに50万頭のサイが生息していたが、現在では生息地の減少や密猟により“絶滅寸前(Critically Endangered)”に指定されている種さえ存在する。生息数が激減し取り返しがつかなくなる前に、サイの角の需要国であるアジアの国々を巻き込んだ早急な取り組みが必要になるであろう。
なお今年2月にも、南アフリカの国立公園で密猟者によって殺され、角を切り落とされた母親のそばで鳴き続ける子サイの姿が撮影されていた。
画像は『Kragga Kamma Game Park 2018年6月23日付Facebook「Rhino Protection - Dehorning」』『Metro 2018年7月1日付「White rhino killed for 1cm horn despite vets removing most of it to protect her」(Picture: Ayesha Cantor/Caters)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)