様々な経済的事情を抱えるイギリスの家庭では、学校で給食を食べている子供たちが夏休みに入ると十分な食事をとることができず、常に空腹という状況に陥ることがある。このほどケント州サネットで夏休みの間、子供たちがお腹を空かせることがないようにと学校にて無料で食事を提供する試みが行われた。『Metro』などが伝えている。
ケント州サネットのマーゲートにあるドレイパーズ・ミル小学校が8月の夏休み期間中、全ての地域住民のため週3日の夜にオープンすることになった。事業家であり元教師のシャロン・グッダイヤーさんが代表となった“Summer Kitchen(サマー・キッチン)”は、マーゲートのケント州議会議員のバリー・ルイス氏が1万ポンド(約147万円)の助成金を出し設立された。シャロンさんはこのように話している。
「私たちは、子供たちが無料で給食を食べているということを休暇中には忘れがちです。教師は休暇明けに、痩せて登校する子供たちの姿を見ています。子供たちはお腹を空かせているのです。だから私たちがみんなで一緒に座って食事をする場を設けることにしました。サネットで休暇中お腹を空かせている子供たちをなくす計画を実行するというわけです。」
この“Summer Kitchen”では、ヘルシーな家庭料理を提供することを目的とし、地元の家庭菜園や農家、スーパーマーケットから寄付された材料を使用しているという。地域コミュニティーが協力し合い、ボランティアを集めてオープンした7月30日の初日には、多くの親がこの計画に感謝を露わにしたようだ。なかには休暇中、子供たちにヘルシーな食事を与えることへの苦労を明かす親もいた。シングルマザーのキャリー・アン・ギッボンズさん(37歳)はこのように語っている。
「最初はボランティアとしてここに来たのですが、息子を連れてこようと思いました。ここでの食事はファストフードよりずっといいものです。シングルマザーだとヘルシーな食事をすることはとても高くつくし、子供がそれを食べてくれるとも限りません。この計画は素晴らしいと思います。息子は夕食といえば、チキンナゲットかチップスだと思い込んでいるので、ヘルシーな食生活についての教育もできるし、役に立ちます。」
また2人の子供を持つ別の母親(本人の意思で名は明かさず)は、このように話した。
「先週、銀行の口座には家族のための食費さえ入っていない状態で、銀行カードを使おうとしましたが支払いを拒否されました。後ろに並んでいた男性が、食材を支払うと親切に言ってくれた時、思わず涙が溢れました。誰かにそんなふうにオファーされるほど自分は貧乏なんだと、とてもみっともなく思えて。子供たちには栄養価の高いものを与えてあげる余裕はありません。だからうちの子たちは、いつもチップスやソーセージ、チキンナゲットを食べています。」
貧困家庭が助かるだけでなく、ひとり暮らしのグラハム・ドーソンさん(51歳)も「低収入で缶詰の食事ばかりしている者にとっては、こうした場はとても助かります。貧しいとヘルシーな食事ができず、肥満になっていきますからね」と、“Summer Kitchen”がオープンした喜びを口にした。また、バリー氏は「休暇中、閉めたままにしている学校施設を使わない手はないと思いました。多くのボランティアたちの協力を得て、美味しい食事を無料で提供するというこの試みは、おそらく英国初と言っていいかもしれません。“Summer Kitchen”には高齢者から若者まで、どなたでも大歓迎です」と述べている。
コミュニティー全体が協力しているマーゲートでは、食事だけでなくヘアカットやクラフト&アートなどのアクティビティーも無料で提供しているようだ。このニュースを知った人からは、「素晴らしい試みだわ。貧困家庭はきっと感謝しているでしょうね。他の地域でも同じようにすればいいと思う」「ヘルシーな食材は確かに準備に手間がかかるし、ある程度のスキルもいるけど、高級だとは限らない。ジャンクフードの方が高くつくと思う。でも、貧困家庭が手軽なジャンクフードに依存してしまう気持ちもわかる」といった声があがっている。
画像は『Metro 2018年7月31日付「School opens doors for summer to feed children too poor to eat」(Picture: BPM Media)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)
ケント州サネットのマーゲートにあるドレイパーズ・ミル小学校が8月の夏休み期間中、全ての地域住民のため週3日の夜にオープンすることになった。事業家であり元教師のシャロン・グッダイヤーさんが代表となった“Summer Kitchen(サマー・キッチン)”は、マーゲートのケント州議会議員のバリー・ルイス氏が1万ポンド(約147万円)の助成金を出し設立された。シャロンさんはこのように話している。
「私たちは、子供たちが無料で給食を食べているということを休暇中には忘れがちです。教師は休暇明けに、痩せて登校する子供たちの姿を見ています。子供たちはお腹を空かせているのです。だから私たちがみんなで一緒に座って食事をする場を設けることにしました。サネットで休暇中お腹を空かせている子供たちをなくす計画を実行するというわけです。」
この“Summer Kitchen”では、ヘルシーな家庭料理を提供することを目的とし、地元の家庭菜園や農家、スーパーマーケットから寄付された材料を使用しているという。地域コミュニティーが協力し合い、ボランティアを集めてオープンした7月30日の初日には、多くの親がこの計画に感謝を露わにしたようだ。なかには休暇中、子供たちにヘルシーな食事を与えることへの苦労を明かす親もいた。シングルマザーのキャリー・アン・ギッボンズさん(37歳)はこのように語っている。
「最初はボランティアとしてここに来たのですが、息子を連れてこようと思いました。ここでの食事はファストフードよりずっといいものです。シングルマザーだとヘルシーな食事をすることはとても高くつくし、子供がそれを食べてくれるとも限りません。この計画は素晴らしいと思います。息子は夕食といえば、チキンナゲットかチップスだと思い込んでいるので、ヘルシーな食生活についての教育もできるし、役に立ちます。」
また2人の子供を持つ別の母親(本人の意思で名は明かさず)は、このように話した。
「先週、銀行の口座には家族のための食費さえ入っていない状態で、銀行カードを使おうとしましたが支払いを拒否されました。後ろに並んでいた男性が、食材を支払うと親切に言ってくれた時、思わず涙が溢れました。誰かにそんなふうにオファーされるほど自分は貧乏なんだと、とてもみっともなく思えて。子供たちには栄養価の高いものを与えてあげる余裕はありません。だからうちの子たちは、いつもチップスやソーセージ、チキンナゲットを食べています。」
貧困家庭が助かるだけでなく、ひとり暮らしのグラハム・ドーソンさん(51歳)も「低収入で缶詰の食事ばかりしている者にとっては、こうした場はとても助かります。貧しいとヘルシーな食事ができず、肥満になっていきますからね」と、“Summer Kitchen”がオープンした喜びを口にした。また、バリー氏は「休暇中、閉めたままにしている学校施設を使わない手はないと思いました。多くのボランティアたちの協力を得て、美味しい食事を無料で提供するというこの試みは、おそらく英国初と言っていいかもしれません。“Summer Kitchen”には高齢者から若者まで、どなたでも大歓迎です」と述べている。
コミュニティー全体が協力しているマーゲートでは、食事だけでなくヘアカットやクラフト&アートなどのアクティビティーも無料で提供しているようだ。このニュースを知った人からは、「素晴らしい試みだわ。貧困家庭はきっと感謝しているでしょうね。他の地域でも同じようにすればいいと思う」「ヘルシーな食材は確かに準備に手間がかかるし、ある程度のスキルもいるけど、高級だとは限らない。ジャンクフードの方が高くつくと思う。でも、貧困家庭が手軽なジャンクフードに依存してしまう気持ちもわかる」といった声があがっている。
画像は『Metro 2018年7月31日付「School opens doors for summer to feed children too poor to eat」(Picture: BPM Media)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)