心はれっきとした大人なのに見た目が幼すぎて、年相応の恋愛をすることも社会で成人として対応してもらうこともできないような人生だったら、それは非常に苦痛な日々となることであろう。このほどポーランドで患者数が55万人に1人という稀な疾患により、25歳の男性が12歳の外見にしか見えず苦しんでいることを明かした。『The Sun』『Metro』などが伝えている。
「私は鏡の中に映るこの少年が嫌いです」と明かすのは、ポーランドに住む25歳のトーマス・ナドルスキさん(Tomasz Nadolski)である。彼は7歳の頃にファブリー病を発症し、今もこの病に苦しんでいる。そのため彼は25歳であるにもかかわらず、外見が12歳程度の少年にしか見えないのだ。
ファブリー病は遺伝性の疾患により、ある酵素が少ないためにGL-3(グロボトリアオシルセラミド)が徐々に全身の細胞や組織、臓器に蓄積していき、一定の域を超えると疼痛を含む神経症状や皮膚の赤い発疹、腎機能障害、心機能障害、脳血管障害など様々な症状が現れる。トーマスさんの場合、発症した当時は毎食後に嘔吐があり腹部や手足に痛みを感じるようになったという。
発症時に担当した医師は「身体的な原因ではなく精神的なものから来る症状だろう」と診断したため、長い間トーマスさんは原因不明の病として自分の症状と向き合ってきたが、16歳の時にようやくファブリー病であることが分かった。また嘔吐などのせいか、痩せ細っていく彼に対して学校のクラスメートは「スケルター! おまえはアウシュビッツから出て来たのか!」とアメリカの人気コミックに登場する骸骨の姿をした悪役にたとえて揶揄されることもあった。
大人になった今も常に激しい胃痛や手の痛み、また足の変形による痛みがあり、充分な栄養がとれないために毎日20時間も点滴投与する。また身体的な苦痛に加え、精神的苦痛を伴うことも多い。トーマスさんは自身の状況をこのように話している。
「両親はひどく嘆いていました。ただ見守るしかなかったようです。しかしながら彼らは医師が言ったように精神的な問題が原因であると信じて、私がたくさん食べて栄養を摂ることが病を克服する術だと思っていたようです。」
「それだけではありません。この見た目のせいで親戚中が私を子供扱いするのです。そのため私は彼らとの関係がうまくいきませんでした。」
「家にいるとき、私はほとんどの時間を自分の部屋でひとりで過ごします。そんな時、私は孤独を感じます。私は長い間、家族から受け入れられず、この病気は家族の関係をも壊してしまったのです。」
トーマスさんの苦悩は家族間だけではなく外部にもあった。周りの人達が彼を成人男性として認識することができないのだ。「私が会社に出社する際、警察に止められることがあります。IDカードを見せると、彼らはそれが偽物だと言ってくるのです」とも明かした。
幸いだったのがファブリー病の治療における薬代、年間80万ポーランド ズウォティ(約2300万円)は薬品メーカーが無料で提供することに同意してくれたことであった。しかしながら彼の給付金は、1か月にわずか775ポーランド ズウォティ(約22,600円)である。
日本でも2013年のデータで約7,000人に1人の割合でファブリー病患者がいるとのことだが、本人がこの病にかかっていることに気づかないという例も多く、実際にはその数を上回るようだ。
画像は『The Sun 2018年8月13日付「‘I HATE THE BOY IN THE MIRROR’ Man, 25, trapped in body of a 12-year-old boy due to rare disease lives in constant pain and nobody believes his real age」(IMAGE: CENTRAL EUROPEAN NEWS)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 MasumiMaher)
「私は鏡の中に映るこの少年が嫌いです」と明かすのは、ポーランドに住む25歳のトーマス・ナドルスキさん(Tomasz Nadolski)である。彼は7歳の頃にファブリー病を発症し、今もこの病に苦しんでいる。そのため彼は25歳であるにもかかわらず、外見が12歳程度の少年にしか見えないのだ。
ファブリー病は遺伝性の疾患により、ある酵素が少ないためにGL-3(グロボトリアオシルセラミド)が徐々に全身の細胞や組織、臓器に蓄積していき、一定の域を超えると疼痛を含む神経症状や皮膚の赤い発疹、腎機能障害、心機能障害、脳血管障害など様々な症状が現れる。トーマスさんの場合、発症した当時は毎食後に嘔吐があり腹部や手足に痛みを感じるようになったという。
発症時に担当した医師は「身体的な原因ではなく精神的なものから来る症状だろう」と診断したため、長い間トーマスさんは原因不明の病として自分の症状と向き合ってきたが、16歳の時にようやくファブリー病であることが分かった。また嘔吐などのせいか、痩せ細っていく彼に対して学校のクラスメートは「スケルター! おまえはアウシュビッツから出て来たのか!」とアメリカの人気コミックに登場する骸骨の姿をした悪役にたとえて揶揄されることもあった。
大人になった今も常に激しい胃痛や手の痛み、また足の変形による痛みがあり、充分な栄養がとれないために毎日20時間も点滴投与する。また身体的な苦痛に加え、精神的苦痛を伴うことも多い。トーマスさんは自身の状況をこのように話している。
「両親はひどく嘆いていました。ただ見守るしかなかったようです。しかしながら彼らは医師が言ったように精神的な問題が原因であると信じて、私がたくさん食べて栄養を摂ることが病を克服する術だと思っていたようです。」
「それだけではありません。この見た目のせいで親戚中が私を子供扱いするのです。そのため私は彼らとの関係がうまくいきませんでした。」
「家にいるとき、私はほとんどの時間を自分の部屋でひとりで過ごします。そんな時、私は孤独を感じます。私は長い間、家族から受け入れられず、この病気は家族の関係をも壊してしまったのです。」
トーマスさんの苦悩は家族間だけではなく外部にもあった。周りの人達が彼を成人男性として認識することができないのだ。「私が会社に出社する際、警察に止められることがあります。IDカードを見せると、彼らはそれが偽物だと言ってくるのです」とも明かした。
幸いだったのがファブリー病の治療における薬代、年間80万ポーランド ズウォティ(約2300万円)は薬品メーカーが無料で提供することに同意してくれたことであった。しかしながら彼の給付金は、1か月にわずか775ポーランド ズウォティ(約22,600円)である。
日本でも2013年のデータで約7,000人に1人の割合でファブリー病患者がいるとのことだが、本人がこの病にかかっていることに気づかないという例も多く、実際にはその数を上回るようだ。
画像は『The Sun 2018年8月13日付「‘I HATE THE BOY IN THE MIRROR’ Man, 25, trapped in body of a 12-year-old boy due to rare disease lives in constant pain and nobody believes his real age」(IMAGE: CENTRAL EUROPEAN NEWS)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 MasumiMaher)