南アフリカ・ケープタウンのミニバスタクシー運転手は、悪質で無謀な運転をするというイメージを持たれている。しかし運転手も人の子、困っている人を放ってはおけないのだ。このほど発作で苦しんでいる少女を見つけた運転手が、自分の仕事や保身を投げ捨て少女を病院へ搬送した。しかし法外な罰金を科せられてしまったという。南アフリカのメディア『The Daily Voice』などが伝えている。
勇敢な運転手の名前はジャック・アーサー・ウィリアムズさん(40)、ミチェルズプレイン・タクシー協会(Mitchells Plain Taxi Association)会長の息子であり、6人の子を持つ父親でもある。そのウィリアムズさんが、9月20日の朝7時ごろに客を乗せて運転していたところ、大慌てでタクシーを止めようとしている女性とその娘に出会った。
母親(37)は13歳の娘を赤十字小児病院へ急いで連れて行ってほしいと懇願、少女はすでにてんかんの発作を数回繰り返しており、救急車を待っている余裕がないとのことだった。運転手が少女を見たところ、少女の舌は青くなっており、白目をむいていた。緊急を要することは明らかで、ウィリアムズさんが他の乗客に「病院へ行ってもいいか?」と尋ねたところ、12人の客は全員が「もちろんだ、急げ急げ!!」と賛同した。
ここで問題なのは、この時間帯は警察がミニバスタクシーの取締りをする機会が多いということだ。通勤渋滞のひどいケープタウンでは朝や夕方に、周囲に迷惑のかかるミニバスタクシーを一斉検挙しようと警察が張り込んでいる。ウィリアムズさんは、緊急事態を示すハザードランプを点滅させながら、路肩を猛スピードで走り出した。
この走行の様子を見た警察官が、ウィリアムズさんのタクシーを停止させた。さらに運の悪いことに今回の交通警察官は情に流されない、いわゆる融通の利かないタイプであった。交通警察官は運転免許証とタクシーを運転するための第二種運転免許を提示するよう指示し、ウィリアムズさんの「緊急を要する事態なんだ」という訴えにも耳を貸さず、さらには少女をタクシーから降ろすよう指示した。
「このままでは死んでしまう」と少女の命の危険を感じたウィリアムズさんは、少女と母親をタクシーから降ろすと、他のタクシーを捕まえて3人で病院へと向かった。「自分のタクシーは置いてきた。だって俺は父親であり、これが俺の生き方だ」とウィリアムズさんは語る。
少女は病院で治療を受け一命を取り留めたが、ウィリアムズさんにはさらに悲劇が訪れた。自分の車に戻ってきた彼に、警察官は無謀運転で6000ランド(約4万8000円)の罰金、さらに第二種運転免許証の返還という厳しい罰則を科した。スピード違反による罰金は大抵400ランド(約3200円)から800ランド(約6400円)という相場を考えると、彼の罰金は仕事上の違法運転だとしても度を超えている。一介のタクシー運転手が簡単に支払える額ではない。この状況を不憫に思った医師が、「運転手はてんかん発作の患者を病院まで連れて来てくれた。患者の気道確保のため、運転手が一緒に行動する必要があった」と擁護する手紙を書いている。
少女の母親は「彼はヒーローよ。警察は救急車を呼ぶべきだと言ったけど、娘はすでに発作を10回も起こしていたのに待てるわけがないわ。今、交通警察当局へ罰金をなくしてもらえるよう訴えています。警察が病院まで連れて行くべきだったことを、彼がしてくれたのだから、彼の罰金は意味がないわ」と憤っている。少女は、検査結果が良好であれば後日手術をする予定だ。
交通警察のリチャード・コールマン氏は、この件について事実を認めたうえで「この件に関わった警察官は、少女と母親に謝罪した」と発表している。ウィリアムズさんは「裁判長がこの罰金を無効にしてくれますように」と祈りながら、11月に裁判所へ出頭する。
画像は『The Daily Voice 2018年9月25日付「Hero driver fined R6000」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 FLYNN)
勇敢な運転手の名前はジャック・アーサー・ウィリアムズさん(40)、ミチェルズプレイン・タクシー協会(Mitchells Plain Taxi Association)会長の息子であり、6人の子を持つ父親でもある。そのウィリアムズさんが、9月20日の朝7時ごろに客を乗せて運転していたところ、大慌てでタクシーを止めようとしている女性とその娘に出会った。
母親(37)は13歳の娘を赤十字小児病院へ急いで連れて行ってほしいと懇願、少女はすでにてんかんの発作を数回繰り返しており、救急車を待っている余裕がないとのことだった。運転手が少女を見たところ、少女の舌は青くなっており、白目をむいていた。緊急を要することは明らかで、ウィリアムズさんが他の乗客に「病院へ行ってもいいか?」と尋ねたところ、12人の客は全員が「もちろんだ、急げ急げ!!」と賛同した。
ここで問題なのは、この時間帯は警察がミニバスタクシーの取締りをする機会が多いということだ。通勤渋滞のひどいケープタウンでは朝や夕方に、周囲に迷惑のかかるミニバスタクシーを一斉検挙しようと警察が張り込んでいる。ウィリアムズさんは、緊急事態を示すハザードランプを点滅させながら、路肩を猛スピードで走り出した。
この走行の様子を見た警察官が、ウィリアムズさんのタクシーを停止させた。さらに運の悪いことに今回の交通警察官は情に流されない、いわゆる融通の利かないタイプであった。交通警察官は運転免許証とタクシーを運転するための第二種運転免許を提示するよう指示し、ウィリアムズさんの「緊急を要する事態なんだ」という訴えにも耳を貸さず、さらには少女をタクシーから降ろすよう指示した。
「このままでは死んでしまう」と少女の命の危険を感じたウィリアムズさんは、少女と母親をタクシーから降ろすと、他のタクシーを捕まえて3人で病院へと向かった。「自分のタクシーは置いてきた。だって俺は父親であり、これが俺の生き方だ」とウィリアムズさんは語る。
少女は病院で治療を受け一命を取り留めたが、ウィリアムズさんにはさらに悲劇が訪れた。自分の車に戻ってきた彼に、警察官は無謀運転で6000ランド(約4万8000円)の罰金、さらに第二種運転免許証の返還という厳しい罰則を科した。スピード違反による罰金は大抵400ランド(約3200円)から800ランド(約6400円)という相場を考えると、彼の罰金は仕事上の違法運転だとしても度を超えている。一介のタクシー運転手が簡単に支払える額ではない。この状況を不憫に思った医師が、「運転手はてんかん発作の患者を病院まで連れて来てくれた。患者の気道確保のため、運転手が一緒に行動する必要があった」と擁護する手紙を書いている。
少女の母親は「彼はヒーローよ。警察は救急車を呼ぶべきだと言ったけど、娘はすでに発作を10回も起こしていたのに待てるわけがないわ。今、交通警察当局へ罰金をなくしてもらえるよう訴えています。警察が病院まで連れて行くべきだったことを、彼がしてくれたのだから、彼の罰金は意味がないわ」と憤っている。少女は、検査結果が良好であれば後日手術をする予定だ。
交通警察のリチャード・コールマン氏は、この件について事実を認めたうえで「この件に関わった警察官は、少女と母親に謝罪した」と発表している。ウィリアムズさんは「裁判長がこの罰金を無効にしてくれますように」と祈りながら、11月に裁判所へ出頭する。
画像は『The Daily Voice 2018年9月25日付「Hero driver fined R6000」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 FLYNN)