楽しい時間を過ごすはずだった一家に、突然の悲劇が襲いかかった。米ノースカロライナ州の自然公園で、父親が目を離したすきに自閉症の男児が行方不明になってしまったのだ。その後の懸命な捜索にもかかわらず、5日後に事態は最悪の結果を迎えることとなってしまった。このほどたったひとりの愛する我が子を亡くした父が、Facebookで辛い心情を吐露した。『PEOPLE.com』『TODAY』などが伝えている。
ノースカロライナ州に住むイアン・リッチさんは9月22日、息子のマドックス君(6歳)を連れて同州ガストニアにあるランキン・レイク・パークを訪れた。マドックス君は限られた言語能力しかなく自閉症を抱えており、一緒に散歩していたイアンさんと連れの1人が目を離したほんの一瞬の間に、ジョギングしていた人の後を追って走って行ってしまった。
実は広い公園内で、マドックス君がひとりでいる姿を母親と娘を連れて散歩に来ていたブルック・シェパードさんが目撃していた。ブルックさんはスキップや走ったりしているマドックス君を見て声をかけたが、返事をせずに走り去って行ってしまったので「保護者のところへ戻ったんだろう」と思っていたという。
マドックス君は普段から走ることが好きだったのだろう。いつもはイアンさんのもとから走り去っても、スピードを緩めて父親が追いつくのを待っていたそうだ。しかしこの日は息子の姿がまったく見当たらず、イアンさんは半狂乱になってあらゆる場所を探した。園内で働く職員のリック・フォックスさんは、マドックス君の姿を一度も見かけなかったが事情を知って911通報し、その後FBIを含む警察や地域住民ら約300人による大掛かりな捜索が行われ、マドックス君の行方を追った。
9月25日には母親のキャリーさんが「息子は私の全てです。どうか息子を見つけてください」と取材陣の前で涙を見せて必死に訴えていた。しかしそんな家族の祈りも虚しく、行方不明から5日後の27日、マドックス君は公園から東に約1.6kmに位置する深さ60cm~90cmの小川、ロング・クリークで変わり果てた姿になって発見された。遺体がマドックス君であることを確認したガストニア警察のロバート・ヘルトン署長は、最悪の事態となってしまった結果に声を詰まらせ悲しみを露わにした。
最愛の息子をこのような形で失ってしまったイアンさんは、マドックス君が行方不明になってから、どれほど自分を責めたことだろうか。「なぜ、目を離してしまったのか」という周りからの非難もあったに違いない。しかしこの悲劇を前にして、そのような非難はもはや意味などない。誰よりも深く悲しみに沈んでいるイアンさんは息子の死の知らせを受けた27日夜、Facebookにマドックス君の無事を願いながら捜査に関わった全ての人々に対して、深い感謝の気持ちや今の心境を綴った。
「今日、私はたったひとりのかけがえのない息子を亡くし、もう“父親”ではなくなりました。息子とはまだまだこれから一緒にしたいことがたくさんありました。一緒に釣りに行き、ボール遊びをし、キャンプにも連れて行ってやりたかった。私は息子にとって、スパイダーマンやバットマン以上の“ヒーロー”でありたかった。でも、私はもうヒーローにはなれません。息子を守ってあげることも救うこともできなかったのですから。人生において最も大切な存在だった息子を失った瞬間から、私は息子を救えなかった罪とともに生きていくでしょう。もう二度と私はこれまでと同じ自分には戻れないのです。命尽きる最期の時まで、永久に私の心は壊れてしまいました。」
「子供を持つ親であるみなさん、どうかあなたの大切なお子さんをしっかりと抱きしめてあげてください。どうかお子さんを遠くへ行かせないように、私のような過ちを犯さないようにしてください。私にはもうその機会は失われてしまいましたが、みなさんはお子さんのためにできる限りのことをしてあげてください。」
「マドックス、お前のことを愛しているよ。君に会いに行くその日まで、私のことを待っててほしい。そしてできなかったたくさんのことを一緒にやろう。」
マドックス君がなぜ公園から2km弱ほど離れた地点で発見されたのかについては未だ不明な点が多く、現在も捜査が続いている。なお、マドックス君の葬儀は10月5日に執り行われる予定だという。
画像は『PEOPLE.com 2018年9月30日付「Maddox Ritch Remembered as ‘Sweet and Loving Little Boy’ as Funeral Plans Are Announced」(Gastonia Police Department)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)
ノースカロライナ州に住むイアン・リッチさんは9月22日、息子のマドックス君(6歳)を連れて同州ガストニアにあるランキン・レイク・パークを訪れた。マドックス君は限られた言語能力しかなく自閉症を抱えており、一緒に散歩していたイアンさんと連れの1人が目を離したほんの一瞬の間に、ジョギングしていた人の後を追って走って行ってしまった。
実は広い公園内で、マドックス君がひとりでいる姿を母親と娘を連れて散歩に来ていたブルック・シェパードさんが目撃していた。ブルックさんはスキップや走ったりしているマドックス君を見て声をかけたが、返事をせずに走り去って行ってしまったので「保護者のところへ戻ったんだろう」と思っていたという。
マドックス君は普段から走ることが好きだったのだろう。いつもはイアンさんのもとから走り去っても、スピードを緩めて父親が追いつくのを待っていたそうだ。しかしこの日は息子の姿がまったく見当たらず、イアンさんは半狂乱になってあらゆる場所を探した。園内で働く職員のリック・フォックスさんは、マドックス君の姿を一度も見かけなかったが事情を知って911通報し、その後FBIを含む警察や地域住民ら約300人による大掛かりな捜索が行われ、マドックス君の行方を追った。
9月25日には母親のキャリーさんが「息子は私の全てです。どうか息子を見つけてください」と取材陣の前で涙を見せて必死に訴えていた。しかしそんな家族の祈りも虚しく、行方不明から5日後の27日、マドックス君は公園から東に約1.6kmに位置する深さ60cm~90cmの小川、ロング・クリークで変わり果てた姿になって発見された。遺体がマドックス君であることを確認したガストニア警察のロバート・ヘルトン署長は、最悪の事態となってしまった結果に声を詰まらせ悲しみを露わにした。
最愛の息子をこのような形で失ってしまったイアンさんは、マドックス君が行方不明になってから、どれほど自分を責めたことだろうか。「なぜ、目を離してしまったのか」という周りからの非難もあったに違いない。しかしこの悲劇を前にして、そのような非難はもはや意味などない。誰よりも深く悲しみに沈んでいるイアンさんは息子の死の知らせを受けた27日夜、Facebookにマドックス君の無事を願いながら捜査に関わった全ての人々に対して、深い感謝の気持ちや今の心境を綴った。
「今日、私はたったひとりのかけがえのない息子を亡くし、もう“父親”ではなくなりました。息子とはまだまだこれから一緒にしたいことがたくさんありました。一緒に釣りに行き、ボール遊びをし、キャンプにも連れて行ってやりたかった。私は息子にとって、スパイダーマンやバットマン以上の“ヒーロー”でありたかった。でも、私はもうヒーローにはなれません。息子を守ってあげることも救うこともできなかったのですから。人生において最も大切な存在だった息子を失った瞬間から、私は息子を救えなかった罪とともに生きていくでしょう。もう二度と私はこれまでと同じ自分には戻れないのです。命尽きる最期の時まで、永久に私の心は壊れてしまいました。」
「子供を持つ親であるみなさん、どうかあなたの大切なお子さんをしっかりと抱きしめてあげてください。どうかお子さんを遠くへ行かせないように、私のような過ちを犯さないようにしてください。私にはもうその機会は失われてしまいましたが、みなさんはお子さんのためにできる限りのことをしてあげてください。」
「マドックス、お前のことを愛しているよ。君に会いに行くその日まで、私のことを待っててほしい。そしてできなかったたくさんのことを一緒にやろう。」
マドックス君がなぜ公園から2km弱ほど離れた地点で発見されたのかについては未だ不明な点が多く、現在も捜査が続いている。なお、マドックス君の葬儀は10月5日に執り行われる予定だという。
画像は『PEOPLE.com 2018年9月30日付「Maddox Ritch Remembered as ‘Sweet and Loving Little Boy’ as Funeral Plans Are Announced」(Gastonia Police Department)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)