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【海外発!Breaking News】Airbnbにまたしても監視カメラ 苦情申立てるも却下(米)

TechinsightJapan 2019年1月21日 14時15分

世界192か国の33,000の都市で、80万以上の宿泊施設を提供しているとされる「Airbnb(エアビーアンドビー)」。利用するゲストが増える一方で、家を提供するホストらは部屋を汚したり室内のものを乱雑に扱うゲストにうんざりするケースが後を絶たないようだ。そのため室内にセキュリティカメラを設置したり、巧みに細工された隠しカメラを設置するホストがいることから、ゲストのプライバシーが考慮されないと問題になっている。このほど、Airbnbを通して米シアトルのアパートに滞在した一家が、室内に設置された数台のカメラを発見した。『Metro』などが伝えている。

米ペンシルベニア州ピッツバーグに住み、カーネギーメロン大学でコンピュータサイエンスを教えている教授のジェフリー・ビガムさんは、冬休み休暇を利用して大晦日に家族とシアトルを訪れた。しかし、Airbnbを通して予約した宿泊先のアパートで快適とは言い難い経験をすることになった。

ジェフリーさんは、室内リビングにあるテレビの後ろの天井に近い壁の一角に、2台の小さな白いカメラが設置されていることに気付き、ショックを受けた。Airbnbのサイトには20枚ほどの写真が掲示されてあり、そのうちの1枚はリビングを撮影したもので、後でジェフリーさんが写真を確認すると確かにそのカメラは写真に写り込んでいた。しかし、説明文には「玄関付近に数台のカメラを設置」とあったのみでリビングのカメラについての記述はなく、最初の時点ではジェフリーさんはこのカメラに気付いていなかった。

ジェフリーさんはすぐにそのカメラの電源を抜き、Airbnbへ苦情を伝えた。ところがAirbnb側は、「ホストが当サイトに掲示した写真にはカメラの存在が開示されている。その写真を見ているあなたは、カメラ設置に同意したことになる」と返信し、ジェフリーさんの苦情を退けた。さらにAirbnbから連絡を受けたホストは、ジェフリーさん一家がまだ滞在していたにもかかわらず、人を派遣しこっそりとジェフリーさん家族の滞在の様子をチェックしていたようだ。そしてカメラの電源が抜かれていることを知ったホストは、Airbnbを通してジェフリーさんにこのようなメッセージを送ってきた。

「Airbnbがあなたの苦情に取り合わないにもかかわらず、あなたは部屋のセキュリティシステムを取り外しましたね。いったい、大晦日に隠そうとしなければならないようなどんなことをしていたんでしょうか。」

加えてホストは、ジェフリーさん一家が部屋を乱雑に使用しているという悪評価を突きつけた。その後、ジェフリーさんはAirbnbと何度もやりとりを行い、この件を自身のブログやTwitterに投稿して問題提起した。1月14日に投稿したブログで、ジェフリーさんは下記のように綴っている。

「Airbnbのサイトに掲載された多くの写真の中の1枚に写っていた小さなカメラは、よほど注意深く見ないとわかりません。カメラの前で特に変な行動はしていないと思うけど、2歳の子供がカメラの前で裸で走り回っていたということは十分あり得ます。(カメラの視野は浴室の出入り口付近を捉えていたのでね)。ホストから送られてきたメッセージには、『私たちが大晦日に何をしていたかは、あなたには関係のないことですが知りたければ教えてあげましょう。このアパートに近しい友人100人ほどを招いてドラッグ&乱交パーティーをしていたか、子供らの相手で疲れ果てて夜9時15分にはベッドに入っていたかのどちらかですよ』と返信してやりました。」

「過去にも、デジタル時計の中にカメラが隠されていたりとホストによるプライバシー侵害の酷い事例はあります。でも、私が今回経験したのはもっと厄介です。もし寝室や浴室に気付かれないようにと明らかな細工を施した隠しカメラがあるとわかった時にAirbnbはゲストを100%サポートしますが、今回のようにカメラがはっきりと設置されているという状況では、たとえ“プライベート”のリビングであってもAirbnbはゲストの苦情に取り合ってはくれないのです。万が一、私が再びAirbnbに宿泊することがあるとしたら、サイト内に掲示された全ての写真を隅々までじっくり見るか、室内にカメラが設置されているか否かをホストにはっきりと確認することにします。」

結果として、複数回のやりとりの後ついにAirbnb側はジェフリーさんに「これらのカメラはリストに正しく掲示されていなかった」と同意し、ジェフリーさんに滞在費の全額を返金した。Airbnbのスポークスマンは「我々にとってゲストのプライバシーと安全は最優先事項です。この件については、当初の対応は我々が設定した高基準のカスタマーサービスに満たしておらず、ビガム氏には謝罪し、全額返金させて頂きました。今後ホストには、リスト上にどんなセキュリティカメラでも開示するよう要求し、リストの中でも監視設置を厳しく管理する所存です。なお、このホストはリストから削除しました」と述べている。

1月16日にブログを更新したジェフリーさんは、相当額のお金を電子フロンティア財団へ寄付したことを綴り、このように語った。

「この投稿で、似たような経験をしたという多くのゲストや、ホストからの連絡をもらいました。実際にカメラを設置していると言うホストによると、派手なパーティーで室内をゴミだらけにしたりするゲストもいるため修繕費用が余分にかかることなども書かれてありました。ホストになるのも、またゲストになるのも容易なことではないでしょう。ですが監視カメラは火に油を注ぐようなものです。私たちは、このような監視社会でどのように生活していくかを深く考える必要があるのではないでしょうか。全てを簡単に記録できる社会になったからといって、そうすべきということにはならないと思います。」

このニュースを知った人からは、「ゲストのプライバシーとホストのセキュリティって、確かに難しい問題だよね。両者とも言い分に一理あるだろうし」「自宅じゃない場所に滞在する時には、どこに行っても隠しカメラがあると思ったほうがいいのかも」「Airbnbって信用できない」「Airbnb、ホストをリストから削除したとか言っているけど怪しいな」「他人の家を借りるわけだから、リスクは覚悟しないとダメなんだろうな」「この場合は明らかにカメラとわかるけど、隠しカメラだったら気付かないから気持ち悪いよね」といった声があがっている。

画像は『Rogue P. Bigha !! 2019年1月15日付Twitter「check out this picture from an @Airbnb I recently stayed at in Seattle -- notice anything concerning?」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)

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