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【海外発!Breaking News】臨月の黒人妊婦、警備員2人に電車から引きずり降ろされる(スウェーデン)

TechinsightJapan 2019年2月5日 10時30分

このほどスウェーデンで、幼い子供を連れた臨月の妊婦が切符を提示できなかったことで警備員に電車内から引きずり降ろされた。女性が過度の暴力的対応を受けた動画がソーシャルメディアで拡散されると「人種差別」と非難の声が相次いだ。『London Evening Standard』『BBC News』『Metro』などが伝えている。

1月31日の午後7時45分~8時15分ほどの間に、スウェーデンのストックホルムにあるヒュートリエット地下鉄駅に止まっていた電車から、身重の妊婦が警備員にプラットフォームへ引きずり降ろされ、周りの乗客が騒然となる事態が起こった。

5歳の女児を連れた黒人女性(名は非公開)は身重の妊婦であるにもかかわらず、交通会社「SL」の警備員2名に不必要な暴力的対応を受けた。ソーシャルメディアで拡散した動画を見ると、電車内にいたこの女性は両脇を警備員に抱えられて無理やり電車から降ろされている。そばには女性の子供である女児が泣き叫んでおり、電車に乗っていた客らが警備員の対応に抗議している様子が捉えられている。2名の警備員は、叫ぶ黒人女性をベンチにうつ伏せ状態に押さえつけ、さらに2名の警備員がホームに駆けつけており、うち1名が女児をなだめていた。この光景を目の当たりにした目撃者のひとりがブロガーで活動家のラヴェッテ・ジャローさんへ撮影した動画を送り、このように投稿した。

「切符が原因のようですが、私は今までの人生で、子連れの身重の妊婦にこれほど暴力的に接する対応を見たことがありません。彼らの行為は行き過ぎであり止めなければなりません。大声で抗議していた白人女性には、彼らは穏やかに話をしていました。その状況から鑑みてこれは人種差別が根底にあると感じました。私の質問に警備員は答えませんでしたが、彼らが暴力行為に及んだのは明らかです。」

ラヴェッテさんは、この目撃者の証言とともに動画をInstagramやFacebookでシェアし「またしても警備員による黒人への攻撃が起こりました。今回は妊婦に対してですが、私たちが一緒に立ち上がってこれらの会社に責任追及を要求し、彼らが従業員を適切に訓練するまでこのようなことは起こり続けるでしょう。女性のお腹の胎児が無事であることを祈らずにはいられません」と綴っていたが、後に直接この女性の家族に連絡を取り、女性がこの騒動の後と翌日にわたり病院で治療や検査を受け、現在は自宅に戻っていることを明かしている。女性は病院の検査で、胎児の容態は安定しているが更に24時間の経過観察が必要と医師に言われたようだ。その後、女性は英メディアでこのように話した。

「悪夢を見ているようでした。8か月目でお腹の子を失った経験があるので、今回同時期にこのようなことが起こり、言葉にならないほどの恐怖でした。警備員は私が切符を持っていないと非難しましたが、提示を求められた時に見つけられなかったんです。切符はちゃんと持っていました。なのに電車から降りろと言われ、私は疲れと痛みで拒否しました。すると彼らはすぐに私を掴んで引きずり降ろしました。彼らが私を押さえつけてお腹に乗りかかって来たので、私は『お腹の子供を傷つけないで!』と叫びました。」

女性は押さえつけられた時に痣ができ、苦悩を味わったことでトラウマになってしまったと語る。この騒動後、警備員2名は内部捜査のため休職させられており、警察は暴行事件として捜査を続けているようだが、交通会社「SL」はこのように主張した。

「警備員は警察により任命され、公共の場での秩序を保つことを任務としています。彼ら職員は警察と同様の権力を持つことが認められており、命令を妨害する人を拒絶または逮捕する権利があります。切符を所持していなかったために警備員らが罰金を科したにもかかわらず、女性は拒否しました。更に電車を降りるように命じても拒否したため、警備員らがルールに従い女性を電車から降ろそうとしたところ女性は抗い、叫びだしたのです。」

ストックホルム交通局側は、「警備員らは行き過ぎた行為に及んだかもしれない。小さな子供を連れた妊婦への対応は、何らかの用心があって然るべきだったのでは。なぜ、彼らがこのような形で暴力的に介入せざるを得なかったのかということについては、後の捜査で明らかになるだろう」と述べ、それ以上のコメントを避けた。

ソーシャルメディアで拡散したこの動画には、「黒人女性が不公平に攻撃を受けている」「人種差別」といった声が相次いだ。このことにラヴェッテさんは、「アフリカ系スウェーデン人は、人種差別を受けてこのように不公平な対応で虐げられています。この動画はスウェーデンでの黒人対応を如実に表しているといっていいでしょう。残念なことに私たち黒人は、暴力的なヘイトクライムのターゲットにされるリストNO.1であり、こうした犯罪が起こっても裁判にかけられるのはわずか4%なのです」と話している。

また、スウェーデンのフェミニスト・反人種差別主義団体「Men for Gender Equality」の代表者アラン・アリ氏は、「白人ではないスウェーデン人にこのような問題が起こった時、警備員が暴力的対応をしたという証拠を私は多々目にしています。今回、警備員が休職処分を受けたことは問題解決の一歩と言えるでしょうが、こうした対応は全く持って不必要です」と述べている。この件以来、運輸局と警備会社の両方が人種差別やリプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康とその権利)に関してのトレーニングコースを実施することとなっている。

このニュースを知った人からは「子供の見ている前で酷い対応」「ひとりの女性に、しかも妊婦に4人がかりで対応しなければならないことなのか」「何をしたとしても、身重の妊婦にする行為じゃないわよ。こんな暴力、言い訳にもならないわ」「でも、切符を提示できなくて降りるように言われたのならそうするしかなかったでしょう。それを拒否したらどうなるかぐらい想像ついたのでは?」「もし切符を最初から持っていなかったとしたら、どっちにも非がある」「黒人とか以前に、警備員がここまでするのはやり過ぎだと思う」といった声があがっている。



画像は『London Evening Standard 2019年2月2日付「Pregnant woman dragged off train by guards in shocking video」(Lovette Jallow/@action4humanity_se)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)

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