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【海外発!Breaking News】「マスクで唇の動きが分からない」聴覚障がいのスーパー店員に仲間が見せた優しさ(米)

TechinsightJapan 2020年4月19日 21時30分

唇の動きを読み取ることでコミュニケーションを図る聴覚障がい者にとって、口全体を覆ってしまうマスクは非常に厄介な存在に違いない。聴覚障がいを持ちながらスーパーでレジ係として働く男性もここ数週間、客とのコミュニケーションがうまく取れず頭を抱えていたのだが…。『ABC News』などがアメリカのスーパーで起きた優しく心温まるストーリーを伝えている。

米ワシントン州クラーク郡バンクーバーに住むマシュー・シモンズさん(Matthew Simmons)は、地元スーパー「トレーダー・ジョーズ」で週末だけパートのレジ係として働いている。マシューさんは聴覚に障がいがあり、普段は相手の唇の動きを読み取って会話をしているが、新型コロナウイルスの感染防止のため人々がマスクを着用するようになってからはコミュニケーションが取れず、かなりのストレスを感じていた。

聴覚障がいがあることを知らないスーパーの客は会計の際、マシューさんに商品の質問をしたり、世間話をしようと話しかけてくる。しかしマシューさんにその声は届かず、客は「無視された」と気分を害するばかりか、店の評判の低下にも繋がってしまう。サービスの低下を懸念した店側はマシューさんの勤務中はスタッフとペアを組ませることで対処することにしたが、マシューさんはどうにも肩身が狭かった。

そんなある日、マシューさんはネットで聴覚障がい者用にデザインされたTシャツを見つけた。表には「わたしは耳が聴こえません」、裏には「私の肩を叩いて下さい」と書かれており、マシューさんは「これを着て仕事をすれば、1人でも働くことができる」と奮い立った。

早速マシューさんは、上司のアリ・ベイカーさんに相談を持ち掛けた。するとそこからとんとん拍子に事が運んでいった。アリさんら店の仲間の提案で、マシューさんには「トレーダー・ジョーズ」のロゴが入ったオリジナルのTシャツが作られることになったのだ。そして話し合いの結果、Tシャツの表には「私は唇の動きを読んで会話します」、裏には「ヘルプが必要な時は私の肩を叩いて下さい」の文字が大きく描かれ、耳が聴こえないことが一目でわかる「Deaf」の文字が加えられた。



さらにアリさんはマシューさんのためにホワイトボードセットを購入し、客からの質問に筆記で対応できるよう配慮した。また同僚らの計らいで、レジと客を仕切る保護ガラスには「私はマシューです。聴覚障がいがあるため、唇の動きを読んでいます」とのメッセージが書き込まれた。

アリさんはメディアの取材を受け、マシューさんについてこう語っている。

「マシューのレジには、いつも長い列ができるのです。他のレジが空いていてもね。ここにやってくる人々はマシューが大好きなんですよ。私たちスタッフはチームであり、大きな家族なんです。だからいつも率先して客とコミュニケーションをとるマシューのために、これまでのやり方を変える必要があったのです。」

こうしてチームの温かいサポートを受け、マシューさんがホワイトボードを持って勤務した初日、マシューさんのレジに並んだ最初の客がホワイトボードにこう書きこんだ。

「みんながマスクをしているなかで勤務するのはさぞ大変でしょうね。あなたには本当に感謝しているわ!」

このメッセージに「やっとわかってもらえた!」と安堵したというマシューさん。今月12日には自身のFacebookに仲間への感謝の言葉を綴っており、現在の心境についてこのように述べた。

「マスクによってコミュニケーションが取れなくなってからはかなり落ち込みました。自分ではどうしようもできず、挫折感を味わったのです。でも店のチームが自分のために知恵を出し合い、障壁を1つずつ取り除いてくれました。偏見を持つのではなく、私に思いやりを持って接してくれたことに心から感謝しています。」

画像は『Matthew Alan Simmons 2020年4月12日付Facebook「Hello everyone! I work part time at Trader Joe’s on the weekends.」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)

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