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【海外発!Breaking News】約10万匹のカメが孵化 川に向かって大行進(ブラジル)<動画あり>

TechinsightJapan 2020年12月19日 20時27分

ブラジルの川辺で約10万匹のカメが卵から孵り、一斉に川に向かって進む壮大な映像が届いた。世界でも数か所でしか見ることのできない貴重な瞬間で、保護団体は親ガメが巣を見つけるところから追跡調査をしていた。膨大な数だが、生き残って成体にまで成長できるのはわずか1%以下だという。『Treehugger』などが伝えている。

「野生動物保護学会(The Wildlife Conservation Society 、以下WCS)」がこのほどオオヨコクビガメ(Podocnemis expansa)が孵化し、川へ向かって大移動する様子を動画で捉えた。

オオヨコクビガメは川や湖などに生息する淡水ガメで、ラテンアメリカでは最大種という。雌は体重200ポンド(約90キロ)、体長は30インチ(約76センチ)を超え、大きいもので1メートルにまで達する。雄は雌よりも小さく、体長19インチ(約48センチ)まで成長する。

今回の孵化は、ブラジルのアマゾン川支流プルス川近くの「アブファリ生物保護区(Abufari Biological Reserve)」にある砂浜で発生した。オオヨコクビガメの孵化は世界中で数か所しか起こらず、WCSは同保護区内にいる成体の雌とその巣を数か月かけて追跡調査していた。

WCSブラジル支部で水棲ガメの専門家として活躍するカミラ・フェラーラさん(Camila Ferrara)は「孵化の時期はいつも大きな期待に胸を膨らませます。これはカメ達を保護するために多くの人の労力が報われる瞬間なのです。私たちは巣ができる3~4か月前から追跡調査を行っていました」と明かす。

砂浜に産みつけられたオオヨコクビガメの卵は初日に約71,000匹が、その数日後には約21,000匹が、今月1日にはさらに8,000匹が孵化した。合計で10万匹の子ガメが誕生したことになる。

水辺から離れた場所に巣が作られているため、生まれたばかりで体長2インチ(約5センチ)の子ガメ達は水のある川の方へ進み出す。大量の子ガメが行進する様子は、海外メディアで「カメの津波」と表現されている。

膨大な数の卵を産むのは「自然界を生き残り次の世代へと繋いでいくための戦略の1つ」と説明するカミラさんは、「このように大量の子どもを産むカメは、世界規模で見ても数種類しかいません。有名な例ではヒメウミガメやアオウミガメですね」と述べている。

自然の神秘を感じる素晴らしい映像だが、この子ガメ達の中で生き残ることができるのはわずか1%以下とのことだ。

「アメリカ海洋大気庁(National Oceanic and Atmospheric Administration )」によると、子ガメ達は水辺にたどり着くまでに鳥やカニ、アライグマなどの天敵から逃げ切らなければならない。水中に到達してからも魚や鳥に捕食されてしまうこともある。ウミガメの場合だと1,000匹~10,000匹に1匹だけが成体にまで成長すると推測されている。

オオヨコクビガメは一部の地域でその肉や卵が食用として用いられており、「国際自然保護連合(International Union for Conservation of Nature)」が示す絶滅危惧種のレッドリストにも登録されている。WCSはこういった脅威から守るために研究を続けているという。



画像は『WCS Newsroom 2020年12月14日付「TURTLE TSUNAMI! WCS releases incredible footage of mass hatching of locally endangered turtle」(CREDIT WCS BRAZIL.JPG)』『WCS 2020年12月15日付Twitter「Good news: On Dec. 1, another 8,000 giant South American river turtles hatched in Brazil’s Abufari Biological Reserve.」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 iruy)

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