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【海外発!Breaking News】14歳少年、同じダウン症の鉄人にインスパイアされトライアスロンに挑戦(米)<動画あり>

TechinsightJapan 2021年6月29日 21時0分

米フロリダ州在住のクリス・ニキッチさん(22)が、“世界で最も過酷”とも言われる「アイアンマンレース」をダウン症の選手として初めて完走したことは記憶に新しい。昨年11月、当時21歳だったクリスさんは水泳3.8キロ、自転車180キロ、長距離走42.195キロをレースの制限時間のわずか14分前の16時間46分9秒でゴールし、多くの人に感動を与えた。カレブ・プルウィット君(Caleb Prewitt、14)もインスパイアされた1人で、クリスさんと同じようにダウン症を抱えている。『ESPN』『InpireMore.com』などが伝えた。

米フロリダ州ジャクソンビルに住むカレブ・プルウィット君がクリス・ニキッチさんに初めて会ったのは、同州オーランドで昨夏に行われた「ダウン症児のための自転車講習キャンプ」だった。実はクリスさんも数年前にこのキャンプに参加しており、11月のアイアンマンレースに向けてトレーニングを重ねる中、キャンプの主催者からゲストスピーカーとして招待されていたのだ。

カレブ君はダウン症を抱えながらレースへの参加を決めたクリスさんとの面会を切望しており、カレブ君の母カレンさんがクリスさんの父ニックさんに相談したところ、自宅に招かれたという。



カレンさんは当時のことをこのように振り返る。

「カレブはクリスさんと一緒に一日を過ごし、短い間ですがトレーニングも受けました。カレブは始終笑顔で、クリスさんは『まず自転車に乗れるようにして、力をつけるために水泳をやるといいよ。僕の後に続けるように頑張って!』と励ましていました。」

「最初の出会いから間もなく、私はニックさんから『カレブにトライアスロンをやらせてみるのはどうかな?』と尋ねられましたが、その時のカレブは自転車に乗ることさえできず、『まだ考えたこともないわ』と答えたのです。それがどうでしょう。キャンプから1か月後、カレブは自転車に乗ることをマスターしたのです。クリスさんからインスパイアされたことは明らかでした。」

その後もカレブ君はクリスさんと数回会ってトレーニングをする機会に恵まれ、クリスさんはカレブ君のことを「リトル・ブラザー」と呼び、彼のモットーである「毎日、1%ずつ前進しよう(1% Better Every Day)」というチャレンジ精神を説いて聞かせた。

カレンさんは「クリスさんの温かさと優しさがカレブをやる気にさせ、息子は『彼ができるのなら、僕にだってできる』と思ったようです」とカレブ君に変化があったことを明かし、このように続けた。

「それからカレブは自転車に乗る距離を2マイル(3.2キロ)、5マイル(8キロ)、7マイル(11キロ)、15マイル(24キロ)と少しずつ伸ばしていきました。私たちにできることと言えば、『あなたにできないことはないんだよ。努力すれば、クリスのように前進できるんだ』と声をかけてあげることでした。」

「ただカレブが『クリスの後に続く』ということの本当の意味を理解したのは、11月のアイアンマンレースの後だったと思います。パナマシティまで足を運び、自分の目でクリスさんがフィニッシュラインを越えるのを見た、あの瞬間です。」

「正直に言うと、クリスさんがアイアンマンレースのフィニッシュラインを越えた後、私は涙が溢れて止まりませんでした。もちろんカレブも私と同じことを感じていたと思うのです。だってクリスさんは成功する見込みの低さ、社会の壁、そして身体的な壁といった全ての障がいを乗り越え、偉業を達成したのですから。レースの途中で『クリスは本当に完走できるのだろうか』と思ったことも確かです。走っているクリスさんが酷く苦しんでいることが分かったのです。だから余計に、彼が制限時間以内にゴールしたあの瞬間を忘れることができないのです。私は彼を見ていて『ダウン症のコミュニティ全体を肩に背負って走っている!』と感じたのです。」




クリスさんのレースからほどなくして、カレブ君は本格的な練習を開始し、国際的スポーツ組織「スペシャル・オリンピックス」が提供する特別な訓練にも参加した。そして今月中旬には人生初のミニ・トライアスロンレースに挑戦し、見事完走した。カレンさんによると、カレブ君はこれまでにミニ・トライアスロンを完走したダウン症選手の中で最年少になるとのことで、2022年夏に開催される「スペシャル・オリンピックスUSA」に、クリスさんが属するフロリダのスペシャル・オリンピックス・トライアスロンチームのメンバーとして参加する招待状が届いているという。



カレンさんはクリスさんとの出会いが、カレブ君の人生を変えたことについてこのように語っている。

「カレブが生まれた時、クリスさんのようなロールモデルは存在しませんでした。ダウン症のアスリートやパブリックスピーカーはおらず、ましてやトライアスロンに挑戦する人など誰一人いなかったのです。でも今はダウン症でもシェフ、アスリート、モデルとたくさんの人が活躍しています。これは非常に嬉しいことで、カレブにもたくさんの可能性があり、彼の頑張り次第で道は開けるということでもあるのです。」

「クリスさんは息子にとってのヒーローで、カレブの人生に与えたインパクトは計り知れません。クリスさんはカレブだけでなく、何千という人たちをインスパイアしているに違いないのです。」



画像は『Chris Nikic 2020年10月2日付Instagram「Down Syndrome awareness month」、2021年6月25日付Instagram「ESPY. Wow.」』『Caleb J. Prewitt 2021年5月21日付Instagram「So here we are」、2021年6月13日付Instagram「HE DID IT!!!」、2021年11月6日付Instagram「“It’s Go Time!”」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)

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