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【海外発!Breaking News】りんご1個分の重さで生まれた赤ちゃん、13か月の入院生活を経て退院(シンガポール)<動画あり>

TechinsightJapan 2021年8月13日 14時8分

「十月十日(とつきとおか)」という言葉のとおり、母親のお腹に宿った赤ちゃんが生まれるまでの妊娠期間は通常約10か月、週数にして40週である。それは赤ちゃんにとって、お腹の外での生活に適応するための準備期間であり、様々な成長を遂げるために必要な期間だが、諸事情により出産が早まることも珍しくはない。このたび予定より4か月早く、リンゴ1個ほどの重さで生まれた赤ちゃんが13か月の入院生活を経て無事に退院したというニュースがシンガポールより届いた。『The Straits Times』『BBC』などが伝えている。

2020年6月9日、シンガポール国立大学病院でケー・ユーシャンちゃん(Kwek Yu Xuan)が予定より4か月早く誕生した。

ユーシャンちゃんの母親ウォン・メイリンさん(Wong Mei Ling)は、妊娠中に高血圧および臓器が損傷する恐れのある子癇前症と診断され、母子ともに命に関わる深刻な状況だったため妊娠25週に緊急帝王切開で出産することとなった。

予定よりもかなり早い出産だったが、医師は赤ちゃんの体重が少なくとも400グラムはあるだろうと予想していた。しかしユーシャンちゃんの出生体重はわずか212グラム、身長は24センチだった。米アイオワ大学の資料によると、これまで早産から生還した世界で最も小さな赤ちゃんは2018年にアメリカで誕生した245グラムの女の子だ。母親のメイリンさんは生まれたばかりのユーシャンちゃんを見て、その小さな姿にショックを受けたという。

新生児科のアドバンスド・プラクティカル・ナース(高度実践看護師)で後にユーシャンちゃんの治療チームの一員となったザン・スーさん(Zhang Suhe)は、当時の様子をこう振り返っている。

「はじめて彼女を見た時、あまりにも小さかったので自分の目を疑いました。とても衝撃的で、同じ科の教授にも信じられるかどうか聞きました。私は22年間看護師をしていますが、あんなに小さな新生児は見たことがありません。」

生まれてすぐNICU(新生児集中治療室)に入院したユーシャンちゃんは、まだ皮膚がとても薄く弱かったため針を刺すのも難しく、薬を投与するにも小数点以下の計算が必要だったという。

またいくつもの治療を受け、様々な医療機器に頼らなければ生きていられなかったため、彼女の両親は長期にわたる入院費用の一部をクラウドファンディングで工面したそうだ。

ユーシャンちゃんの治療にあたった医師はインタビューでこのように明かしている。

「現代では早産児の生存率は70%を超えます。しかしそれはあくまで体重が400グラム以上の場合です。彼女はたったの212グラムで本当に厳しい状況でした。生存率は非常に低いだろうと思っていました。体を守る皮膚がとても薄く敏感で、オムツも通常のものを使うことはできませんでした。薬の計算も大変で一日一日が闘いでした。新型コロナウイルスが猛威を振るっている中で誕生して生き延びた彼女は本当に奇跡です。」

コロナ禍でユーシャンちゃんの頑張りや成長は人々の希望の光となり、彼女は“covid-19 baby”として特別な存在となったという。そして誕生から13か月たった今年の7月9日には、退院できるまでに回復した。

医師によるとユーシャンちゃんの現在の体重は6.3キロで健康状態も良好だという。慢性的な肺疾患が残っており自宅では介助が必要だが、それも成長とともに改善していくと期待されている。



画像は『The Straits Times 2021年8月7日付「Discharged after 13 months at NUH, world’s tiniest baby is now a healthy 6.3kg」(PHOTO: NATIONAL UNIVERSITY HOSPITAL)(PHOTO: KWEK FAMILY)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 上川華子)

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