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【海外発!Breaking News】英・動物保護活動家、アフガニスタンから連れ出した170頭以上の犬猫に殺処分の可能性<動画あり>

TechinsightJapan 2021年8月30日 22時50分

今月15日にアフガニスタンの反政府勢力であるタリバンが首都カブールの大統領府を占拠してから、同国は混乱の渦に陥っている。混沌とした中で国外へと脱出を試みる人々の姿などが報じられたが、そんななかアフガニスタンで動物保護団体の代表である元兵士が保護施設内の170頭以上の犬と猫をイギリスへと避難させることに成功した。『The Sun』『The Daily Star』などが伝えている。

ここ数日、イギリスの動物愛好家らはアフガニスタンで動物の保護活動を続けているペン・ファージングさん(Pen Farthing、57)に注目している。ペンさんは18歳の時に英海兵隊に入隊し20年以上もの間、イラクやアフガニスタンでの任務をこなしてきた。彼は2006年にアフガニスタンで1頭の犬と出会い、その犬に“ナウザード(Nowzad)”と名付けて半年間一緒に暮らしたそうだ。

そして任務が終わるとペンさんはナウザードをイギリスに連れて帰り、英海兵隊を除隊後にアフガニスタンのカブールで動物保護活動を中心とした非営利団体「ナウザード(Nowzad)」を設立した。

ペンさんは犬や猫を保護する以外にも、戦地を経験したことが原因で「心的外傷後ストレス障害(PTSD)」で苦しむ元兵士のたちのために、保護した犬をPTSD介助犬として訓練するなどの活動も行っている。2013年には「RSPCAアニマルヒーロー賞」を受賞し、他にもCNNの「2014年の英雄」の10人のうちの1人に選ばれておりその活動が称えられてきた。

しかしタリバンがアフガニスタン全土をほぼ制圧したことで、保護施設内の犬や猫そして団体のスタッフに危険が及ぶこととなった。そこでペンさんは妻カイサ・マルクスさん(Kaisa Markhus)を先に国外へと避難させ、さらに動物たちをイギリスへ避難させるためにジェット機のチャーター費用を補うための募金を呼びかけることにした。

ペンさんが「箱舟作戦(Operation Ark)」と呼ぶこの試みは多くの人から支持を得ることとなり、ついにエアバスA330をチャーターするまでの資金が集まった。そしてペンさんはこの飛行機に94頭の犬と79頭の猫に加え、68人のアフガニスタン人のスタッフや獣医を乗せてイギリスへ向かうことにした。

ところがここで問題が発生してしまった。英国防総省によるアフガニスタンからの犬や猫の退避許可が降りなかったのだ。『AFP』によると、ベン・ウォレス国防大臣は「タリバンからの報復を恐れる人々が空港で待機する中で人よりもペットが優先されるのは間違っている」と述べたという。

ペンさんは英国防総省の判断にひどく落胆したが、この事態を知った動物愛好家で知られるイギリスのコメディアン兼俳優のリッキー・ジャーヴェイスが24日、Twitterで「拝啓、人間よりも動物を優先すべきではないと言っている愚か者へ。1、動物は人間が入れないような場所に(人命救助のために)行ける 2、この飛行機は資金調達によってチャーターしたプライベートジェットであり(動物に加え)他の人たちを救う(乗せる)こともできる飛行機だ」と英国防総省への非難とも取れる内容をツイートした。

このリッキーの一言が効いたのか、のちに英国防総省から犬や猫の退避許可が降りることとなり、さらにスタッフのイギリスへの入国も許可されることとなった。ペンさん一行はさっそく犬や猫をトラックに乗せてカブール国際空港へと向かった。

だが空港にトラックが入ろうとしたところ、タリバンの警備隊がペンさんらに向かって銃を構え、空港へ入るのを阻止したのだ。ペンさんたちは空港の入り口前で留まることを余儀なくされてしまったが、心配なのは灼熱の太陽が照りつける状況下にいる動物たちだった。

ペンさんらはケージの中にいる動物たちが熱中症にならないよう、ひたすら霧吹きで水をかけて冷やしてあげなければならなかった。またイギリス軍に連絡を入れて助けを求めたが「何もできない」との回答だったため、彼は直接タリバンの警備隊に空港へ通すよう必死に交渉を続けるしかなかった。

結局、タリバンの警備隊はイギリスのパスポートを持つペンさんと動物たちを空港内に入ることを許可したが、アフガニスタン人であるスタッフは飛行機に乗ることを禁じられ、そこから先の空港内へ入ることは許されなかった。ペンさんは「別れを告げる時に、涙がとめどなく流れてしまった」と語っている。

その後、英国防総省ではペンさんと動物たちがタリバンの警備隊から逃れた後、無事にイギリス軍の支援を受け、飛行機に搭乗する予定でいることをTwitterで明かした。そしてペンさんの努力が報われ、29日早朝にチャーターした飛行機によって無事ロンドン・ヒースロー空港に到着した。

犬や猫たちはこれから狂犬病などの検疫のために4か月間、所管の施設に留まることとなるそうだ。ところが英メディア『The Mirror』では、「動物が病気にかかっていると分かった場合、殺処分になる可能性がある」との政府関係筋の情報を伝えている。ここまで尽力してきたペンさんだが、現在は動物たちの検疫が終わるのを待つしかないようだ。

speaks for itself. Animal welfare and humanitarian disaster brewing due to MoD not getting those gates open @benwallacemp @domdyer70 @PeterEgan6 @marcthevet @Nowzad @alpacapower @daily_politics @TheSun @thedailymail @washingtonpost @NewYorktimes_ON @ReutersWorld pic.twitter.com/Bh9L4ptrf4— Dr Iain McGill BSc(Hons) BVetMed MRCVS (@IainTime) August 26, 2021

画像は『The Sun 2021年8月27日付「SAFE AT LAST Pen Farthing and his rescue dogs WILL board evacuation jet after being plucked to safety by Brit army at Kabul airport」(Credit: (C)Jerome Starkey 2021)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 MasumiMaher)

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