Infoseek 楽天

【海外発!Breaking News】同性婚の女性 「性的指向が変わった時のために子宮摘出はしない」と告げた医師に苦情申し立て(アイルランド)

TechinsightJapan 2021年11月23日 6時0分

今年6月に同性パートナーと結婚したアイルランド在住の女性が、医療差別を受けたと苦情を申し立てた。長年ひどい生理痛に悩んでいた女性は、子宮摘出について医師に相談したところ「性的指向が変わって、男性の子供が欲しくなるかもしれない」と告げられたという。『The Mirror』『New York Post』などが伝えた。

アイルランドのロングウッドに住むレイチェル・チャンプさん(Rachel Champ、27)は長年ひどい生理痛に苦しめられ、これまで様々な治療法を試してきたがどれも効果がなかった。

今年6月に同性のパートナーであるカレンさん(Karen、28)と結婚したレイチェルさんは、医師に子宮摘出は可能な選択肢であるかを尋ねたところ「性的指向が変わり、男性パートナーの子供が欲しくなった場合に備えて子宮摘出は行わない」と告げられたそうだ。

レイチェルさんは年々悪化している症状についてこのように明かしている。

「10歳で生理が始まってからずっとひどい生理痛に悩まされていました。母と一緒に医師の診察を受けたこともありますが、『痛みがあるのは普通のこと』と言われ、鎮痛剤やピル(経口避妊薬)を処方されるだけでした。でも年々症状は悪化していて、今では生理中だけでなく排卵時にも頭痛や吐き気、ひどい腰痛や脚の痛みを感じていました。昨年は1か月近く寝たまま過ごすこともあったし、今年の3月から6月の間もほとんど起き上がれず、カレンに食事や鎮痛剤をベッドまで持ってきてもらっていました。」

今から2年ほど前、レイチェルさんは子宮内膜検査を受けた際に担当した医師から「この痛みは正常ではない」と告げられ、婦人科の医師を紹介してもらった。だがその医師は「痛みの管理をすればいいだけ」と伝えただけで、症状が改善することはなかったという。

レイチェルさんは「この痛みのせいで私は多くのことを失った気がします。仕事や大学を休んだり、社会的なイベントにも参加できなかったり。結婚式も含めて、私の人生は生理周期を中心に計画されているんです。生理中はベッドから離れられないことが分かっていますから」と語っている。

そんなある日、立っていられないほどの激しい痛みと嘔吐で救急病院に運ばれたレイチェルさんは、CTスキャンを受けた結果、卵巣に嚢胞が見つかり「多嚢胞性卵巣症候群」であることが判明した。医師から「嚢胞の手術の必要はない」と診断されたが、その後は超音波検査、MRI、CTスキャンを何度も受けて嚢胞の状態を確認し、血液検査も頻繁に受けてきた。

そして今月に入って、レイチェルさんは一時的に閉経を促す作用があるという「デカペプチル注射」について相談しようと別の医師の診察を希望した。しかしその注射を使用するには上司の承認が必要で、結局これまでと同じ医師の診察を受けることになった。

「私の年齢を考えると長期的な解決策にはならないので、デカペプチル注射はできないと言われました。そこで私は子宮摘出が選択肢として考えられるかどうか医師に尋ねたら『そんな決断をするには若すぎる』と言うのです。私がたとえば45歳なら話は別だけど、生殖能力がある今はそんな選択肢はないと。私のような若い人に子宮摘出手術をしたこともないし、するつもりもないと言われたのです。」

「私の痛みは本当にひどくて、これ以上の痛みを経験するくらいなら生きていたくないと思うことだってあると正直に伝えました。それに私とカレンは自然妊娠ができないため、カレンが不妊治療を受けるか、養子をとるかのどちらかになることを説明しました。すると医師は『今のパートナーと別れたり、性的指向が変わったり、他の男性と出会って彼が子供を欲しがったりするかもしれない。状況が変わっても後悔しないようにしてほしい』と言ったのです。その言葉を聞いた瞬間、『これ以上話し合うことはできない』と思いました。」

「正直なところ、とてもショックでした。私たちが受けた扱いや、私たちの関係がどう思われているかを考えると泣けてきました。私は子宮摘出手術を受けようと思っていたわけではなく、選択肢の一つとして考えられるかどうかを尋ねただけなのに。自分が否定されたことで無力感に苛まれました。だって自分の身体に関する決定権を完全に奪われてしまったのですから。」

後日、この医師に苦情を申し立てたというレイチェルさんは、今回の経験を機にいまだに存在する医療差別に光を当てたいと話し、こう述べている。

「私たちと同じような扱いを受ける人がいなくなることを願っています。同性愛者や両性愛者などの性的少数者(LGBTQ)が医療を受けようとするときに直面する壁や、医師の偏見がいかに私たちに壊滅的な結果をもたらすかという点に注目してほしいです。自分の偏見が患者の人生に悪影響を及ぼさないように何ができるかを考えてくれることを期待しています。」

画像は『The Mirror 2021年11月17日付「Married lesbian denied hysterectomy ‘in case future male partner wants children’」(Image: mediadrumimages.com/RachelChamp)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 上川華子)

この記事の関連ニュース