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【海外発!Breaking News】亡き夫の子供を望む妻、書類不備で凍結精子が使えず裁判へ(英)

TechinsightJapan 2021年12月9日 6時0分

亡き夫の凍結精子を使って体外受精を希望するイギリス在住の女性が苦境に立たされている。脳腫瘍のため2年前に他界した夫の子供が欲しいと望んでいる妻が凍結していた精子の使用を求めたところ書類の不備が判明し、体外受精を行うには裁判が必要だと告げられたという。『The Daily Star』『The Mirror』などが伝えている。

英ノーサンプトンシャーのブラックリーに住むジェイド・ペインさん(Jade Payne、35)は2019年12月、最愛の夫ダニエルさん(Daniel、当時35)を脳腫瘍で亡くした。

以前から体外受精を計画していたジェイドさん夫妻だったが、このほど凍結保存中であるダニエルさんの精子の使用を希望したところ、書類に不備があるという理由で拒否されたという。

その結果を受け悲しみに暮れているジェイドさんは、これまでの経緯をこう語っている。

「私たちはずっと子供が欲しいと思っていました。ダニエルは2006年から脳腫瘍(グレード2の星細胞腫)を抱えていて、2010年には精巣がんを患ったため不妊治療院「TFP Oxford Fertility」で精子を凍結することにしたんです。2014年には体外受精を始めるための紹介状をもらいましたが、2016年に脳腫瘍が悪化して手術を受けたため生活に支障が出てしまい、実際に手続きを開始したのは2018年の終わり頃でした。彼の脳腫瘍は悪性度が高く成長が早かったので、どのくらいの時間が残されているのか、十分な時間があるのか分からなくて。なので手続きを早めて子供と過ごす時間を持てたら…と思っていましたが結局叶いませんでした。」

「2019年7月にオックスフォードのジョン・ラドクリフ病院(John Radcliffe Hospital)でNHS(国民保険サービス)の体外受精プログラムに申し込みをして、10月に確認の電話がありましたがダニエルはすでに末期の状態で、精神的にも不安定だったため実現することはありませんでした。でもスタッフが『資金援助は60か月間続くから、時期が来たら連絡して』と言ってくれたんです。」

そしてこのほど体外受精の手続きを再開しようと「TFP Oxford Fertility」にダニエルさんの凍結精子の使用を求めたジェイドさんだったが、彼の意志を示す十分な証拠がないために断られてしまったのだ。

ジェイドさんはこのように明かした。

「11年前に初めて精子を凍結した時の書類に私の名前がないという理由で、それを使用するには裁判が必要だと言われました。直近の書類には私の名前が書かれているにもかかわらず、原本にだけ書かれていなかったのです。そのために私が裁判所に何かを証明しなければならないなんて…。これは2人で計画していたことで、私たちは赤ちゃんの名前を考え、子供部屋をどうするか、どんなベビーカーを買うか、そんなことばかり話していました。残念ながらダニエルは亡くなりましたが、彼は私の夫であり、私は彼の子供が欲しいのです。」

「書類の原本に私の名前がないという法的な意味は十分に理解しています。ダニエルは生前『精子提供の書類にはジェイドの名前が書いてあるから好きにして』と言っていました。でもそれが間違いで、それでもその後は彼と私は共に署名しているし、そして何より彼は私の夫です。常識で考えれば分かる話です。ダニエルの子供を産むことは私にとってこの上なく大事なことなのです。それなのに裁判だなんて…もし裁判官がダメだと言ったら私はどうすればいいのでしょう。考えただけで胸が張り裂けそうです。だってそれはダニエルを再び失うということですから。」

なおこの裁判にかかる多額な費用は慈善団体「Brain Tumour Research」が支援するそうで、同団体の責任者であるヒュー・アダムス氏(Hugh Adams)は次のように述べている。

「夫婦として家族を築こうとするなか、ダニエルさんが亡くなり、ジェイドさんはひとりで未来に立ち向かうことになってしまいました。クリスマスとダニエルの命日を迎えるにあたり、ジェイドさんに幸運が訪れるよう願っています。」



なおこのニュースに関して世間からはジェイドさんを励ます以下のようなコメントが届いている。

「使われたくなければ凍結保存していないだろうし、夫婦で子供を望んでいたのに裁判とは。この国はどうなってるんだ?」
「なんて残酷なの。誰か彼女を助けてあげて。」
「彼女に任せておけば間違いない。誰も異議を唱えることはできない。」
「この裁判が単なる形式的なものであってほしい。彼女に幸あれ。」
「なんて馬鹿げているんだ。こんなことをして儲かるのは弁護団だけ。彼女は経済的に苦境に立たされることになる。」

画像は『The Daily Star 2021年12月8日付「Grieving widow can’t use dead husband’s sperm for IVF after paperwork blunder」(Image: Brain Tumour Research / SWNS)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 上川華子)

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