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【エンタがビタミン♪】<高橋優インタビュー>新曲は頑張る人々への応援歌 「ライブで観客も声を出せる日が必ずくる」とのメッセージも

TechinsightJapan 2022年3月8日 20時0分

シンガーソングライターの高橋優(38)が、新曲『HIGH FIVE』を2月25日に配信リリースした。侍ジャパンのドキュメンタリー番組のために書き下ろしたこの楽曲についてテックインサイトが高橋に話を聞いた。さらに2月に開催した東京・日本武道館での2日間の弾き語りライブを高橋が振り返った。ただ一人でステージに立った高橋だが、意外にも全く緊張しなかったのだという。

デジタルシングル『HIGH FIVE』は、2021年12月に放送されたドキュメンタリー番組『侍たちの栄光~野球日本代表 金メダルへの8か月~』(NHK BS1)のテーマソングとして高橋優が書き下ろした楽曲だ。昨夏に日本中を沸かせた「2020東京五輪」で侍ジャパンが見事金メダルに輝いたことは記憶に新しい。

■野球だけでなく自分たちの日常に通じる部分を新曲に
―新曲はどのような思いで作られましたか?
高橋優:ドキュメントの映像を拝見してから曲を書いたのですが、それを観てもオリンピックの試合を観ても、金メダルを獲るまでの過程や足跡、紆余曲折を感じる部分がありました。その部分というのはもしかしたら野球の範囲を超えて、何かに向けて頑張るということでは僕らの日常生活にまで通じる部分があるのかなと感じて、何かに向かう方々への応援、何かそこに華を添えられるものを探すというニュアンスで曲を書き始めました。

―特にこだわったのはどの部分ですか?
高橋:やっぱり歌詞とメロディの構成ですね。できるだけとグッとくる部分が盛り上がるようにサビの構成を2つにしたんですね。サビの中でも“始まりの部分”と“盛り上がる部分”とにパートを分けて、そのセクションごとに歌詞も歌っているニュアンスを変えることにこだわったので、もし機会があれば歌詞に注目しながら、メロディも聞いていただけたら嬉しいです。

■シンガロングで「一人ではない感じを出したかった」
―この曲で何か新しい試みはありましたか?
高橋:新しい試みとしてトライしたのは、「オオオーオオー」のみんなでの掛け声、シンガロングですね。曲の始まりと間奏にシンガロングが入っていますが、ああいうふうに始まるシングルは今までありませんでした。どちらかというと高橋優は一人で立っている、一人でステージで歌っているというニュアンスを自分の中で思っていましたが、この曲に関しては一人ではない感じを出したかったんです。(人との)繋がりの中でこの曲ができていることや、この曲が歌われるときには多分一人じゃなくていろんな人がそこにいるイメージを強調する意味でもシンガロングを入れました。デビュー12年目に入る中でそういう余裕が出てきたというか、いろんな人たちを感じられる音を作ってもいいのかなと新しい試みになっています。

―このシンガロングは壮大で感動的な印象を受けます。コロナ禍が終了したら、ライブでみんなで歌いたいですね。
高橋:そうですね。そこはイメージしましたね。時代に抗うじゃないですけど、「いつかお客さんも声を出せる日が必ずやってくるよ」というメッセージにもなればいいなと思っています。



■野球との不思議な巡り合わせ
―今回だけでなくこれまでも高橋さんは野球関連の番組に曲を何度か書いていらっしゃいますね。野球関連のオファーが続くのはなぜでしょうか。
高橋:なんででしょうね(笑)。実は侍ジャパンに関しても今回が初めてではなくて、野球がテーマになっているアニメ『メジャーセカンド』(NHK Eテレ)のエンディングテーマとして起用された『プライド』(2018年5月リリース)という楽曲があるのですが、その曲を侍ジャパンのドキュメンタリー映画のテーマソングに起用していただいたことがあります。その流れがあって今回の話があったので、1個1個の点が線になって今に繋がっているのかなと思いつつ、その点のところに野球があるというのは、不思議な巡り合わせなのかなと思っています。

■全国各地で高校野球の予選を観た貴重な体験
―楽曲で携わっていくうちに、野球の見方もこれまでとは変わってくるのではないですか?
高橋:『虹』(2017年7月リリース)という楽曲を『熱闘甲子園』(テレビ朝日系)のテーマソングに起用していただいたのですが、そのときに高校野球の予選の試合を全国各地で取材させてもらいました。実際に高校球児たちが試合をしている生の様子をたくさん観たのは貴重で、僕にとって一番ヒリヒリしていたというか、人としてぶつかっている印象を受けました。決して悪い意味ではなくてミスが目立ったり、練習でおぼつかない人がいたり、そういう人間味が溢れていた部分が一番刺激的でした。誰もがそういうところから始まってプロを目指したり、大きな目標を持ったりするんだろうなというのが、野球の域を超えて、自分の人生にも当てはめて試合を観ることができたので、あの経験は大きかったと今も思っています。

―その経験は今回の新曲にも活かされていますか?
高橋:今回の侍ジャパンも(野球選手の域を超えて)“人間”として闘っているように見えたんですね。プロ野球というと、自分の手の届く部分なんて一箇所もない、本当にすごいことをされている方々としか見えませんが、意外と僕と同世代の普通の男性だったり、緊張して試合のことは覚えていないという人がいたり…、その辺りが甲子園の予選を観させていただいたのに通じていて「この人たちも人間なんだよな」と刺激になりましたし、ヒントになりました。

■HIGH FIVE=ハイタッチしたくなった瞬間は?
―ところで“HIGH FIVE”は日本語ですとハイタッチのことですが、最近ハイタッチしたくなった瞬間はありましたか?
高橋:去年の10月から全国をツアーで回りましたが、このご時世ですとそれ自体が勇気のいる意思表示でした。(今年1月19日に)無事に全29公演終わったときに一緒に回ってくれたバンドメンバーやスタッフと顔を見合わせたときはハイタッチしたかったですね。



■全く緊張しなかった一人でステージに立った武道館
―ライブと言えば、2月8日と9日に日本武道館で『高橋優 10th Anniversary Special 2Days「弾き語り武道館~黒橋優と白橋優」』を終えられたばかりですね。8日の黒橋優では「ダークサイド」、9日の白橋優では「ほんわかサイド」として全く異なるセットリストでのライブでした。それぞれの日で歌い終わった心境には違いがありましたか?
高橋:(黒橋優や白橋優は)自分で意識したことはないんですよ。デビュー以来、いろんな方々に言っていただいた言葉を逆に僕が引用させてもらいました。黒橋優も白橋優も同じスタンスでステージに立っていましたが、黒橋と言われている楽曲の方がどっちかというとスカッとするというか、解き放たれている感じがしましたね。白橋の方は手を差し伸べるというか、聴いてくださる方々と同じところに肩を並べに行くような、割とコミュニケーションをするニュアンスに近かったかなという実感がありました。



―今回アリーナのセンターにステージを作って、360度観客に見おろされる形でたった一人でステージに立たれたわけですが、実際にやってみていかがでしたか?
高橋:半年ぐらい前に武道館をやることが決まって、プライベートも(1月に終えた)29公演のツアーも無意識に照準はこの武道館に合わせていたような気がします。やっとこの日を迎えられたというのが嬉しかったですね。この半年間ずーっと武道館を意識して食生活に気をつけたり、筋トレしたり、練習してきたものをようやく観てもらえる日が来たから、変に肩肘張るのではなく、ここでこそいつも通りの自分でいるのがいいなという気持ちになれたので全く緊張しませんでした。近所のお隣さん…(武道館の座席の)北のお隣さんに会って、西のお隣さんに会って…とグルグル回って歌っているような感じでしたね。とても気持ち良かったです。



■この10年間ずっと考えていること
―メジャーデビュー10周年記念のライブということでしたが、改めてデビュー後の10年間はいかがでしたか?
高橋:僕がメジャーデビューしたのが2010年で、2011年に東日本大震災があって、その中でもツアーをやったり福島のフェスに出演させてもらったり、奇しくも世の中の大きな動きの中で高橋優というシンガーを奏でさせてもらっているという実感がずっとありました。世の中もようやく落ち着いてきたかなというときに2020年の10周年のタイミングでコロナ禍になって。また世の中の価値観が大きく変わった中で、武道館をやったりツアーを回らせてもらっているので、僕自身としては歌わせてもらっているだけでありがたいし、歌を聴いてくれる人がいるのは感謝なんですが、その意味はずっと変わり続けている気がします。今このご時世で歌を聴いてもらうのはどういうことなんだろう、今このご時世でライブに来てもらっているのは実はすごいことなんじゃないか、めちゃめちゃ平和な時代と今とでは武道館をやる意味というのは結構違うんじゃないか…とか、この10年間ずっと考えている自分がいますね。当たり前のようで今かなり特別な中で自分は歌っているんじゃないかなと。



■今年はかなり精力的に活動予定、乞うご期待
―そんな中で今回新曲をリリースされたわけですが、今年はこれからどのような活動を予定されていますか?
高橋:自分で言うのも何ですが、今年はかなり精力的に活動しようと思っています。楽しみにしていただいて多分損はしないんじゃないかなというぐらい、いろんなことを準備して皆さんにお届けしていく予定です。そのなかでも声を大にして言いたいのは、僕の地元の(自身主催の)『秋田CARAVAN MUSIC FES』ですね。2年連続中止にせざるを得なかったのですが、直接音が響く環境の中でみんなで音楽を奏でられている状況というのがひとつのゴールだとずっと思い続けているので、今年こそは開催できたらと思っています。



4月からは文化放送の新ワイド番組『おとなりさん』で火曜日のラジオパーソナリティにも決定した高橋優。朝8時からの放送だが「早起きは大丈夫です。毎朝起きてすぐにジョギングをしていますが、ラジオが決まってからはジョギング中、文化放送を聴くようにしています」と教えてくれた。曲作りに真摯に向き合う“リアルタイム・シンガーソングライター”高橋優が生み出すのは人々の心を動かす数々の楽曲たち。それらを携えて彼が今年どのような音楽活動を繰り広げるのか楽しみにしたい。ライブで観客も声を出せる日が一日も早く来ることを願いながら。



(TechinsightJapan編集部 取材・文:関原りあん)

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