ジンバブエの首都ハラレから150キロほど北部にあるグルべ(Guruve)という地域で、小学校の児童たち、特に資金繰りに苦しむ家庭の子どもたちに教育を受けさせるべく、画期的な取り組みが行われている。鶏、七面鳥、ヤギといった家畜を学校側が授業料として受け入れているのだ。ジンバブエのニュースメディア『The Herald』などが伝えている。
「家畜を授業料として受け入れる」という取り組みは、貧富の差による教育格差を無くすため、経済的に恵まれない背景を持つ子どもたちに教育の機会を与えることを目的としている。学校開発委員会のパーシー・ムジカ委員長(Percy Muzika、64)は「この地域は農村部であり、ほとんどの保護者は、学費を支払うための米ドルや現地通貨を持っていません。(資金不足による)学校運営の窮状を改善させるために、鶏、七面鳥、ヤギなど家畜での支払いを受け入れることにしました。何も払ってもらえないより、何らかの形で(授業料を)支払ってもらうほうがいいのです」と述べている。
このアイデアは「スポットライト・イニシアティブ(Spotlight Initiative)」というEUと国連が協力するプロジェクトがもとになっており、家畜の飼育を通じて地域社会に力を与え、世帯レベルでの収入と食生活を改善させることを目指している。グルべでは、授業料を現金で支払える家庭は25%以下だという。家畜での授業料納付は、現金を持たない保護者にとって、支払いが容易になるとのこと。「授業料」として納められた家畜は飼育されたのちコミュニティ内で販売され、その収益が学校運営の財源に充てられるというシステムだ。
授業料としての家畜の価格は、鶏が1羽6ドル(約840円)、太った七面鳥1羽が25ドル(約3500円)、ヤギ1頭が20ドル(約2800円)と設定されている。鶏はすぐに売らず、学校で飼育してから販売し、その利益で餌代を賄うこともできる。今では100羽以上もの鶏がいるそうだ。学校は家畜払いを始めてから得た資金で、教師用の家を建てることができるほどになった。ジンバブエのニュースメディア『The Herald』は、この取り組みが地元コミュニティから大きな支持を得ていると報じている。
保護者のひとり、クダクワシェ・マンイェザさん(Kudakwashe Manyeza、48)は「ここでは米ドルを手に入れるのは難しいのです。授業料が15ドル(約2100円)かかるのですが、ドルを稼ぐことができない保護者は鶏3羽で支払うことができます。貧しい地域の子どもたちが教育を受けられる、画期的方法です」と称賛している。
グルべの学校はこのユニークな支払い方法の先駆者だが、革新的な取り組みを採用しているのはこの学校だけではない。ジンバブエの農村部には、労働による支払いを受け入れている学校もあれば、家畜飼育、裁縫クラブ、レンガ作りなど、さまざまな収入プロジェクトに取り組んでいる学校がある。この家畜で授業料を支払うシステムは、2017年に教育省により認められた。当初は「授業料は現金で支払うべき」という声が多かったが、結果的に、この地域を巻き込んだ家畜払いシステムは学校にとっても保護者にとっても、そしてコミュニティにとっても嬉しい成果を上げているようだ。
画像は『The Herald 2023年7月11日付「Guruve school accepts chickens for tuition fees」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 FLYNN)
「家畜を授業料として受け入れる」という取り組みは、貧富の差による教育格差を無くすため、経済的に恵まれない背景を持つ子どもたちに教育の機会を与えることを目的としている。学校開発委員会のパーシー・ムジカ委員長(Percy Muzika、64)は「この地域は農村部であり、ほとんどの保護者は、学費を支払うための米ドルや現地通貨を持っていません。(資金不足による)学校運営の窮状を改善させるために、鶏、七面鳥、ヤギなど家畜での支払いを受け入れることにしました。何も払ってもらえないより、何らかの形で(授業料を)支払ってもらうほうがいいのです」と述べている。
このアイデアは「スポットライト・イニシアティブ(Spotlight Initiative)」というEUと国連が協力するプロジェクトがもとになっており、家畜の飼育を通じて地域社会に力を与え、世帯レベルでの収入と食生活を改善させることを目指している。グルべでは、授業料を現金で支払える家庭は25%以下だという。家畜での授業料納付は、現金を持たない保護者にとって、支払いが容易になるとのこと。「授業料」として納められた家畜は飼育されたのちコミュニティ内で販売され、その収益が学校運営の財源に充てられるというシステムだ。
授業料としての家畜の価格は、鶏が1羽6ドル(約840円)、太った七面鳥1羽が25ドル(約3500円)、ヤギ1頭が20ドル(約2800円)と設定されている。鶏はすぐに売らず、学校で飼育してから販売し、その利益で餌代を賄うこともできる。今では100羽以上もの鶏がいるそうだ。学校は家畜払いを始めてから得た資金で、教師用の家を建てることができるほどになった。ジンバブエのニュースメディア『The Herald』は、この取り組みが地元コミュニティから大きな支持を得ていると報じている。
保護者のひとり、クダクワシェ・マンイェザさん(Kudakwashe Manyeza、48)は「ここでは米ドルを手に入れるのは難しいのです。授業料が15ドル(約2100円)かかるのですが、ドルを稼ぐことができない保護者は鶏3羽で支払うことができます。貧しい地域の子どもたちが教育を受けられる、画期的方法です」と称賛している。
グルべの学校はこのユニークな支払い方法の先駆者だが、革新的な取り組みを採用しているのはこの学校だけではない。ジンバブエの農村部には、労働による支払いを受け入れている学校もあれば、家畜飼育、裁縫クラブ、レンガ作りなど、さまざまな収入プロジェクトに取り組んでいる学校がある。この家畜で授業料を支払うシステムは、2017年に教育省により認められた。当初は「授業料は現金で支払うべき」という声が多かったが、結果的に、この地域を巻き込んだ家畜払いシステムは学校にとっても保護者にとっても、そしてコミュニティにとっても嬉しい成果を上げているようだ。
画像は『The Herald 2023年7月11日付「Guruve school accepts chickens for tuition fees」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 FLYNN)