国外の船上で出産してしまったばかりに、赤ちゃんのパスポート作成や出生届の提出などが行えず、帰国できずにいる夫婦が話題を呼んでいる。出産時に立会人がいなかったため赤ちゃんとの親子関係を証明することができず、出産から4か月が経とうとしている現在もイギリスに帰ることができていない。現地での生活費などが底をつこうとしていると言い、現在はDNAテストの結果を待っているという。英ニュースメディア『Metro』などが伝えた。
英グレーター・マンチェスター州テームサイド在住で、ヨガ講師のユリア・グージさん(Iuliia Gurzhii、38)と夫のクライブさん(Clive、51)は、第2子の出産を控えていた。2人はビーチで可能な限り「自然な状態」で出産する夢を叶えるため、東カリブ海に浮かぶ島国、セントルシアのロドニー・ベイで出産を迎えることに決めた。
夫婦は今年3月、ユリアさんが妊娠35週の時に飛行機でフランス海外県の1つであるマルティニークへ飛び、そこから船でセントルシアに向かった。船に乗って出産前の時間を楽しんでいた2人だったが、ユリアさんは予定日よりも早く破水してしまい、4月23日に船の上で第2子のルイーザちゃん(Louisa)を出産した。
出産に立ち会ったクライブさんは「完璧でしたし、とても愛おしい瞬間でした。ユリアは宇宙と繋がることができたのです。海が発する周波数は、天然の鎮痛剤として作用するので、ユリアの痛みは大きく和らぎ、心地良さを感じていました。母なる自然に戻った、魔法のような瞬間でしたね」と出産当時を振り返った。
ビーチではなく船上で想定外の出産となったが、無事に我が子が誕生し大喜びのユリアさんとクライブさん。しかしこの後、地獄のような事態が待ち受けていた。
船上での出産から数日後、ユリアさんたちはルイーザちゃんの出生届を提出するため、現地の病院「Owen King European Union(OKEU)」を訪れた。しかし病院のスタッフから、「出産から24時間が経過しているため、出生届を出すための手続きはできません」と驚きの事実を告げられた。
クライブさんは「私たちは役所にも訪れ、出生証明書のための書類に必要事項を記入しました。それから数週間ほど待つと、役所側から『赤ちゃんは病院で生まれておらず、誕生の瞬間に立ち会った人がいないので、私たちにできることはありません』と言われてしまったんです」と説明しており、ルイーザちゃんの出生証明書すら作成できないという。
その後、ユリアさんたちは助けを求めて入国管理局へ向かったが、ルイーザちゃんが2人の子どもであることを証明しなければ何もできないと言われてしまった。また、ルイーザちゃんの臨時パスポートを取得できれば、ひとまずイギリスに帰ることができると考えた2人は、近くの旅券事務所に連絡した。しかし、ここでもルイーザちゃんがどこで生まれたのかという証明が必要となり、パスポートを発行することはできなかった。
当時、現地はハリケーンなどの嵐が襲うシーズンを迎えており、ユリアさんたちは6月20日にセントルシアを離れ、同じくカリブ海に浮かぶグレナダという国へ移動した。グレナダにあるイギリスの大使館に相当する高等弁務官事務所(UK High Commission)を訪れ、現状を打開する方法を尋ねたが、状況を聞いた事務官は「DNAテストを行い、ルイーザちゃんが2人の子どもであることを証明するしか方法はない」と2人に伝えた。
様々な場所でたらいまわしにされ、イギリスを出国してから4か月が経過しようとしている現在、ルイーザちゃんは無国籍の状態で、ユリアさんとクライブさんは帰国できずにいる。さらに2人は長女エリザベスちゃん(Elizabeth、8)をイギリスに残してきており、エリザベスちゃんの叔母であるクリスティーナさん(Kristina、24)が面倒を見ているため大きな問題はないが、何か月もエリザベスちゃんに会えず心を痛めている。
「本当にトラウマのような出来事で、涙が止まりません。誰も助けてくれる人はおらず、私たちは見捨てられています」とユリアさんは涙ながらに現状を訴える。すでに現地での生活費などが底をつき始めており、「帰りの航空券を買うお金もありません。こちらに来た時は1人600ポンド(約11万円)ほどでしたが、現在は数千ポンドもするのです。既に6000ポンド(約111万円)ものクレジットカードによる借金があり、もうお金がないのです」とクライブさんは話す。
ユリアさんとクライブさんはDNA検査を受けたと言い、今はその結果を待っている。DNA検査でルイーザちゃんとの親子関係が証明できれば、様々な手続きが進んで帰国できるため、DNAテストの結果だけが唯一の希望となっている。
2人のもとに英外務省からの連絡はあるそうだが、現状を尋ねるだけで何も手助けはなく、ユリアさんは「外務省は私たちが帰国できるように何か手助けするべきだと思います」と対応に不満を漏らしている。
英外務省はこの件に関する詳細な情報は公開しておらず、「セントルシアにいる英国人家族に、領事サポートを提供しています」とだけコメントを公表している。
ちなみに過去にも類似のケースが発生しており、海外旅行先で予定日より16週早く出産した女性が帰国手続きに苦労したものの、400万円超の寄付が集まったことで無事に帰国していた。
画像は『New York Post 2023年8月11日付「I flew 4,000 miles to give birth on a beach ― now I’m trapped like a prisoner」(Clive Gurzhii / SWNS)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 iruy)
英グレーター・マンチェスター州テームサイド在住で、ヨガ講師のユリア・グージさん(Iuliia Gurzhii、38)と夫のクライブさん(Clive、51)は、第2子の出産を控えていた。2人はビーチで可能な限り「自然な状態」で出産する夢を叶えるため、東カリブ海に浮かぶ島国、セントルシアのロドニー・ベイで出産を迎えることに決めた。
夫婦は今年3月、ユリアさんが妊娠35週の時に飛行機でフランス海外県の1つであるマルティニークへ飛び、そこから船でセントルシアに向かった。船に乗って出産前の時間を楽しんでいた2人だったが、ユリアさんは予定日よりも早く破水してしまい、4月23日に船の上で第2子のルイーザちゃん(Louisa)を出産した。
出産に立ち会ったクライブさんは「完璧でしたし、とても愛おしい瞬間でした。ユリアは宇宙と繋がることができたのです。海が発する周波数は、天然の鎮痛剤として作用するので、ユリアの痛みは大きく和らぎ、心地良さを感じていました。母なる自然に戻った、魔法のような瞬間でしたね」と出産当時を振り返った。
ビーチではなく船上で想定外の出産となったが、無事に我が子が誕生し大喜びのユリアさんとクライブさん。しかしこの後、地獄のような事態が待ち受けていた。
船上での出産から数日後、ユリアさんたちはルイーザちゃんの出生届を提出するため、現地の病院「Owen King European Union(OKEU)」を訪れた。しかし病院のスタッフから、「出産から24時間が経過しているため、出生届を出すための手続きはできません」と驚きの事実を告げられた。
クライブさんは「私たちは役所にも訪れ、出生証明書のための書類に必要事項を記入しました。それから数週間ほど待つと、役所側から『赤ちゃんは病院で生まれておらず、誕生の瞬間に立ち会った人がいないので、私たちにできることはありません』と言われてしまったんです」と説明しており、ルイーザちゃんの出生証明書すら作成できないという。
その後、ユリアさんたちは助けを求めて入国管理局へ向かったが、ルイーザちゃんが2人の子どもであることを証明しなければ何もできないと言われてしまった。また、ルイーザちゃんの臨時パスポートを取得できれば、ひとまずイギリスに帰ることができると考えた2人は、近くの旅券事務所に連絡した。しかし、ここでもルイーザちゃんがどこで生まれたのかという証明が必要となり、パスポートを発行することはできなかった。
当時、現地はハリケーンなどの嵐が襲うシーズンを迎えており、ユリアさんたちは6月20日にセントルシアを離れ、同じくカリブ海に浮かぶグレナダという国へ移動した。グレナダにあるイギリスの大使館に相当する高等弁務官事務所(UK High Commission)を訪れ、現状を打開する方法を尋ねたが、状況を聞いた事務官は「DNAテストを行い、ルイーザちゃんが2人の子どもであることを証明するしか方法はない」と2人に伝えた。
様々な場所でたらいまわしにされ、イギリスを出国してから4か月が経過しようとしている現在、ルイーザちゃんは無国籍の状態で、ユリアさんとクライブさんは帰国できずにいる。さらに2人は長女エリザベスちゃん(Elizabeth、8)をイギリスに残してきており、エリザベスちゃんの叔母であるクリスティーナさん(Kristina、24)が面倒を見ているため大きな問題はないが、何か月もエリザベスちゃんに会えず心を痛めている。
「本当にトラウマのような出来事で、涙が止まりません。誰も助けてくれる人はおらず、私たちは見捨てられています」とユリアさんは涙ながらに現状を訴える。すでに現地での生活費などが底をつき始めており、「帰りの航空券を買うお金もありません。こちらに来た時は1人600ポンド(約11万円)ほどでしたが、現在は数千ポンドもするのです。既に6000ポンド(約111万円)ものクレジットカードによる借金があり、もうお金がないのです」とクライブさんは話す。
ユリアさんとクライブさんはDNA検査を受けたと言い、今はその結果を待っている。DNA検査でルイーザちゃんとの親子関係が証明できれば、様々な手続きが進んで帰国できるため、DNAテストの結果だけが唯一の希望となっている。
2人のもとに英外務省からの連絡はあるそうだが、現状を尋ねるだけで何も手助けはなく、ユリアさんは「外務省は私たちが帰国できるように何か手助けするべきだと思います」と対応に不満を漏らしている。
英外務省はこの件に関する詳細な情報は公開しておらず、「セントルシアにいる英国人家族に、領事サポートを提供しています」とだけコメントを公表している。
ちなみに過去にも類似のケースが発生しており、海外旅行先で予定日より16週早く出産した女性が帰国手続きに苦労したものの、400万円超の寄付が集まったことで無事に帰国していた。
画像は『New York Post 2023年8月11日付「I flew 4,000 miles to give birth on a beach ― now I’m trapped like a prisoner」(Clive Gurzhii / SWNS)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 iruy)