Infoseek 楽天

【海外発!Breaking News】手術から18か月後に患者の腹部から小皿サイズの手術器具が見つかる(ニュージーランド)

TechinsightJapan 2023年9月13日 20時55分

これまで日本でも手術の際に患者の体内にガーゼを置き忘れる医療ミスが報告されているが、このほどニュージーランドの病院で患者の体内に小皿サイズの手術器具が置き忘れられていたことが発覚した。この患者は手術後になんども腹痛を訴えていたという。米ニュースメディア『New York Post』などが伝えている。

ニュージーランド、オークランド州グラフトンにあるオークランド市立病院で、帝王切開で出産した20代の女性患者の腹部に手術器具が置き忘れられていたことが保健当局の発表で明らかとなった。同国の医療障害委員会(Health and Disability Commissioner)の報告書によると、女性の腹部には直径約6インチ(約15センチ)の「開創器」が残されていたという。

女性の体内で発見された開創器は「Alexis ウーンド リトラクター」と呼ばれる、切開創部を感染から保護しながら、手術部位がよく見えるように広げた状態を保つために使用する器具で、形状は2つのリングの間に透明のフィルムが管状に貼ってある。米メディア『People.com』によると、女性の帝王切開に使われたのはXLと特大サイズのものだったようだ。



女性は2020年に同病院にて帝王切開での出産を終え退院したが、その後1年半ものあいだ激しい腹痛に襲われ、同病院の救急外来で診察を受けたこともあったそうだ。それでも女性の腹痛は治まらず、これまでに数回X線検査を受けたが、腹部からは何も見つからなかったという。

医療障害委員会の報告書によると、女性の腹部にあった開創器は「放射線不透過性ではない物質」だったためX線では検出できなかったとある。ところが帝王切開から1年半ほど経った2021年に、女性は再び同病院の救急外来を訪れてCTスキャンでの検査を受けたところ開創器が見つかったのだ。

すぐに女性には開創器を除去するための手術が行われ、女性はようやく腹部の痛みから解放されることとなった。報告書によると医療ミスが起きた原因は、使われた手術器具のリストにこの開創器が含まれていなかったことにあるようで、当時帝王切開に立ち会った看護師が明かした内容がこのように引用されていた。

「スクラブナース(手術器具を手術執刀医に手渡す看護師)からは2つ目の“Alexis ウーンド リトラクター”を用意するように言われたのを覚えています。準備室には無かったのですぐに無菌室から取ってきました。そしてこれをスクラブナースのために開封しておいたのです。」

どうやら1つ目に使用するはずだった開創器は小さすぎたため、急遽新たに特大サイズの開創器が必要になった。使用器具のチェックは切開箇所の縫合前に行うため、2つ目に使用した開創器はリストに含まれていなかった。

また、今回使用された開創器は切開した患部の体外に半分ほど残しておく必要があり、体内に置き忘れるような事態にならないという思い込みもあったようだ。ニュージーランド政府管轄の公衆衛生機関「Te Whatu Ora Health New Zealand」の一部で医療サービスの提供を管理する組織「Te Toka Tumai Auckland」の責任者であるマイク・シェパード医師(Mike Shepherd)は、今回の医療ミスについて次のように謝罪の言葉を述べた。

「『Te Whatu Ora Health』および『Te Toka Tumai Auckland』を代表して、この患者に起こった事態を深くお詫びするとともに、ご本人やご家族が受けた影響について真摯に受け止めていきたいと思います。このような医療事故は極めて稀ですが、これからも私たちは外科医療と産科医療の質を落とさずに自信を持って続けていくことを国民の皆さんに誓って申し上げたいと思います。」

現在、同病院は女性に対して書面で謝罪をするよう勧告を受けており、病院内での業務の見直しが行われている最中とのことだ。医療ミスによる被害は世界中で後を絶たないが、今年5月にブラジルでは、分娩中に医師らに頭を引っ張られた赤ちゃんが、頭部がちぎれて死亡してしまう医療事故が起きている。当時母親は病院側に赤ちゃんが「動物のように扱われた」と訴えていた。

画像は『New York Post 2023年9月5日付「Dinner plate-size surgical tool found inside woman’s body 18 months after C-section」(Applied Medical Resources)(AP)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 MasumiMaher)

この記事の関連ニュース