イギリスに住むカップルが、3年間で13体のリボーンドールを購入するために日本円にして100万円以上を費やした。カップルは、実際の子育てに備えるためとして人形の赤ちゃんのおむつを替えたり、ベビーカーに乗せて外出させたりして過ごしている。英ニュースメディア『Mirror』『MyLondon』などが報じた。
リボーンドールとは「リアルな赤ちゃん人形」のことで、「リボーン」は英語で「生まれ変わり」という意味をもっている。リボーンドールを専門に日本国内で販売している『リボーンドールベビー』のサイトによると、リボーンドールは1990年代初め、子どもを亡くした両親の心を癒す「生まれ変わり人形」として作られたことがきっかけで広まっていったという。
その可愛らしさや美しさ、人形制作の精巧さなどから老若男女問わず人気があり、世界各地で専門のコンベンションも開催されるそうだ。また欧米などでは、リボーンドールの持つ癒し効果を用いた「ドールセラピー(人形療法)」が、医療施設や介護施設などで積極的に取り入れられているという。
英ロンドン東部の郊外プレイストーに住むジェス・エリスさん(Jess Ellis、27)もまた、コロナ禍で孤独を感じていた際にリボーンドールをインターネットで偶然見つけ、購入に至った。2020年5月に購入した最初の人形は生後1か月の女の子で、レベッカ(Rebecca)という名前だ。人形の価格は250ポンド(約4万5700円)で、これがHRビジネスパートナーとして働くジェスさんの「リボーンドールファミリー」を築くことへの第一歩となった。
レベッカに続いて、2020年11月に560ポンド(約10万2400円)で新生児のサム(Sam)を購入し、その後、生後1か月のジューン(June)、生後8か月のブルックリン(Brooklyn)を購入した。さらに、マヌエラ(Manuela)、ザイン(Zain)、リリー(Lilly)、アナレーゼ(Annalese)、アリア(Aria)の5体の新生児を購入したが、リボーンドール購入の勢いは止まらず、未熟児のクッキー(Cookie)、1歳のチャーリー(Charlie)とピッパ(Pippa)、そして4歳のジューン(June)を購入した。
ジェスさんの13体のドール・コレクションの総支出は6000ポンド(約109万6700円)に上り、最も高価だったのは未熟児サイズの女の子のクッキーで、1700ポンド(約31万円)を支払ったそうだ。現在のお気に入りの人形は、Facebookを見ているときに偶然見つけたアリアだという。ジェスさんは、アリアをチャイルドシートに乗せるとリアルな赤ちゃんに見えると感じており、「病院から連れて帰ってきたばかりみたいで、アリアはとても素敵です」と話している。
ジェスさんの婚約者でパティシエのエイブリー・ラアッセンさん(Avery Raassen、33)は、ジェスさんの変わった趣味に対して「信じられないほど協力的」だという。エイブリーさんは子育ての経験はなかったが、「赤ちゃん」に服を着せたり、おむつを替えたりして自信をつけたという。カップルはこれらの人形を本物のように扱っているが、あくまでも人形であり、本物の乳児ではないことを認識している。「テーブルやソファなど、本当の赤ちゃんを置いてはいけない場所によく置いています」とジェスさんは明かす。
リボーンドールの存在は、コロナ禍の制限下でジェスさんに安らぎをももたらしたそうだ。パンデミックの間、ジェスさんは外出することに大きな不安を感じていたが、エイブリーさんがベビーカーを買ってくれたおかげで、人形を連れて地元の公園を散歩することができるようになったという。そして数か月後には、ベビーカーなしでも一人で外出できるようになった。ベビーカーを押して出かけた経験がとても楽しかったことから、ジェスさんは今でも時々ベビーカーに人形を乗せて外出しているという。
カップルはいつか我が子を授かることを望んでいるが、今のところリボーンドールで満足しているそうだ。ジェスさんは「リボーンドールを抱くことは本当に素晴らしいことです。ストレスを感じたり、不安になったりしたとき、人形を抱っこしているととても落ち着きます。ある意味、親になるための準備の機会を与えてくれます」と説明している。また「奇妙に聞こえるかもしれませんが、赤ちゃんとの絆を深めることができる経験だと思います」と付け加えた。
ジェスさんにとって、リボーンドールの存在はかけがえのないものとなっているが、家族や友人からは様々なリアクションがあるそうだ。ジェスさんの人形への愛情を理解できない人もいるが、母親のニッキーさん(Nicky、60)のように、心から応援してくれる人もいる。ニッキーさんは、ジェスさんを人形展に誘ってくれたりしているそうだ。一方で、父親のアンドリューさん(Andrew、55)は、ジェスさんの人形への興味について奇妙に思っているという。しかし、ジェスさんが楽しんでいること、そしてそれを恥ずかしがらずに話していることを誇りに思っているそうだ。
リボーンドールへの愛情に溢れるジェスさんだが、現在はリボーンドールの制作も行っており、インターネットで販売している。人形を制作するには約3週間の作業が必要だというが、2023年5月に始めて以来、これまでに約14体の人形を制作した。
人形は それぞれ200ポンド(約3万6600円)未満で販売し、2000ポンド(約36万6600円)の収入を得たという。ジェスさんは「本物そっくりの人形を作れるかどうか試してみたかったんです。1つの人形を作るのに必要なものがすべて送られてくるキットを入手しました」と話している。最初の人形づくりの完成度は酷いものだったそうだが、ジェスさんはその過程で喜びを見つけたという。そして人形を再塗装して、(リボーンドールの)コミュニティの人々への恩返しの気持ちで人形を買う余裕がない人のためにプレゼントしたそうだ。
今回のニュースを見た人々からは、「私も欲しい」といった好意的な声のほか、「精神的な問題を抱えているのでしょう」といった冷淡なコメントも見受けられた。
なお、テックインサイト編集部ではジェス・エリスさんに、リボーンドールが子育てのための準備として適している理由や、今後のリボーンドールのコレクションや販売計画について話をうかがうべく取材を申し入れている。
画像は『MyLondon 2023年9月18日付「East London couple spent £6,000 on 13 lifelike ‘fake babies’ after feeling lonely in lockdown」(Image: SWNS)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 H.R.)
リボーンドールとは「リアルな赤ちゃん人形」のことで、「リボーン」は英語で「生まれ変わり」という意味をもっている。リボーンドールを専門に日本国内で販売している『リボーンドールベビー』のサイトによると、リボーンドールは1990年代初め、子どもを亡くした両親の心を癒す「生まれ変わり人形」として作られたことがきっかけで広まっていったという。
その可愛らしさや美しさ、人形制作の精巧さなどから老若男女問わず人気があり、世界各地で専門のコンベンションも開催されるそうだ。また欧米などでは、リボーンドールの持つ癒し効果を用いた「ドールセラピー(人形療法)」が、医療施設や介護施設などで積極的に取り入れられているという。
英ロンドン東部の郊外プレイストーに住むジェス・エリスさん(Jess Ellis、27)もまた、コロナ禍で孤独を感じていた際にリボーンドールをインターネットで偶然見つけ、購入に至った。2020年5月に購入した最初の人形は生後1か月の女の子で、レベッカ(Rebecca)という名前だ。人形の価格は250ポンド(約4万5700円)で、これがHRビジネスパートナーとして働くジェスさんの「リボーンドールファミリー」を築くことへの第一歩となった。
レベッカに続いて、2020年11月に560ポンド(約10万2400円)で新生児のサム(Sam)を購入し、その後、生後1か月のジューン(June)、生後8か月のブルックリン(Brooklyn)を購入した。さらに、マヌエラ(Manuela)、ザイン(Zain)、リリー(Lilly)、アナレーゼ(Annalese)、アリア(Aria)の5体の新生児を購入したが、リボーンドール購入の勢いは止まらず、未熟児のクッキー(Cookie)、1歳のチャーリー(Charlie)とピッパ(Pippa)、そして4歳のジューン(June)を購入した。
ジェスさんの13体のドール・コレクションの総支出は6000ポンド(約109万6700円)に上り、最も高価だったのは未熟児サイズの女の子のクッキーで、1700ポンド(約31万円)を支払ったそうだ。現在のお気に入りの人形は、Facebookを見ているときに偶然見つけたアリアだという。ジェスさんは、アリアをチャイルドシートに乗せるとリアルな赤ちゃんに見えると感じており、「病院から連れて帰ってきたばかりみたいで、アリアはとても素敵です」と話している。
ジェスさんの婚約者でパティシエのエイブリー・ラアッセンさん(Avery Raassen、33)は、ジェスさんの変わった趣味に対して「信じられないほど協力的」だという。エイブリーさんは子育ての経験はなかったが、「赤ちゃん」に服を着せたり、おむつを替えたりして自信をつけたという。カップルはこれらの人形を本物のように扱っているが、あくまでも人形であり、本物の乳児ではないことを認識している。「テーブルやソファなど、本当の赤ちゃんを置いてはいけない場所によく置いています」とジェスさんは明かす。
リボーンドールの存在は、コロナ禍の制限下でジェスさんに安らぎをももたらしたそうだ。パンデミックの間、ジェスさんは外出することに大きな不安を感じていたが、エイブリーさんがベビーカーを買ってくれたおかげで、人形を連れて地元の公園を散歩することができるようになったという。そして数か月後には、ベビーカーなしでも一人で外出できるようになった。ベビーカーを押して出かけた経験がとても楽しかったことから、ジェスさんは今でも時々ベビーカーに人形を乗せて外出しているという。
カップルはいつか我が子を授かることを望んでいるが、今のところリボーンドールで満足しているそうだ。ジェスさんは「リボーンドールを抱くことは本当に素晴らしいことです。ストレスを感じたり、不安になったりしたとき、人形を抱っこしているととても落ち着きます。ある意味、親になるための準備の機会を与えてくれます」と説明している。また「奇妙に聞こえるかもしれませんが、赤ちゃんとの絆を深めることができる経験だと思います」と付け加えた。
ジェスさんにとって、リボーンドールの存在はかけがえのないものとなっているが、家族や友人からは様々なリアクションがあるそうだ。ジェスさんの人形への愛情を理解できない人もいるが、母親のニッキーさん(Nicky、60)のように、心から応援してくれる人もいる。ニッキーさんは、ジェスさんを人形展に誘ってくれたりしているそうだ。一方で、父親のアンドリューさん(Andrew、55)は、ジェスさんの人形への興味について奇妙に思っているという。しかし、ジェスさんが楽しんでいること、そしてそれを恥ずかしがらずに話していることを誇りに思っているそうだ。
リボーンドールへの愛情に溢れるジェスさんだが、現在はリボーンドールの制作も行っており、インターネットで販売している。人形を制作するには約3週間の作業が必要だというが、2023年5月に始めて以来、これまでに約14体の人形を制作した。
人形は それぞれ200ポンド(約3万6600円)未満で販売し、2000ポンド(約36万6600円)の収入を得たという。ジェスさんは「本物そっくりの人形を作れるかどうか試してみたかったんです。1つの人形を作るのに必要なものがすべて送られてくるキットを入手しました」と話している。最初の人形づくりの完成度は酷いものだったそうだが、ジェスさんはその過程で喜びを見つけたという。そして人形を再塗装して、(リボーンドールの)コミュニティの人々への恩返しの気持ちで人形を買う余裕がない人のためにプレゼントしたそうだ。
今回のニュースを見た人々からは、「私も欲しい」といった好意的な声のほか、「精神的な問題を抱えているのでしょう」といった冷淡なコメントも見受けられた。
なお、テックインサイト編集部ではジェス・エリスさんに、リボーンドールが子育てのための準備として適している理由や、今後のリボーンドールのコレクションや販売計画について話をうかがうべく取材を申し入れている。
画像は『MyLondon 2023年9月18日付「East London couple spent £6,000 on 13 lifelike ‘fake babies’ after feeling lonely in lockdown」(Image: SWNS)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 H.R.)