副業は会社の就業規則で制限されていることが一般的
「終身雇用が崩壊した」と言われて久しく「サラリーマンをしながら副業で稼ぐ」などのノウハウ本が、何年も前から書店の店頭で見受けられるようになりました。しかし、サラリーマンが副業をして問題はないのでしょうか?
結論から言うと、問題はあります。副業を禁止する法律自体は一切ありません(ただし、公務員は例外で禁止されています)が、会社のルールブックである「就業規則」がどうなっているかです。通常、「就業規則」の服務規律規定において「会社の許可を得ずに行ってはならない」など副業を制限していることが一般的です。ですから、会社の「就業規則」をよくチェックすることが必要です。
情報漏洩などがあれば懲戒解雇プラス損害賠償の可能性も
本来、「就業時間外の自由な時間に、何をしようと勝手では?」という気がしますが、副業をすることで、下記内容が問題になります。
(1)労働契約に従って、完全な労働を提供する義務があるにもかかわらず、副業が長時間に渡り、本業に支障をきたす場合。
(2)対外的な信用をなくし、会社の秩序を乱す場合。
(3)同業他社で副業し、情報漏洩などのおそれがある場合。
以上のいずれかに該当する場合、解雇になる可能性が出てきます。(1)(2)に関して、就業後にキャバレーで6時間アルバイトをしていた女性を解雇して、これを有効とした判例があります。(3)について言えば、本業での慣れた職務を利用した人が「高い給料が貰えるから」と、同業での副業をした場合には大いに問題になります。それこそ情報漏洩などをしてしまえば、懲戒解雇にプラスして、損害賠償をもされかねません。十分注意しましょう。
無許可で副業した場合は、譴責処分は受けるかも
しかしながら、会社が個人の事情にかかわらず、一切の副業を絶対的に禁止することは「公序良俗に反して無効である」という判例も一方ではあります。「家庭の事情でお金を稼がなければならない」「定年退職後の第2の人生を充実させる準備をしたい」などの理由で、どうしても副業を行いたい場合には、上記(1)~(3)に該当しない範囲内の内容で、かつ会社に相談することが必要でしょう。会社に黙って行った場合には、それが(1)~(3)に該当しなくても、無許可を禁止している以上、懲戒解雇は行き過ぎでも、譴責処分くらいは受ける可能性もあります。
また「バレなければ良い」「どうせバレないだろう」などと高をくくっていると、副業先から住所地の市区町村へ「給与支払報告書」(年間30万円以上の所得があれば報告義務有り)が提出されることで、副収入があることが本業の会社にわかってしまいます。やはり、よく会社に相談してからにしてください。
(影山 正伸/社会保険労務士)