夏バテは、自律神経のアンバランスが原因のひとつ
高温多湿な夏がくると、体が対応しきれなくなり、何かしら不調を感じることがあります。意識ではコントロールできない「自律神経(交感神経と副交感神経)」のアンバランスが原因のひとつと考えられています。
交感神経が優位の状態が続くことによって、全身が凝り固まった状態になったり、副交感神経への切り替えがうまくできずに、食欲不振や不眠、ひどい肩こり、便秘などになったりします。それに加え、悪い姿勢や体の使い方の癖により、関節へ負担をかける状態で凝り固まってしまうと、日常生活に支障をきたしてしまうことにもなりかねません。
そこで、緊張収縮した筋肉や血液が快適に動き出し、バランスの取れた体づくりをサポートしてくれるストレッチを紹介します。
呼吸を使ってストレッチすることで心身のバランスを整える
体が凝り固まった状態でも安全にできる「動的ストレッチ」のポイントは以下の通りです。
・体と心がほぐれていくように呼吸をして、ストレッチをします。
・同じ動きは、4回~8回繰り返します(力まず、がんばり過ぎないでください)。
◆呼吸を使って体の中をストレッチ
<セットアップ>
仰向きに寝ます。腰に負担がかかる場合は、膝を曲げましょう。
<基本>
風船が膨らむイメージで鼻から息を吸って体を膨らませ、風船から空気が抜けていくイメージで口から吐きます。
<レベル1>
A 鎖骨の下あたり(=胸上部)へ両手を置きます。胸があごに近づくように吸い、吐くときはリラックスします。
B お腹に両手を置きます。
C お腹全体が膨らむように吸い、吐くときはリラックスします
<レベル2>
胸上部を膨らますように吸い、お腹を膨らますように吐きます
<レベル3>
胸上部を膨らませて吸い切ったら、息を止めます。この状態のまま、お腹の中でボールが移動しているようにお腹と胸上部を交互に膨らませます。
◆呼吸を使って骨盤周りをストレッチ
<セットアップ>
仰向きの状態で、両足は腰幅に開け膝を曲げます。
<基本>
おへその上に時計を置いて、真ん中にビー玉があるイメージをしてみましょう。吸いながら、ビー玉が12時(顔の方向)に転がっていくように骨盤を傾けます。吐きながら戻します。吸いながら6時(恥骨の方向)へ転がっていくように骨盤を傾けます。吐きながら戻します。
<レベル1>
吸いながらビー玉が3時(右の方向)に転がっていくように骨盤を傾けます。吐きながら戻します。9時(左の方向)も同様に傾けます。
◆呼吸を使って背中と首、肩、股関節をストレッチ
<セットアップ>
仰向きの状態で、両足は腰幅に開け膝をまげます。両手は真横へ開き、手のひらを天井へ向けます。
<基本>
吸いながら両足を右へ倒し、吐きながら戻します。左側も同様に。※戻す時は、上の背骨から動かしましょう。
<レベル1>
左手を床に向け、顔を右に向けます。吸いながら両足を右へ倒し、吐きながら戻します。左側も同様に。手と顔を反対にしてやってみましょう。
◆呼吸を使って足の甲をストレッチ
<基本>
椅子に座って膝は横に広げ、両手で片足の甲を持ちましょう。足のかかとと、指先をそれぞれ手で持ち、タオルを絞るように吸いながらひねり、吐きながらリラックスします。逆方向も同様にひねります。反対側の足もしてみましょう。全身の筋肉に意識をむけながらほぐしていくことで、バランスの取れた張りが生まれてきます。背骨がまっすぐに伸び、右側と左側の不均衡が改善され、あるべき位置に内蔵が戻ってきます。
ストレッチを活用して、肉体的にも精神的にも安定した笑顔があふれる素敵な生活を送りましょう。
(川﨑 知郁子/ピラティスインストラクター)