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「がん緩和ケア」に求められる役割

JIJICO 2014年8月25日 10時0分

2007年に施行された「がん対策基本法」で緩和ケアを推奨

人は、誰しも「がん」にはかかりたくないものです。もし、がんになってしまったら、どのように感じ、どう行動し、何を望むでしょう?人によって違いはあるでしょうが、まず現実を直視できず、何とかして治そうとし、そして元通りの生活に戻ることを望むでしょう。

しかし、現在の最新医療を持ってしても、手術や薬、放射線等で完全に治るのは、全ての患者ではありません。残念ながら完治しない場合は、再発や転移の可能性を意識しながら生活していくことになります。病気と向き合い、病気と闘い、余命を悟り、余命を悔いなく生きることは、たやすいことではありません。

がん緩和ケアの最も大きな役割は、がん患者の心の痛みを受け止め、理解し、それを和らげることです。2007年に施行された「がん対策基本法」では、がんと診断された時から緩和ケアを始めることを勧めています。

状況・段階に応じて必要とされる緩和ケアは多種多様

一方、従来から知られている緩和ケアは、がんの進行に伴う体の痛みや不快感を取ることを指します。このような段階では、痛みや苦痛を取るために医療用麻薬や鎮静剤をはじめとする様々な薬を用いることが多くなり、時には、手術や放射線治療が必要なこともあります。そして、おおよその余命がわかるようになると、残った人生でやり遂げたい仕事や身の回りの整理が問題となることがあります。これらの心配事をできるだけ解決できるよう支えていくことも重要です。

このように、一言で緩和ケアといっても、状況・段階に応じて必要とされる方法は多種多様であり、医師や看護師だけではなく、ケースワーカーや理学療法士といった多職種が連携して関わらなければなりません。

本来、個々の患者が、その人らしく残された人生を全うできるよう援助することが広義の緩和ケアです。受ける、受けないは患者自身の意思で決めれば良いと思いますが、どうすれば良いか迷った時は、まず身近なかかりつけの医師に遠慮なく相談してください。

(古家 敬三/医学博士)

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