志望校の選定に重要なのは、マイナス情報のシビアなチェック
大学のオープンキャンパスと同じように、高校でもオープンハイスクールが公立・私立ともに開催されます。単なる校内見学の域を出ないものから、イベントや授業の体験が組まれているものまで様々ですが、受験生や保護者は、どのような点をチェックすれば良いのでしょうか?
プラス面の情報は学校が強くアピールするため、特に意識しなくても入手できます。志望校の選定に重要なのは、むしろマイナス情報のシビアなチェックです。特定の高校のオープンハイスクールしか行かないと考えず、公立・私立とも2校は行く方が、比較がしやすいでしょう。
公立・私立共通のチェックポイント
■所要時間はもちろん1か月当たりの費用も確認。公立高校でも通学交通費用が月数万円になる場合もあるので、学費プラス交通費で考える。特に学区の端の方に自宅がある場合、隣の学区にある私立の高校の方が近いケースも考えられる。
■必ず直近数年の「現役合格者」だけをチェックの対象にすること。卒業生の進学先は、その高校の指導力とは関係ないと捉えるべき。それは予備校の功績であり、実態として1年以上の時間と年間約100万円以上の費用が余分に費やされている。合格者は複数大学合格する場合がほとんどなので、合格者の合計を学年人数で割っても現役合格率の算定にはならない。一人だけでも有名大学の合格が出れば注目を集めるが、複数の合格者を継続して出している大学をその高校の進学実績と捉える。
■入学者数と卒業者数から、中途退学者の人数もチェックすること。これが多い学校はよく調べる必要あり。
公立高校特有のチェックポイント
■普通科以外の特別進学コースに関しては、入試・説明会ともに別な場合が多い。そちらも志望している場合は、特に注意する(同じ高校であっても、直前に普通科から安易に志望チェンジはできない)
■公立高校の先生は、転勤や私立高校からの引き抜きもありえるので、特定のクラブや教科指導を念頭に置いて志望を考えていると、当てが外れる場合もある。個人の先生の力量に依存した部分は高校自体の評価にプラスして良いのか、よく調べる。
私立高校特有のチェックポイント
■授業料減免や特別推薦枠での入学の場合、それが卒業まで保証されるのかどうか、該当者は確認しておくべき(成績が下がった場合や、ケガで運動部を辞めざるを得なくなった場合など)
■「○○大学に推薦何名」とあっても、その高校の「どのクラスが推薦をもらえるのか」まできちんと確認する。「トップの特進クラスは推薦がもらえず、2番手の進学クラスだけに適用される」ケースが意外に多いことは、あまり知られていない。
■「○○大学付属高校」であっても、全員が○○大学に行けるわけではない。推薦で進学できるクラスが限定されている場合や、そのクラスにいても成績次第で推薦がもらえない例はいくらでもある。また、他の大学を受験しようとする場合、制限が設けられる場合もあるので、要チェック。
「先入観を持って臨まない」ことも大切
これから、オープンハイスクールに行くにあたって、「先入観を持って臨まない」ことも大切です。地元出身の保護者の場合、学校名だけで自身の学生時代のイメージが浮かぶかもしれませんが、25年から30年はタイムラグがあるため、必ずしも正しいとは限りません。
また、親子ともにありがちなのは、その高校の在校生の校外での姿を見て、ネガティブなイメージを持ってしまうことです。この気持ちもわからなくありませんが、本当にそうなのか、一度、数を数えてみてください。「2:8(ニッパチ)の法則」というのがあって、本来は「ある集団で本当に貢献しているのは2割」や「どの集団でも2割は怠ける」といった説ですが、高校でも大学でも「2割の目立つ生徒が、8割のイメージを占めている」と感じます。
高校選びについては、家庭でチェックリストを作成してオープンハイスクールに行き、親子で率直に話し合うことをお勧めします。
(櫻井 久仁子/塾講師)